東京冬来 前篇

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2016 [2016年12月11日 23時00分]
東京へ行く支度をする。毎朝のマンデリンの抽出に用いるネル布と一緒に、もう一つ別のフィルターを荷にいれよう。もう一つのフィルターも今般はネル布にする気になって、前日に新品を煮だしおろして醸してあった。そのネル布を冷蔵庫から取り出した時に、携帯電話が鳴った。「美美の森光さんが亡くなりました」という友人からの報せだった。その2時間後の日付が変わる頃、私を載せた夜行バスが発車した。寝つかれないまま、カーテンで閉ざされた窓を暗い車中でぼんやりと眺め続けた。東京に、そして、コーヒーの世界に、冬が来たのだろうか?
 
【JCS年次集会前日】 2016年12月9日
 
 東京冬来 (1)
夜行バスで早朝に新宿へ到着、電車とバスを乗り継ぎ、中目黒のサンドイッチ屋「Chapeau de paille」(シャポード・パイユ)へ。神岡・坪内の両氏と談話しながら、店先でマンデリンを淹れて喫する。エビ・アボカド・卵のオーロラソースのサンドイッチとラムレーズン・チョコレートのフレンチトーストを朝食に…ウマい。歩いて社寺などに寄りながら、目黒通りの周辺を散策する。
 
 東京冬来 (2) 東京冬来 (3)
「神乃珈琲」(カンノコーヒー)を初訪。取材か何かのロケバスがはけてから、開店と同時に一番客となる。2週間前に逝去したフィデル・カストロを偲んで、シングルオリジンのキューバを注文。《アーモンドなどのナッツの様な風味の持続性があり、口に運ぶたびその風味が強くなっていき、余韻が長くつづくソフトな味わいのコーヒーです》…強くなって長引くのはナッツと共に生焼けの香味。
 
 東京冬来 (4)
♪ ハァー サードウェイブ サードへと草木もなびくよ…「サードおけさ」を口ずさみながら、学芸大学駅界隈の商店街を歩く。その後、恵比寿の「Tram」(トラム)へ。ブレンドの濃いめを飲んで、やっと胸やけが治まった。グァテマラとコスタリカも出てきて、産地や品種や精製と香味特性の連関について古屋達也氏と談議。「(森光さんが逝って)大坊さんの気落ちが心配」とも。グァテマラを贈りパプアニューギニアを貰う、焼き豆交換。
 
 東京冬来 (5)
青山の「Gentle Belief」(ジェントル・ビリーフ)へ。おまかせでケニアの濃いめを飲んで、浅野嘉之氏と談議していると、大坊勝次氏が来店。心配の声を伝えれば、「かなり落ち込みました」という大坊さん。それでも3人で賑わしく話すが、刊行予定の対談集のことなど、やはり森光宗男氏の話題から離れられない。「あ、もう行かなければ、お先に、ではまた明日」と大坊さんに告げて店を出る。
 
 東京冬来 (6) 東京冬来 (7)
『コーヒーが廻り世界史が廻る 近代市民社会の黒い血液』(中央公論社:刊)から24年を経て臼井隆一郎氏が著した『アウシュヴィッツのコーヒー コーヒーが映す総力戦の世界』(石風社:刊)をブログに取り上げたところ、著者より呼び出しをくらった(笑)。地下鉄を乗り継いで、秋葉原駅近くの井上ビル4階「Forum ことばと大地」へ。ここは和泉橋の北側、つまり神田川の向柳原の一画であり、神田の悪魔町と言われた佐久間町にあるので、人文系の知の悪魔、いや知の巨人のアジトにはピッタリ(?)。臼井さんの高説を拝聴するつもりで入室し、口頭試問を受けるつもりで差し向かいに座ったが、臼井さん差し入れのケーキを平らげ、私が持参したグァテマラ(エルインヘルト・ウノ・パカマラ)をネル淹てで喫しながら、談論風発。コーヒーセレモニーに土佐丸にジャガイモ飢饉にルワンダ虐殺にキューバ危機に…気がつけば話題を好き勝手に振ってタバコを咥えながら喋りまくっているのは私の方だった。場を「磯丸水産 秋葉原店」へ移しても、飲み食いしながら楽しき談議が続く。6時間半の対談の挙句に「ごちそうさま」と食い逃げ(?)。
 
定宿の「ほていや」へ行って部屋のテレビをつけると、明日の東京の気温は今日よりも摂氏5度以上も低いと予報している。東京に冬が来た。そして、コーヒーの世界にも冬が来たのだろうか? それは明日の集会でも探り続けてみよう。
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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