蕎麦に居るね 23

ジャンル:グルメ / テーマ:蕎麦 / カテゴリ:食の記 [2015年11月19日 23時30分]
コーヒー集会に参加した翌日の2015年11月15日、黄葉の色づきがイマイチの雨降る上野恩賜公園へ。国立科学博物館の特別展・企画展を観た後、昼飯は館内食堂ムーセイオンで「ワイン展」記念メニューでも食べようかと思ったが、50組待ちの混雑に諦める。館外へ出ると、雨が上がって空が青い。さて何を食べようかと思案しながら、福島県の会津地方に生まれ育った野口英世の銅像を横目に通れば…ん? 竹の台広場で南会津(下郷町・南会津町・只見町・檜枝岐村)を宣伝する催事「まるごと南会津観光PRフェア」に出くわした。よし、コレだ! 蕎麦食だ!
 蕎麦に居るね23 (1)
 
「会津田島御蔵入そばの会」(南会津町)の「かけそば(きのこトッピング)」(700円)を食す。
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行列に並んで、十割蕎麦の水回しとくくりを見ながら待つ。出てきた発泡ポリスチレン容器のかけそばをトレイごと運んで、噴水前でズルズル。おぉ、田島の地粉で打った蕎麦は、甘汁を吸った麺からでも薄らと青臭く甘い新ソバの香りがする、美味いな。トッピングを小さなカップから丼に移せば、一面きのこづくし、美味いな。南会津の一円が南山御蔵入領(幕領)で田島に陣屋があったとはいえ、‘御蔵入そば’の由来はサッパリわからないが、田舎の気軽い食事蕎麦としては充分の味わい。一揆を起こすのは止めておこう(笑)。「いたづらに花さくきのこ散らしけり 揺れてものうき秋の世すがら」(帰山人)
 
「山魅」(檜枝岐村)の「きのこけんちんそばっ切り雑炊」(500円)を食す。
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行列に並んで、《きのこけんちん 干し葉 寒ざらし大根 隠し味に『山人漬け』を入れ…》という説明を見ながら待つ。あ、私の後ろで品切れだ。出てきた発泡ポリスチレン容器の蕎麦雑炊を運んで、噴水前でズルズル。きのこと干し葉の酸味が好いのは、尾瀬・檜枝岐村特産品販売の‘山魅’(さんみ)だから(違う?)。タップリな具に負けない蕎麦の味は濃くて好いが、隠し味の‘山人(やも~ど)漬け’の味は隠れてよくわからない(笑)。ドロッとした雑炊に温まって汗じんわり、「蕎麦食ったら腹あぶれ」じゃなくて、「蕎麦雑炊食って腹あぶれた」。この雑炊の蕎麦は、《古くから伝わる円形型のそば》という正真の‘裁ちそば’であるのか?
 
 《たち蕎麦 福島県南会津郡の地方では、古くからの因習で、たち蕎麦というのを
  作る。たち蕎麦は普通の蕎麦切のように、定木を当てて切らず、薄く伸したもの
  を、いきなり包丁で、目分量で細く糸のように切るのが、有名なものとなっている。
  この地方では、他から珍客を迎えると、必ずこのたち蕎麦を作って、良家の子女
  が給仕に出て待遇する風習が、今でもなお行われている。これは昔からこの土
  地が、冬になると一丈あまりの積雪が珍しくないので、冬は食物に事欠くのを常
  としているため、蕎麦を常食にしていた関係から礼儀として尊ばれているのだと
  伝えられている。》
  (村瀬忠太郎 『蕎麦通』/四六書院:刊 1930年)
 
 《たちそば【裁ちそば】 福島県南会津郡檜枝岐村は、徳島県の祖谷と並んで平
  家の落人集落の秘境として、またソバどころとしても知られている。その檜枝岐
  に伝わる、独特の手法で打つ郷土そば。そば粉を熱湯でよくもんで両手に入る
  くらいの玉を四~五個作る。これを一つずつ長さ八〇cm、直径八cmほどの太
  く短いめん棒でのばす。両手で静かにのばして直径約六〇cmの円形にする。
  のばしたもの全部を重ね、こま板を使わずに包丁切りを行なう。ちょうど布を裁
  断するように、包丁を手前に引いて切るので、裁ちそばの名がつけられた。》
  (新島繁 『蕎麦の事典』/柴田書店:刊 1999年)
 
