向夏躁燥JCS 前篇

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2017 [2017年06月05日 05時00分]
1991年に雲仙普賢岳で大火砕流が発生して26年後の6月3日、早朝に高速バスを新宿で降りた私は隅田公園へ向かい、スカイツリーと隅田川と紫陽花を眺めながらネルドリップで淹れたコーヒーを喫する。この島原大変な「いのりの日」(島原市1998年制定)に、私は躁(さわ)いで燥(はしゃ)いで向夏のコーヒーを東京で想う。
 向夏躁燥 (1) 向夏躁燥 (2)
 
【JCS総会前日】 2017年6月3日
 
 向夏躁燥 (3)
「café Bach」(カフェ・バッハ)へ。「ブランマンジェ、(開店直後の時間帯だから)まだだよな? じゃ、チョコケーキとコーヒーおまかせ」と躁ぐ。すっきりしっかり苦くて美味いイタリアンローストを飲みながら、新聞や業界誌を読んで過ごす。隣の宿「ほていや」へ荷を預けてから、トレセンに寄って中川文彦氏と燥いで談議。植木栄造のガラス花器の話が面白い。歩いて北上。
 
 向夏躁燥 (4)
「十一屋」へ。初訪。冷したぬきそばを食す。中川さんが《それなりの下町のそば屋》と評するだけあって味も良いし人も良いので、隣席の客も巻き込んで燥ぎながら食べる。機会があったら山谷の蕎麦屋巡りをやってみたい、などと思う。都バスで南下。銀杏岡八幡(いちょうがおかはちまん)神社の例大祭で躁がしい浅草橋界隈、蔵前神社の例大祭で躁がしい蔵前界隈を散策。1週後に祭礼を迎える鳥越神社の街区も早くも準備で躁がしい。
 
 向夏躁燥 (5) 向夏躁燥 (6) 向夏躁燥 (7)
「蕪木」へ。初訪。(ブレンドを飲むつもりで行ったが、2日前に自分で焼いた豆と同じ銘柄をみつけて)ヤンニハラール・モカのデミタスを飲む。甘さが身上のヤンニハラール、これを見事に引き出していて美味い。次にホットチョコレートの撫子(なでしこ)を飲む。しっかり豊かに精錬された自家製、これも見事。《静思と調息の時間を》と謳うが、去り際に蕪木祐介氏へあれこれ訊ねて燥ぐ。地下鉄で西進して東中野へ。
 
 《太平洋戦争が終結してまもない昭和22年(1947)2月、露店やバラッ
  クの立ち並ぶ新宿の焼け跡の一角に小さな喫茶店が開店した。店の
  名は「青蛾」。マスター・五味敏郎は戦前は会社勤めをし、映画制作
  の仕事に携わっていたが、子供の頃から画家になるのが夢で、終戦
  を期に退職し、絵を描くために自由な時間がとれる仕事として喫茶店
  を始めた。(略) 昭和25年(1950)から新宿駅東口から新宿三丁目
  交差点にかけての地域で区画整理が行われることとなり、30年(19
  55)に青蛾も新宿通りと並行して三越、帝都座裏を通る路地に面し
  た隣接地に移転することになったのである。(略)「喫茶店とは、自然
  のままにくつろいだなかで、ゆっくりとお茶を飲むところ」との考えのも
  とに、外観から内装の仕上げにいたるまで徹底してこだわり、細部に
  まで計算のいきとどいた空間を作り上げたのである。(略) こうした状
  況のなかで、ついに五味は閉店を決意する。「こんなに汚くなった新
  宿の町から逃げだしたくなりました」との言葉を残して、昭和56年(1
  981)7月31日、茶房青蛾閉店。戦後とともに始まった、新宿の喫茶
  店のひとつの時代が終わりを告げた。》 (「茶房青蛾のあゆみと新宿」
  /新宿歴史博物館特別展図録 『琥珀色の記憶 新宿の喫茶店 ~回
  想の“茶房青蛾”とあの頃の新宿と~』 2000年)
 
