ノマド、イェイ

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2017年01月08日 01時30分]
「のーま、のーま、のーま、のーま」と《世界一に4度輝いたレストラン》として連呼されて「イェイ」と騒いでいる映画の予告編を見た。…む゛? コレ前にも見たゾ。映画『ノーマ、世界を変える料理』(NOMA my perfect storm/2015年)と同じじゃねぇか! 「のーま」で「イェイ」って、‘のまネコ’の「恋のマイアヒ」か、てぇの。もっとも、O-Zone(オゾン)が‘Dragostea Din Tei’(邦題「恋のマイアヒ」)をリリースした年、クラウス・マイヤーがレネ・レゼピと「ノーマ」を開業した年、いずれも2003年でかぶっているな。前の映画ではレネ・レゼピが《後がないんだ しっかりしてくれ》とか言っていたが、はてさて今般の映画はどうよ? ♪ Noma, Noma iei, Noma, Noma, Noma iei ♪
 ノマド、イェイ (1) ノマド、イェイ (2)
 
『ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやって来た』(Ants on a Shrimp) 観賞後記
 
《世界初の試みとして「ノーマ・アット・マンダリン・オリエンタル・東京」を期間限定で開店するために来日》とか《6万2000人がウェイティングリストに名を連ねた》とか、フライヤーやWebサイトで意味不明のゴタクを並べた映画だ。ノーマは、2012年にロンドンのホテルで10日間の出店をしていた。その頃のコペンハーゲンのノーマは、月間約10万件の予約照会を受けていた。ノーマ東京では蟻が乗った「長野の森香るボタンエビ」を会期の途中からシバエビで誤魔化していたが、このドキュメンタリーでは惹句にならないゴタクを宣伝にして誤魔化している。新鮮な食材の探求を撮っても、それを配給する姿勢が腐っていたのだ。
 ノマド、イェイ (3) ノマド、イェイ (4)
そして、このドキュメンタリー自体も酷い。遠慮がちで工夫のないカメラワーク、質の悪い音録り、レネ・レゼピへの讃辞ばかりの採録、何が主題なのかもわからない構成…最低の部類に属する作品だ。前の映画ではノロウイルスが病因の集団食中毒をノーマで出したレネ・レゼピが《最悪だよ どうにもならない》とか言っていたが、今般の映画『ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやって来た』こそ《最悪だよ どうにもならない》と私は断ずる。今作でレネ・レゼピが吐いている《作り直しだ、これじゃお客には出せない》や《失敗するなんてガッカリだ、全部やり直せ》という言は、監督モーリス・デッカーズへ向けられるべきだ。
 
 《「…次善のものに甘んじて満足せよなどといわれるのは、芸術家にとって
  は恐ろしいこと、耐えられぬことだとおっしゃったのです。芸術家が次善
  のもので喝采を受けるのは、恐ろしいことなのです。あのかたはおっしゃ
  いました。芸術家の心には、自分に最善をつくさせてほしい、その機会
  を与えてほしいという、世界じゅうに向けて出される長い悲願の叫びが
  あるのだと」》 (イサク・ディーネセン 『バベットの晩餐会』/桝田啓介:訳
  筑摩書房:刊)
 
 ノマド、イェイ (5) ノマド、イェイ (6)
概して20世紀のデンマーク料理は、クリスティーネ・マリエ・イェンセンの“Frk. Jensens Kogebog”(イェンセンの料理本/1901年)だけで《甘んじて満足せよなどといわれる》に等しい状況だった。そこへノーマが登場して、その躍進と影響は‘Nomanomics’(ノマノミクス/Webサイト“Roads & Kingdoms” 2012年10月)とまで評された。2013年2月に集団食中毒を起こしたレネ・レゼピは、《機会を与えてほしい》と願うバベットほど慎ましやかではないので、デンマークを離れて打って出た。2015年に東京で37日間の出店、2016年にシドニーで68日間の出店、2017年もメキシコのトゥルムで47日間の出店を予定。2016年末に閉めたコペンハーゲンの店は郊外へ移転して再開するらしいが、これもレネ・レゼピの‘コロニヘーヴ’程度に捉えるべきか? そして、既にシドニー出店のドキュメンタリーも発表されているが、おそらくメキシコ出店やコペンハーゲンでの移転の映像作品も作られるだろう。もう、ウンザリだ。ノーマは変わってしまった。以前に《レネ・レゼピの素顔はヴァイキングである》と言ったが、こう言い直そう…レネ・レゼピは遊牧民である。店の名は「ノーマ」(Noma/nordisk+mad)ではなくて、「ノマド」(Nomad)が相応しい。ノマド、イェイ!
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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