「ヤマサ商店」(只見町)の「そばやきもち」(200円)と「山魅」(檜枝岐村)?の「そばクレープ」(300円)を食す。
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行列に並んで、ヤマサ商店のかあちゃん(佐藤順子氏)が売るそばやきもちの…え?つぶあん品切れ?じゃ、野沢菜ので。行列に並んで、「このカリカリしたソバの実の食感に病みつき、今日も3個目」という熱烈(?)な客とそばクレープ作りを見ながら待つ。左手にそばやきもち、右手にそばクレープを持って、噴水前でモグモグ。左手が醤油味でしょっぱいおやつ、右手がホイップクリームであまいスイーツ、どちらの味も蕎麦が効いていて悪くない。この都会で田舎な贅沢(?)であるシチュエイションが何よりも好い(笑)。
 
 蕎麦に居るね23 (11)
東京の空の下で南会津の蕎麦の買い食いフルコース(?)、満腹満足。「まるごと南会津観光PRフェア」は、2012年12月と2013年11月に福島県地域づくり総合支援事業とサマージャンボ宝くじ補助事業として、2015年3月に電源地域振興・原子力事故影響回復市町村等支援事業として、私が出くわした今般2015年11月に福島特定原子力施設地域振興交付金(2014年度までの旧名称は福島原子力事故影響対策特別交付金)事業として催された。その催事の背景を思えば、ソバの殻のように硬く苦いものを感じ得るが、フェアで声を張る南会津の人々の気勢を思えば、私の僅かな「蕎麦に居るね」でも「そばにいるね」と言いたくなった。
 
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蕎麦に居るね 22

ジャンル:グルメ / テーマ:うどん・そば / カテゴリ:食の記 [2015年10月06日 23時30分]
斑尾高原でのトレラン大会に参加、その前後に蕎麦を食すること、今秋は四演。
 
2015年10月3日
 
「そば処 うえだ」で蕎麦を食す。
  蕎麦に居るね22 (1) 蕎麦に居るね22 (2) 蕎麦に居るね22 (3)
「ざるそば」(850円)
2014年8月以来の訪店。店内の席へ案内されるもテラス席を望んで、晴れた秋空の下で黒姫山・妙高山・斑尾山を眺めながら、注文した蕎麦を待つ。お、きたきた。美しく細打ちされた麺には、爽やかな甘みと舌残りしない粘りを感じること、変わりなく旨い。辛汁には、僅かに‘かえし’と‘出汁’の間に距離を感じて角張った硬さを感じるが、麺との相性は悪くない。「うえだ」の蕎麦は、‘野趣’に溢れるというよりも‘洗練’へ研いだ趣であり、それは黒姫高原の店から見渡した山や湖の景色そのもののようだ。「秋新には少し早かったかな」などとも思うが、夏とは違う和らいだ四囲の緑も眼福、清涼な秋風に吹かれつつ飲む濃い目の蕎麦湯は、これまた旨かった。車で高原を下る途中、「まつき」でブルーベリーソフトクリームを食すは‘お約束’、さらにも旨かった。
  蕎麦に居るね22 (4)
 
「きたざわ」で蕎麦を食す。
  蕎麦に居るね22 (5) 蕎麦に居るね22 (6) 蕎麦に居るね22 (7)
「ざるそば」(650円)と「天ぷら」(350円)
涌井地区の蕎麦屋をトレラン大会の帰途に覘くも終了していたことが過去2年続いたので、今般は大会前日に「きたざわ」へ。2012年10月以来の訪店。今般は入って右にある小上がりで、店のオバちゃんたちの地場放談をBGMに、注文した蕎麦と天ぷらを待つ。お、きたきた。まず「天ぷら」登場、相変わらず瑞々しい野菜が旨いなぁ。追って「ざるそば」登場、2009年8月に初訪した時のように、平に打たれた麺は柔らかくて、汁も少し甘い方向へ戻っている…この味ブレにも腹立たずに笑ってしまう、「ブレたっていいじゃないか、田舎だもの」(?)。この「きたざわ」のような蕎麦があるからこそ、「うえだ」ようなの蕎麦が対照で活きるのであり、その逆もまた然り。さらに次に来た時は、どういう蕎麦になっているのか?
 