 向夏躁燥 (8)
「青蛾」へ。初訪。ブレンドを飲む。写真撮りは禁ぜられた(後に、他客が去って許されたが遠慮した)。コーヒーの焙煎と抽出を担う「かうひい堂」の内田牧氏と談議を続け、「青蛾に相応しくないマニアなコーヒー話ばかりでした」と躁ぎを詫びる。とはいえ、この新たな「青蛾」は、「喫茶室 青蛾」(あるいは「純喫茶 青蛾」)から「茶房 青蛾」(あるいは「珈琲 青蛾」)へと《新宿の喫茶店のひとつの時代》を映した店の再開でも復活でもなかった。電車で新宿へ。
 
 向夏躁燥 (9)
「炭火焼鳥 三平」へ。妹と酒少なく食らって談話。アルタ横の「ルノアール」で兄妹談議を続けるも閉店時刻に追われて散会。その後、山谷の宿へ独り戻りながら、コーヒーに躁いで燥いだ一日を想う。然う然う(そうそう)、錚錚(そうそう)たるコーヒーを喫したが淙淙(そうそう)とするには草草(そうそう)、向夏躁燥(そうそう)は続く。
 
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コーヒーは楽しい?

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2017 [2017年05月29日 05時00分]
『コーヒーは楽しい!』(河清美:訳/パイインターナショナル:刊 2017年5月)は、機械工学の教授にしてバリスタのセバスチャン・ラシヌー(Sébastien Racineux)と写真家にしてバリスタのチュング‐レング・トラン(Chung-Leng Tran)が著したコーヒー本。ヤニス・ヴァルツィコス(Yannis Varoutsikos)によるイラストが効いている、フランス発の洒落臭い絵本である。原著の“Le café c'est pas sorcier”(Marabout:刊 2016年9月)は、「コーヒーは難しくない」の意。もっとも、‘C'est pas sorcier’(セ パ ソルスィエ)といえばフランスの若年向け科学教育テレビ番組が有名で、ジャミー・ガーマアッド(Jamy Gourmaud)が説いているコーヒー編もある。そのコーヒー番組の方が私には《楽しい!》のだが…
 コーヒーは楽しい? (1) コーヒーは楽しい? (2) コーヒーは楽しい? (3)
 
私は、「コーヒーは難しくない」が原意なのに『コーヒーは楽しい!』と訳した書名に引っかかりを覚えてモヤモヤしている。私にとってコーヒーは易しくないし、コーヒーの全てが楽しいわけでもない。強いて言えば「難しい」から「楽しい」のであって、「難しくない」を「楽しい」と言い換えたコーヒー本のコーヒーはどう考えても美味そうではない。ま、タイトルだけで突っかかってしまうのは、まるで『コーヒーに憑かれた男たち』(嶋中労:著/中央公論新社:刊)に対する木村衣有子の感想みたいなのだが…
 
 《この本のタイトルをつくづく眺めてみて、女はどこにいるのかな、と思う。
  女だってコーヒーに〈憑かれた〉っていいじゃないか。男の美学を投影
  したコーヒーがあるならば、女のコーヒーだってあって然るべきだ。
  (略)〈コーヒーに憑かれた男たち〉は、コーヒーを男だけのものにして
  おきたいようだが、私は〈コーヒーに憑かれた〉女を探しに出かけてみ
  たい、これから。》 (木村衣有子 『もの食う本』 筑摩書房:刊 2011年)
 
嶋中労の筋肉質で体育会系な措辞を書名にあてつけ皮肉った木村衣有子に対して、後に嶋中労は「Daphne」(ダフニ)店主の桜井美佐子を「コーヒーに憑かれた女たち」というブログ記事で紹介して、《木村さ~ん! ここにあなたのお目当ての女(ひと)がいますよ~》などと釈明した(『嶋中労の「忘憂」日誌』 2014年10月2日)。そうでなくても、「コーヒーに憑かれた女たち」の自叙として、尾形悠利の『一人の珈琲屋がいる』(いなほ書房:刊 2010年)などもある。そもそも、コーヒーを感性で捉える「コーヒー・ババゾネス軍団」(?)に敵(かな)う男など誰もいないのだろう…
 
 コーヒーは楽しい? (4) コーヒーは楽しい? (5) コーヒーは楽しい? (6)
だからといって、『珈琲女子』(旭屋出版:刊 2017年4月)などと題されたムックは、醜悪としか思えない。2年ほど前には「ドリップ男子」とかいう下卑た言葉を全日本コーヒー協会と全日本コーヒー商工組合連合会が流布しようと試みていたが、「ドリップ男子」に「珈琲女子」と続けば噴飯、いや、コーヒーも噴くしかない。私は、そうした恥を知らない業界団体や出版社の拙い措辞に引っかかりを覚えてモヤモヤしている。コーヒーにおける‘SOGI’(Sexual Orientation 性的指向 と Gender Identity 性自認/アクロニムで「ソジ」)を考えようにも、「男子」とか「女子」とか粗陋な措辞が邪魔で楽しくない…
 
くだらないコーヒー本のコーヒーはどう考えても美味そうではないし楽しくもない。私にとってコーヒーは易しくないし、コーヒーの全てが楽しいわけでもない。コーヒーの素地には苦みがあり、措辞にも‘SOGI’にも苦みがあるからこそコーヒーなのだ。
 
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わたしの人生の物語

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2017年05月25日 05時30分]
その映画鑑賞の誘因は、たぶん、わたしの人生で二番目に些細な予告編だった。一番は、もちろん、SF界の窓ぎわのテッド・チャンによる小説が原作ということになるでしょう。その時点では、わたしはせいぜいが年に一度かそこらSF映画を観る程度になってて。それでも、その映画を観るまえ、わたしが最初にするのは「あなたの人生の物語」を読み返すことなんだけど。 わたしは映画を鑑賞したあとに車を走らせ、長い沈黙の道のりをすごすことになる。死体保管場所みたいなアカデミー賞に作曲賞の選考から外された映画は、どこもかしこもマックス・リヒターとヨハン・ヨハンソンでできていて、エピクロスの低いうなりと反戦デモの臭気がしているミニマル音楽が心に浮かぶ。映画は原作と違ってバリン(あるいはアボットまたはフラッパー)とボリン(あるいはコステロまたはラズベリー)を地上すれすれまで降下させて、宇宙船の姿をさらして見せる。宇宙船の姿はどこかしらラトルバックみたいだけど、それがばかうけであることはちゃんとわかる。 「はい、ばかうけです」とわたしは言う。「ベフコのばかうけ」 その時点で、栗山米菓は創業七十周年になっているでしょう。
 わたしの人生の物語 (1) わたしの人生の物語 (2)
 