2015年10月4日
 
「上信越自動車道 小布施パーキングエリア 上り線 スナックコーナー」で蕎麦を食す。
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「たぬき山菜そば」(490円)
トレラン大会後の帰途に「道の駅 ふるさと豊田」を覘くも、自販機の蕎麦メニューが全滅(うどんはあったので、蕎麦が売り切れたのだろう)。豊田飯山ICから上信越道に乗って最初のPAのスナックコーナー(ネクスコ東日本リテイルが運営)に寄って…ん? 信州産の‘二八’を謳っているゾ。食券で注文した温かい「たぬき山菜そば」を受け取って…どれどれズルズル。おぉ、スバラシイ! 過去3年に大会の帰途で食べたSA・PA(姨捨松代駒ヶ岳)の蕎麦を圧倒的に上回る味。やや硬めに仕上がった細麺の上品な味わい、汁や具も臭みが無くて並以上、これはもう、駄蕎麦というのも失礼と言えるナ。
 
「長野自動車道 みどり湖パーキングエリア 上り線 白樺亭」で蕎麦を食す。
  蕎麦に居るね22 (10) 蕎麦に居るね22 (11)
「みどり湖そば」(500円)
高速道路をさらに進むうちに日暮れたので(?)、長野道で最後のPAのスナックコーナー「白樺亭」(蔦井:運営)に寄って…ん? 「みどり湖そば」って何? 写真も掲げてない正体不明のメニューだから(?)コレにしよう。食券で注文した温かい「みどり湖そば」を受け取って…あぁ、ワカメと山菜と茸が乗っている。平打ちの麺には良い意味で駄蕎麦の臭みがあって、コレはコレで好い。汁は甘めだが、コレも悪くない。「それにしても、さっきの小布施といい、このみどり湖といい、ワンコインでここまでのものを出せるのに、他のSA・PAは何やってんの?」とブツブツ言いながらズルズルと食す。
 
走前の「うえだ」と「きたざわ」、走後の「小布施」と「みどり湖」、各々で好対照な蕎麦を食して、前後でも好対照な蕎麦屋を巡って…「世の中に めでたきものよ 蕎麦っ食い」
 
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蕎麦に居るね 21

ジャンル:グルメ / テーマ:うどん・そば / カテゴリ:食の記 [2015年07月23日 23時30分]
長野県木曽方面のトレラン大会へ出向いて、その前後に蕎麦を食すること、今夏は四演。
 
2015年7月18日
 
「時香忘」で蕎麦を食す。
 蕎麦に居るね21 (1) 蕎麦に居るね21 (2) 蕎麦に居るね21 (3)
「極粗挽き寒ざらし熟成 もり蕎麦」(おお盛り)(1620円)
真夏にばかり訪店すること、今般で7年連続。フム《本日の粗挽き蕎麦の熟成度は3》か、雨に濡れる回廊を歩いて店内へ。数分後にカウンター席へ案内されて、もり蕎麦を注文、もはや定点観測だな(笑)。山葵をすりおろして蕎麦を待つ…山葵の香りが弱いな、残念。《ふるいは9メッシュと20メッシュ以外は使いません。国内でも一番粗いと言われるほどの蕎麦粉に仕上げます》という噛み応えのある麵は相変わらずだが、今般は、熟成によるものか表面のヌメリ感が強く、渋みや酸味が減って一段と甘い。異端孤高の衝撃が薄れて、躊躇なく蕎麦を頬張って食べられる、ウマイウマイ。それは、毎年に食べ慣れたからばかりではあるまい。「時香忘」自体が、調和の円熟を増してきているのかもしれない…ソバの味は濃いまま臭みが減じている糊状の蕎麦湯を飲みながら想う。フ~ッ、ウマイ!
 
2015年7月19日
 
「さくら」で蕎麦を食す。
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「たぬきおろしそば」(大盛)(1100円)
真夏にばかり訪店すること、今般で3年連続。迷ったあげくに、たぬきおろし蕎麦を選んでしまうことも、今般で3年連続、ココでも定点観測だな(笑)。お、来た来た…ん? 何故だろう、ココでも山葵の香りが弱いが、大根おろしの辛味は前回よりも強いので、混ぜ食べれば結果として‘調和のぶっかけ’健在。食べている間にも客は増えていくものの、大会をリタイアして早々に蕎麦を昼飯にしている走者は「そば処 さくら」で私一人のよう。フム、蕎麦湯割りの焼酎を蕎麦前にしてからでもヨカッタかなぁ、などと思いながら完食。
 