『メッセージ』(Arrival) 観賞後記
 
 《フランス系カナダ人のヴィルヌーヴ監督は「(アメリカ人脚本家の)エリッ
  ク・ハイセラーこそが、本作のドラマの構造を見つけた人物です。政治
  的・軍事的なコンテクストというのは原作にはありませんでしたから」と
  ハイセラーの仕事ぶりを称賛する。しかし、それによって映画的なダイ
  ナミックさが生まれた一方で「ちょっと行き過ぎてしまった」と感じもした
  といい、原作にある“言語の力”をちゃんと描こうと提案して二人で脚本
  を推敲していったという。》 (市川遥 「宇宙人と言語学者の対話描く『メ
  ッセージ』の美はこうして生まれた…ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が明かす
  裏側」/Webサイト「シネマトゥデイ」 2017年5月19日)
 わたしの人生の物語 (3)
 《活動的なタイプの人間は星への冒険を夢みるのを好み、書斎型の人間
  は他の星からの冒険者がわれわれのすぐ近くに出没しているという想
  像に心ひかれる。(略)彼らの地球訪問の理由はいろいろだが、人間か
  ら見れば理由は何であれ、何者とも知れぬ者に来られるのは不愉快な
  ことだ。(略) それはとにかくとして、これらの物語で駆使された想像力
  に少しでも敬意を払うなら、宇宙にいるのは人類だけではないことは受
  け入れないわけにはいかない。人類が、すべての創造物の頂点である
  か否かをここで論ずる余裕はないが、宇宙では唯一の知的生命体かと
  問われれば、ノーと答えざるをえない。》 (「編者まえがき」/グルフ・コ
  ンクリン選のSFアンソロジー 『地球への侵入者』 朝日ソノラマ:刊 19
  84年)
 わたしの人生の物語 (4)
そう、《理由は何であれ、何者とも知れぬ者に来られるのは不愉快なこと》ではあるが、エリック・ハイセラーのタイプの人間は《人類が、すべての創造物の頂点である》と信じているので、「何しに来やがった、コノヤロー」という文脈をつなげて物語る。映画『メッセージ』は、原作の詩情をかなり損ねているが、それは映像や演技によるものではない。エイリアンの正体がヘプタポッドだろうがテトラポッドだろうが関係ないし、トラルファマドール星人でもメトロン星人でも代替がきく。物理学者イアン・ドネリーを演じたのが「そして殺すおじさん」(ジェレミー・レナー)だから娘の死因が捻じ曲がった、というわけでもない。小器用な監督のドゥニ・ヴィルヌーヴでさえも意に染まなかった《政治的・軍事的なコンテクスト》、それが《ちょっと行き過ぎてしまった》まま‘Arrival’(出生)した映画が『メッセージ』である。それはとにかくとして、原作「あなたの人生の物語」(Story of Your Life)で駆使された想像力に少しでも敬意を払うなら、‘非ゼロ和’(non zero sum)に結束する人類の未来を3000年後まで受け入れるわけにはいかない。
 
 《「もしも我々が幸運であれば、人類はこの水爆のひしめきあう世界のな
  かでも数世紀はながらえていけるだろう」とフリーマン・ダイソンは書い
  ている。「しかし私の信ずるところを言えば、この惑星にへばりついてい
  る以上、人類が一万年も生き残ることはほとんどあるまい。》 (ケネス・
  ブラウワー 『宇宙船とカヌー』 JICC出版局:刊 1984年)
 わたしの人生の物語 (5)
人類が変分原理に則って最短経路で滅びるか否かをここで論ずる余裕はないが、『メッセージ』が知的映像作品かと問われれば、ノーと答えざるをえない。しかし、映画を観たあとに円相のような表義文字(semagram)で「人類滅亡」を描きながら私の信ずるところを言えば、『メッセージ』が時勢に足をすくわれたところを数えても人類が一万年も生き残ることはほとんどあるまい。何本足の生命体であろうが、次元の対蹠点(antipodal point)を見出しても《言語の力》が思考の習性を決することはない…これが、「わたしの人生の物語」だ。
 
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しっとび伊吹2 クマケムシ篇

ジャンル:スポーツ / テーマ:ジョギング・ランニング / カテゴリ:走の記:日常編 [2017年05月22日 01時30分]
伊吹山へ2017年の「登り初め」をしてから6日後の5月5日、自宅から北北東へ走る。県道・国道・農道・遊歩道・路地…勝手で適当に小牧市・大口町・扶桑町を抜けて、約23kmの経路を約3時間、江南市の曼陀羅寺公園まで遊び走る。
 しっとび伊吹2 (1) しっとび伊吹2 (2) しっとび伊吹2 (3)
「草臥(くたぶ)れて 紫煙燻らし 藤の花」…「第52回 江南藤まつり」の藤の花を観賞した。その16日後…
 
2017年5月21日
伊吹山登山
 
 しっとび伊吹2 (4) しっとび伊吹2 (5) しっとび伊吹2 (6)
小満とはいえ日本各地で季節外れの真夏日が予想された日、寝坊して自宅を出遅れ、伊吹薬草の里文化センターへ11時近くに着いて伊吹山を見上げながら、スタート! 山頂までの往路は‘かっとび’コースで。林道の途中から早くも歩いて一合目を約41分で通過。ここからは一歩も走らないと誓う(笑)。頭上を飛ぶパラグライダーを観ながらハアハアと進む。三合目を約1時間21分で通過。
 