2015年7月20日
 
「おぎのや」で蕎麦を食す。
 蕎麦に居るね21 (6) 蕎麦に居るね21 (7) 蕎麦に居るね21 (8)
「トマトそば」(1000円)
「こだまの森」と「奥木曽湖」で遊んだ後、藪原宿の本陣跡の至近にある「おぎのや」初訪。ちょうど暖簾を出したところ、先待ちの3人客と一緒に店内へ。《生家の築130年以上の古民家をできるだけ手をいれずに、店舗とし、趣のある店内としてあります》…まぁ、確かに。《季節限定夏季のみ》のトマトそばを注文。お、来た来た…ん? トマトが味濃く美味いが強すぎないか? いや、麵と揚げ玉と大葉と汁を混ぜてズルズルと啜り食べると…正解! 最少の素材で複雑な味わいを狙った仕立てだろう。細目に打たれた麵の喉ごしが好い、さすが翁達磨グループの店、といったところか? 《神の手を持つ蕎麦打ち名人高橋邦弘氏(高橋親父様)に教えをいただきました》と謳う店主の神村治男氏のウデを《神の手》と呼ぶべきかどうかは判じないが…。そういう、どっちの誰に向いて敬意を払っているのかわからない商売のグループは好きではないが、まぁ、蕎麦自体がウマけりゃ良しとしよう。
 
「巴」(「道の駅 日義木曽駒高原 ささりんどう館」)で蕎麦を食す。
 蕎麦に居るね21 (9) 蕎麦に居るね21 (10)
「権兵衛大力そば」(1000円)
「おぎのや」から約10km南下し、続いて「道の駅 日義木曽駒高原 ささりんどう館」内の「お食事処 巴」で昼食の第2弾。《権兵衛街道の開祖、古畑権兵衛は、力自慢で天下に知られ、(略)そのエネルギーの源は、日義近郊で収穫されたそばで、権兵衛はそばの大食いが大変自慢であったと伝えられております》と謳っているので、権兵衛大力そばの券売機ボタンを押す。お、呼んだ呼んだ…ん? この五平餅たれが乗った焼き餅付きセットだから‘大力’なのか?つまり、力持ちだから力餅で「力うどん」と呼ぶのと同じ類? ならば《地元で収穫された玄そばを石臼で挽いた地粉を使用》という蕎麦としての価値は、どこへ行っちゃうの?…麵も汁もフツーにズルズルと食べられる、食事水準の蕎麦。
 
 蕎麦に居るね21 (11)
開田高原アイスクリームの蕎麦味のアイスに入った蕎麦の実をカリカリと味わいながら想う…トレラン大会と登山は果たしきれなくても、蕎麦を走り巡って食べた満足は大きい。
 
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蕎麦に居るね 20

ジャンル:グルメ / テーマ:うどん・そば / カテゴリ:食の記 [2014年11月17日 01時30分]
2014年11月6日、岐阜県恵北地域へ出掛けた途に、昼食を「道の駅 きりら坂下」で摂る。
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十割そば/野菜かき揚げ
「道の駅 きりら坂下」に寄って、「椛の湖自然公園産新そば」の看板が誘う食堂へ。この食堂で蕎麦を食べるのは初めて。13時過ぎ、客は3組、ガランとしている。1日に限定20食の十割そば(900円)がまだあったので注文、野菜かき揚げ(150円)を加える。十割そばは、甘みがあって噛み応えもあるが、‘新そば’特有の香りは弱い。もっとも、最近は何処の蕎麦屋で‘新そば’を食べても、産地や品種を問わずに年々と香りが弱くなっていく傾向にあるので、ココで文句を言っても始まらないか?…その分、変なクセ味や雑味も少ない。それ以外では蕎麦の汁も蕎麦湯もかき揚げも天つゆも、食堂モノとしてはまあ良い方か?
 
 「きりら坂下」最後の新そば 中津川
 《…同施設は運営会社の解散に伴い今月末で閉鎖される予定で、「最後の新そ
  ばを味わって」と、来場を呼びかけている。 「きりら坂下」は、合併前の旧坂下
  町時代の1998年、町内の椛(はな)の湖公園のソバ畑で栽培されるソバを活
  用しようと、第3セクター方式で開設。レストランや物販のほか、そば打ちなど
  の体験施設がある。新そばの時期には県内外から客が訪れ、週末には1000
  食出るほどの人気だが、冬季の集客に苦しみ、来場者は2011年の年間約18
  万人をピークに低迷。ここ2年は約16万人と落ち込み、累積赤字も5000万円
  近くになった。 ソバは5ヘクタールの畑で栽培し、今年は先月下旬に4トンを
  収穫。今月初めに製粉し、6日から販売を始めた。 (略)自らそばを打つ駅長
  兼支配人の三尾弘成さん(52)は「香りもよく、今年もいいそばができた。『粉
  のひきたて、麺の打ち立て、ゆでたて』に加え、この時期ならではの『採れたて』
  の4たてを味わって」と呼びかけている。》
  (読売新聞/2014年11月8日)
 
恵北地域には、旧恵那郡の付知・坂下・加子母・川上と旧木曽郡(長野県)の山口とに、計5つの「道の駅」があり、自治体合併によって全て中津川市が設置者として抱えている現状。「道の駅」は日本全国で1040駅、そのうち半数以上が実質の赤字経営である。坂下でも赤字は消えず、消えるのは駅長自らが打っていた地粉の蕎麦のようだ。残念か?必然か?
 
 
2014年11月9日、走大会で岐阜県西濃地域へ出掛けた途に、早い夕食を「喜更」で摂る。
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冷したぬきそば
マラソン大会で完走の後に車を走らせているうち、日が暮れて腹が減った…谷汲の「喜更」へ、初訪。17時過ぎ、え?もう終わり?ダメ?え?イイ?では、冷したぬきそばを…暖簾が引き込まれて終い客。ココの冷したぬきそば(770円)は、揚げ玉(天かす)と甘辛く煮た油揚げがのっている、岐阜市の老舗「更科」と同じ系統の態。では、ズルズル…ん?麺も汁も「更科」とは全く違う。「更科」の麺は七三(小麦粉7割・そば粉3割)の大衆向けに蕎麦の臭みだけを強調した黒っぽい駄蕎麦(コレはコレでウマいんだがネ)であるが、ココ「喜更」の麺はもっと上品な味わい。汁も甘辛いが、「更科」ほどには甘みが‘ベトッ’と来ないタイプだ。それでも、いわゆる‘そば臭い’味を打ち出している大衆向けの系統ではある…好い感じだ。
 
 《たぬき【狸】 たぬきそばの略。 ①天ぷらの揚げ玉(天かす)を使うところから
  「揚げ玉そば(うどん)」とも呼ばれる。大正時代に大阪で「ハイカラ」といわれ
  ていた種物。(略)戦時中「バクダンそば」の別名もあった。(略) ②きつねうど
  んをそば台にしたもの。大阪ではキツネがタヌキに化けたとして「お化け」とも
  通す。また京都では甘揚げに葛だしをかける。たぬきほど地方によってまちま
  ちな解釈をされる種物はない。》
  (新島繁『蕎麦の事典』柴田書店)
 
「喜更」のメニューには、そば台・うどん台が選べる‘きつね’もあるので、ココの‘たぬき’は揚げ玉の使用をもって言うのであろうが、それにしても揚げ玉と油揚げの両方がのる蕎麦、マッタク、《たぬきほど地方によってまちまちな解釈をされる種物はない》ので面白いゾ(笑)。
 
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蕎麦に居るね 19

ジャンル:グルメ / テーマ:うどん・そば / カテゴリ:食の記 [2014年10月09日 23時30分]
斑尾高原でのトレラン大会に参加、その前後で北信上越にて蕎麦食、合わせて五演。
 
 
2014年10月4日
 
「かじか亭」で蕎麦を食す。
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「ざるそば」(並/850円)
上信越道の豊田飯山ICより約18km北上して、富倉地区へ。富倉小学校跡地で富倉ふるさとセンター事業組合が1990年に開設した「かじか亭」へ。初訪。昼飯の1食目。
 《とみくらそば【富倉蕎麦】 長野県飯山市富倉のそばは、山ゴボウ(オヤマボク
  チ)の葉をつなぎにして打つ。(略)県下の山村ではそば打ちに同様のつなぎ
  を使う土地が多い。 / ●富倉そば 山ゴボウの葉の繊維を打ち込み、のば
  してからしばらく乾燥させる。生地は紙のように薄い》
  (新島繁『蕎麦の事典』柴田書店)
だだっ広い駐車場から店に入れば、客は私1人。‘富倉そば’は、俗に‘幻の蕎麦’などと言われているが、オヤマボクチつなぎの蕎麦自体を「時香忘」で食べている私に、‘幻’でも何でもない。予想よりも黒みが薄く肌理の細かい灰色の麺。やや釜は早いが空煮えではない私好みの硬い麺は、香り高くはないが、ツルンツルンの口当りが好い。このツルンツルンは、オヤマボクチだから? それとも、打ち粉に片栗粉を使うからか? 汁にも妙なクセが無く、控えめな味わいが好い。総じて素直な仕立て、フツー美味い。
 