 しっとび伊吹2 (7) しっとび伊吹2 (8) しっとび伊吹2 (9)
暑い、暑過ぎる…Shit! フラフラになりながら、五合目に約1時間43分で到着。売店でスポドリを買って飲み、喫煙一服の休憩。これで生き返ったと登り始めると…Shit! 六合目に届かないうちにクランプ発生。数分停まって再始動…Shit! 100m行かないうちにクランプ発作。筋硬縮で下腿が変形、登山道の脇に転がり苦痛に耐える。クランプの頻発で体力も気力も萎えるが、何とか八合目を突破。
 
 しっとび伊吹2 (10) しっとび伊吹2 (11) しっとび伊吹2 (12)
尾根筋にシカ除けのネット柵が登場、これを潜って進むも、上腿まで拡がったクランプは治まらない…Shit! 山頂部の伊吹山寺覚心堂が近くに見えても、激痛に呻くこと3回。足を引き摺りながら山頂に約3時間40分で到着…Shit! 登頂の目標は達したが、内容は酷い。山頂売店「えびすや」へ「ただいま~」、冷水とチューペットをいただく。スポドリを買って飲んで、喫煙談議。やっと下腿の変形が治まり、下山開始。
 
 しっとび伊吹2 (13) しっとび伊吹2 (14) しっとび伊吹2 (15)
下りの復路は‘登山道’コースで。山頂で飲んだ芍薬甘草湯とロキソニンが効いたか、足の痛みは薄らいだが、一歩も走らないと誓う(笑)。イブキガラシで黄色に染まった山肌を眺め、意味不明の小さなケルン(?)を笑いながら進む。暑い、暑過ぎる…Shit! フラフラになりながらも休憩なしでソロソロと下り続ける。一合目上のトイレで小用を済ませ、伊吹薬草の里文化センターに約2時間9分で到着、フィニッシュ!
 
 しっとび伊吹2 (16)
山頂売店「えびすや」のオヤジさん(松井純典氏)ですら「異常だよ」という暑さによるものか、私の体力低下によるものか、クランプ頻発に泣いた今般の「しっとび伊吹」。下り復路の終盤に焼けた舗装の上をモソモソと動いて道を渡る毛虫(クマケムシ)がいた。道脇の草地に入るまで見届けてから「まるで今のオレだな」と呟いた。草臥れて弱って遅い「苦敗け虫」(クマケムシ)だ。それを想い返しながら、‘the shit!’(最好!)に美しい「しっと・美」の伊吹山を見上げて、帰途についた。
 
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フォースと共に

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2017 [2017年05月20日 01時00分]
コーヒーの「フォースウェイブ」(第4の波)とは何か? コンビニコーヒーハイテクコーヒー? ドリップバッグコーヒー? いや、野風俗なコーヒーかもしれない… ‘The 4th will be with you, always.’(フォースは常に君と共にある)
 
 フォースと共に (1)
 《日本のコーヒーショップ市場では、スターバックスがメジャーになって久
  しいが、そのスターバックス発祥の地、米ワシントン州では最近、別の
  種類のコーヒーショップが大きな注目を集めている。店自体は至って
  普通なのだが、普通ではないのが、店員のユニフォームなのだ。コー
  ヒーショップの名前は「ビキニ・ビーンズ・エスプレッソ」。その名から想
  像するところ、ビキニ姿の若い女性がカフェラテなどのコーヒーを淹れ
  て販売している店かと思いきや、それどころではない。なんと、もはや
  ビキニも脱ぎ捨て、おっぱい丸出しのトップレス・バリスタが、コーヒー
  をサーブしてくれるというのだ。(略) 近年日本では、スターバックスな
  ど“シアトル御三家”に継ぐ「サードウェーブコーヒー」が話題となってい
  るが、「フォースウェーブ」として、ぜひともトップレスコーヒーに上陸し
  てもらいたいものだ。》 (「おっぱい丸出しの美女が接客 「トップレス
  コーヒー」が全米でブームの兆し」/Webサイト「日刊サイゾー」 2017
  年4月5日)
 