「はしば食堂」で蕎麦を食す。
 蕎麦居る19 (3) 蕎麦居る19 (4)
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「ざるそば」(並/おかず付/950円)
富倉地区内を約1.7km移動、民家の蕎麦屋「はしば食堂」へ。初訪。昼飯の2食目。靴を脱いで座敷に上がれば、グループ客と入れ替わりで、客は私1人。黙っていても先に出てくる‘おかず’、窓から山の景色を眺めながら、枝豆や煮物や漬物を食べる。予想よりも赤みが強く透明感のある褐色の麺のぼっち盛り。ヌルヌル強烈の口当り。このヌルンヌルンの麺に甘酸っぱいクセがあるのは、つなぎ分が多いから? それとも、蕎麦粉が酸化しているからか? 汁にも茸系の妙に生臭い甘味があって、私の好みでは無い。バアちゃんとの話は好い‘おかず’だが、蕎麦自体は私の口には合わないナ。
 
「加藤」で蕎麦を食す。
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「もりそば」(500円)
富倉地区より新井方面へ北上して、国道18号線を南下して計約35km、妙高高原駅前の「加藤」そば屋へ。再訪。昼飯の3食目。店置きの漫画『ザ・シェフ』を読んで、注文した「もりそば」を待つ。1人入ると1人出る入れ替わりで客数人。ドンブリ茶碗に放り込まれた「もりそば」登場。太目の麺が香り薄くて味は濃い、コレは前回と変わらないが、今般はシメが効いていて、ポクッとした噛み応えが心地好い。これならば、出汁甘さと醤油辛さが分離気味の汁にも合っている、イイねぇ。田舎食堂の蕎麦屋の味ブレとしては、許す許さないよりも、それも風情の内と言いたくなる、のんびりした雰囲気。
 
 
2014年10月5日
 
「道の駅 ふるさと豊田」で蕎麦を食す。
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「天ざるそば」(950円)
トレラン大会後の帰途、涌井地区の蕎麦屋を覘くがやはり3件共に店は終わっていた。昨年同様に、豊田飯山IC近くの「道の駅 ふるさと豊田」へ。温かい蕎麦を食べるつもりだったが、イーゼル看板の‘天ぷら’推しに屈して、券売機では「天ざるそば」を押す。相変わらずガランと人気の無い食堂、ココの指定管理者である株式会社斑尾の事業評価はずっと‘A’だけど、大丈夫か中野市。だが、「天ざるそば」の麺と汁は、相変わらず食堂の駄蕎麦として充分な水準。天ぷらの味も平凡だがまあ悪かぁない、コレで珍しい茸や山菜でも揚げてくれればなぁ…などと勝手なコトを思いつつ蕎麦湯を飲む。
 
「長野自動車道 姨捨サービスエリア 上り線 田毎庵」で蕎麦を食す。
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「肉そば」(800円)
道の駅での蕎麦は遅い昼飯だったので、続き、NEXCO東日本が‘ドラマチックエリア’(?)とかいう意味不明のリニューアルオープン(2014年3月29日)をさせた姨捨SAで、やや早い夕飯とする。狂言本『木賊(とくさ)』に挙がった信濃の名所に、「さらしな(更級)の里、おばすて(姨捨)山、たごと(田毎)の月」とあり、‘姨捨’SAに‘田毎’とくれば、蕎麦は当然か? もっとも、更級に掛けて‘更科蕎麦’という‘芸’はないだろうが。そもそも、運営するアルピコ観光サービスには味でも過度の期待ができないが、果たして…仕立てや味に何らの文句も情緒も無い「肉そば」は、値段だけ‘ドラマチック’?
 
 
トレラン大会はついで、2日間で蕎麦5食が本命?いや、本命とする蕎麦探しは続く…。
 
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蕎麦に居るね 18

ジャンル:グルメ / テーマ:うどん・そば / カテゴリ:食の記 [2014年08月16日 01時30分]
2014年8月5日、他用で南信地方へ出掛けた途中で、昼食を「おにひら 飯田店」で摂る。
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えび天そば(冷)
初訪の「そば処 おにひら 飯田店」は、「飯田市川本喜八郎人形美術館」の階下に、観光案内所と混在するような構え。店員に、冷たいえび天そばが「辛汁のぶっかけ仕立て」か「甘汁の冷かけ仕立て」か訊ねたが、意が通じないらしく返答が曖昧…まぁ食べてみるか。ぶっかけ仕立ての台に揚げたての大きなエビ天2本がのって運ばれてきた。汁は濃過ぎず、やや細めで素直な味わいの麺によく合う。エビの天ぷらは臭みのない身が締まって旨い。だが、この仕立て、台の蕎麦切りを食べる時にはエビ天がジャマで、エビ天を食べる時には台がジャマ、台と上置きがミスマッチ、それが残念。悪くはない…が良くもない?
 
昼神温泉のある長野県阿智村智里で1981年に結成された「ひがし会」を基に1986年「智里東農事組合法人」が発足、この‘むらおこし事業’の一環として1989年に「そば処おんびら」(現「おにひら 本店」)を開設。2001年には「おんびら 飯田支店」を出したが、この店は後に別れて「有限会社おんびら」運営の「おんびら 飯田店」となり、2012年に経営が破綻して閉店した。元の「智里東農事組合法人」は「おにひら 飯田店」を2006年に開店、その際に阿智村智里にある「本店」・「ひるかみ店」を「おんびら」から「おにひら」へ改称した。その「智里東農事組合法人」も破綻の危機に陥って「株式会社ちさと東」へ組織を変えた。阿智村智里の‘むらおこし事業’は、2006年10月から2012年4月まで、隣接する飯田市に「おんびら」(鼎名古熊/アップルロード沿)と「おにひら」(本町1丁目)の2店舗が併存する‘奇態’を招いたのである。有志と組織、個人と法人、過疎と振興…20年余前に食した阿智村「おんびら」の蕎麦と、今般に摂った飯田市「おにひら」の蕎麦、その風合は田舎蕎麦寄りから街蕎麦寄りへと変異していた。「おんびら」の名は、地名である「扇平(おうぎひら)」に由来する、とも言われる…ならば、「おにひら」の名は、どこから現れたのであろうか?‘むらおこし’の変容と‘蕎麦屋’の盛衰…南信地方に限らない?
 
 
2014年8月13日、避暑で北信地方へ出掛けて遊んでいる途中、昼食を「うえだ」で摂る。
 蕎麦居る18 (3) 蕎麦居る18 (4)
ざるそば
2011年10月以来の訪店となる黒姫高原の「そば処 うえだ」で、ざるそばをテラス席で友人と共に食べる。時季が時季だけに香りや粘りはやや薄いが、それでも細打ちされた麺の噛み応えや喉越しの爽やかさは相変わらず、この麺にピッタリの辛過ぎず甘過ぎずの汁、その調和の良さでアッという間に完食。今般は素直な風味の蕎麦湯が特に旨い、それを飲みながらテラス席から眺める景色も良好。どこまでが地粉で、なにをして霧下であるのか、そこは不明であるが、この気軽くも品良くまとまった仕立てに、心も晴れ晴れ。
 
 
[余聞ごと]
 蕎麦居る18 (5) 蕎麦居る18 (6)
話を蕎麦から饂飩にハズす。トリドールが展開する「丸亀製麺」へ相変わらず時々訪れる、飽きもせず…いや、本当は飽いて倦んでいる。真正の‘讃岐うどん’であるとも思えぬが、倦怠の根源はソコではあるまい。近日に1000店舗を達成しそうな店舗の急増、その数が存在を凡下にして商品を陳腐にしていること、スタバのコーヒー(というよりミルク飲料)と同じ道程か? それでも、「丸亀製麺」が今夏6月から出していた「濃厚豆乳豚キムチ冷かけ」と「旨辛鶏ネギ冷かけ」はゲテモノ饂飩として楽しめたので、私は何度か食べていた。
 蕎麦居る18 (7) 蕎麦居る18 (8)
話を饂飩から蕎麦に戻す。トリドールが出店した「まるきそば」へ相変わらず時々訪れる、怪しみもせず…いや、本当は怪しみ訝しんでいる。真正の‘石臼挽二八打’であるとも思えぬ、怪訝の根源はソコである。「丸亀製麺」と同様のセルフ方式をとっくにやめて、並のもり蕎麦の3倍量が盛られた‘万福’(現価格590円)をウリに改変したのは昨2013年の2月頃だったか? それはともかくとして、巷間で同年10月より騒動になった‘食材偽装問題’の後、いつの間にか「まるきそば」の店舗看板にあった‘石臼挽二八打’の文字が塗り隠されていたのである。それでも、作りも味も変わらぬので、私は何度か食べている。近日に店舗を急増しそうに無い、その存在の希少が商品を無為な高尚にしていることは、カップ・オブ・エクセレンスのコーヒーと同じ道程か? 蕎麦にもコーヒーにも‘偽装’がある?
 