私も《ぜひともトップレスコーヒーに上陸してもらいたい》と思ったが、品評会だの競売制だのでむやみやたらに値段が高い「トップ・オブ・トップ」のコーヒーは既に売れ行きが鈍って‘less’(より少なく)になり始めた。捨て置いても直ぐに日本のコーヒー市場は‘トップレス’になるだろう。けれども、コーヒーの「フォースウェイブ」はトップレスコーヒーではなくてカフェインレスコーヒーだ、という説もある… ‘Use the 4th.Feel it.’(フォースを使え、感じるのだ)
 
 《今のコーヒースタイルはサードウェーブの時代といわれていますが、で
  は、その後に来る「第4の波:フォースウェーブ」は、どんな波が来るの
  でしょうか? 流れから予想すると、カフェイン抜きのデカフェの時代が
  来るかも?とも言われています。》 (今井利夫 「次に来るコーヒー第4
  の波?『デカフェ・コーヒー』」/Webサイト「中日新聞プラス」 2017年
  4月22日)
 フォースと共に (2)
 《コンビニ大手のローソンが9日からカフェインレスコーヒーの販売を始
  めた。ローソンが新たに販売するのはカフェインを97%カットしたカ
  フェインレスコーヒー。(略) カフェインレスコーヒーは生豆の輸入量が
  この4年で約2倍に増えるなど市場が拡大している。ミスタードーナツ
  は去年12月から、スターバックスは今年1月から販売を始めていて
  競争が激しくなっている。》 (「日テレNEWS24」 2017年5月9日)
 
私は《カフェイン抜きのデカフェの時代が来る》としても、その流行はフードファディズムでしかないので、極力飲むべきではないと思っている。コーヒーの「フォースウェイブ」は、トップレスコーヒー? カフェインレスコーヒー? いや、ボーダーレスなコーヒーかもしれない… ‘The 4th is strong with this one.’(フォースが強い奴だ)
 
 フォースと共に (3)
 《コーヒー豆生産者への敬意と、彼らとのパートナーシップを表現するた
  めに従来からの「国・農園・品種・生産処理」といった表記のルールで
  はなく、「生産者の名前」を主とした銘柄表記へと順次切り替えてまい
  ります。それぞれの農園に固有の自然環境と、生産者の想いや考え
  方、生産方法で変わるコーヒーの豊かな個性の広がりを、いままで以
  上に味わっていただければ幸いです。》 (「シングルオリジンコーヒー
  の銘柄表記変更のお知らせ」/Webサイト「丸山珈琲」 2017年2月
  1日)
 
コーヒーの《「生産者の名前」を主とした銘柄表記》が盛んになればなるほど、従来からの生産国ごとに括られる共通の風味が鈍って‘less’(より少なく)になると私は思っている。例えば、「国境なき医師団」は《苦境にある人びと、天災、人災、武力紛争の被災者に対し人種、宗教、信条、政治的な関わりを超えて差別することなく援助を提供する》ことを憲章に掲げているが、国境や地方の境界では‘らしさ’を語ることのできないボーダーレスコーヒーは、生産者にも消費者にも人種・宗教・信条・政治的な関わりを超えて持続することができるのだろうか?… ‘I'm one with the 4th. The 4th is with me.’(フォースは我と共にあり、我はフォースと共にあり)
 
 《コーヒーのサードウェーブは米国のコーヒーの歴史における第三の波
  ではありません。なぜならば、そのような意味での第一の波も第二の
  波もないからです。第三の波がないので、第四の波という意味での
  「フォースウェーブ」も当然ありません。》 (伊藤亮太 『常識が変わる
  スペシャルティコーヒー入門』/青春出版社:刊 2016年)
 
コーヒーの「フォースウェイブ」は、トップレスコーヒーでなし、カフェインレスコーヒーでなし、マイクロロットやシングルオリジンなどのボーダーレスコーヒーでもないのだろうか? 《‘波’に本質は無い、空疎である》から、そもそも《「フォースウェーブ」も当然ありません》ということなのか? それでも人間は愚昧にも、‘less’(ほとんど無い)コーヒーの「フォースウェイブ」を求めるだろう… ‘May the 4th be with you.’(フォースと共にあらんことを)
 
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kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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