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蕎麦に居るね 17

ジャンル:グルメ / テーマ:うどん・そば / カテゴリ:食の記 [2014年07月24日 05時30分]
長野県木曽方面へトレラン大会に参加、その前後日に蕎麦を食すること、今夏も三演。
 
2014年7月19日
 
「時香忘」で蕎麦を食す。
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「極粗挽き寒晒し熟成 もり蕎麦」(おお盛り)(1620円)
この時季に年一回の訪店も連続6年となった。今般は到着が午前11時を過ぎて、待ちを覚悟していたが、スグにカウンター席に着けた(蕎麦が出てくる頃には満席になった)。「何度かいらしていただいていますよね」と言われ、躊躇無く「ハイ、もり蕎麦を大盛りで」と応える。改めて「時香忘の蕎麦理論」を読む、《私どもでは玄蕎麦の段階ではなく蕎麦に仕上げてからの寒ざらしをしております。蕎麦をケースごと真空状態にし0℃~-1℃の氷温で三日から四日熟成させております》…「寒晒し蕎麦」の変則‘熟成’製法(?)か。山葵をすりおろしていると、蕎麦が出てきた。相変わらず甘み強いウマイ蕎麦であるが、今般はより熟味が増したのか、渋みが減ってフルーティな酸味を感じる…ようやるよなぁ。
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精妙孤高の蕎麦は、少しずつトゲトゲした臭みや渋みを抑えて、調和のとれたマイルドな旨みを追う方向へ、麺も汁も変化してきているのかもしれない。但し、ココまで来ると単に「粗挽き蕎麦」の正当な代表格というよりも、異端変則で際立った味わいといえる。この風趣の蕎麦の一年一会、次はどんな変化を示すのか?時香忘はどこへ行くのか?
 
2014年7月21日
 
「さくら」で蕎麦を食す。
 蕎麦居る17 (5) 蕎麦居る17 (6)
「たぬきおろしそば」(大盛)(1100円)
田ノ原登山口からの御嶽山登山を終え、車で下る途中で二合目の「そば処 さくら」に寄ること2年連続。今般は多数の客が入っていたが、スグにカウンター席に着けた。汁別添えのいわゆる‘ぶっかけ’の仕立て「たぬきおろしそば」を今年も注文する。麺はソバの香りも味もそこそこ立っていてウマイ。汁もウマイが…ア、汁に鰹粉が浮いている、そりゃ風味が強いワケだ(笑)。揚げ玉と大根と葱と山葵と麺と汁とをシッカリとかき混ぜて食べれば、ウン、この蕎麦はコレがウマイ。例えば「吉田屋 玄庵」の「おろし浅草」ほど鋭い構成力は無いし、或いは「かどふく 新守山店」の「ぶっかけそば」ほど強い破壊力は無いが、これらとは異なる「そば処 さくら」の‘調和のぶっかけ’もハズレが無くて好いかも…また、寄ろう。
 
「妻籠庵」で蕎麦を食す。
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「くるみそば」(980円)
2年前の帰途には、恵那峡サービスエリアのレストラン「木曽路」で、とんでもない蕎麦を食べさせられたが…《この度、中央自動車道 恵那峡SA(下り線)レストラン、フードコートがリニューアルオープンしました》だと…そのフードコートの「そば処 妻籠庵」のおすすめメニューは、「くるみそば」だと…昼食とも夕食ともいえない時間帯だが、寄って食べよう。ブザーバイブの呼び出しで大きな器を受け取り、さて…ん?何で揚げた鶏肉が乗ってる? まず麺を…ズルズビュ、モグモギュ、ネチャネチャ…ゲェ、何だ、この粘土みたいな物体! 刻み胡桃を僅かに乗せただけで、味噌だれは中華のような味つけ…あぁ、またハマッタ、もうシマッタ。食べ終えるのがやっと、どうしてココまで不味いものを‘おすすめ’するかな?
 
 蕎麦居る17 (9)
革新か異端か、調和か凡庸か、惰性か低劣か…蕎麦屋も蕎麦もイロイロだが、楽しみ方もイロイロ、面白かったなぁ…後に、セブンイレブンの「ざる蕎麦」を食べながら考えていた。
 
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kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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