函館どうでしょう

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2016年10月24日 01時30分]
3年連続でコーヒー絡みのご当地映画(?)が公開された。2014年は安房を舞台にした『ふしぎな岬の物語』、2015年は珠洲を舞台にした『さいはてにて やさしい香りと待ちながら』、そして2016年は函館を舞台にした『函館珈琲』。《時にはほろ苦く、甘酸っぱい、まるで珈琲のような映画が函館から誕生しました》…あ~またやばそうな雰囲気だが、『函館珈琲』どうでしょう?
 函館どうでしょう (1) 函館珈琲初日来場ポストカード
  
『函館珈琲』 観賞後記
 
 《会社に勤めながら執筆を続ける名古屋市天白区の脚本家、いとう菜のは
  さん(46)の作品「函館珈琲」が映画化され、22日から名古屋シネマテー
  ク(同市千種区今池)で上映される。(略)公募された函館イルミナシオン
  映画祭の2013年シナリオ大賞グランプリ作品。(略)北海道函館市にあ
  る古い西洋風アパートを舞台に、ガラス職人やテディベア作家、写真家な
  どの若者が、葛藤と向き合いながら新しい一歩を踏み出していく群像劇。
  (略)実は、いとうさんは函館に行ったことがなかった。著名な映画監督ら
  が「オープンセットのような街」と形容する街に憧れ、「想像力を働かせて
  書いた」という。授賞式と昨夏のロケの際に訪問し、「いろいろな過去や
  傷を抱えた人を受け入れてくれる、澄んだ空気はイメージ通り」だと実感
  した。(長谷部光子)》 (『毎日新聞』 2016年10月21日)
 函館どうでしょう (2)
函館といわれても、百貨店の「棒二森屋」とソフトクリームの「きくち」とハンバーガーの「ラッキーピエロ」それにクローヨくらいしか思い浮ばないので、映画『函館珈琲』を観に行こうにも気怖じしそうだった。だが、《函館に行ったことがなかった》いとう菜のはが脚本を書いているので気が楽になった。コーヒーノキを育てる生産者からみればコーヒーを飲む消費者は永久に客体であるのと同様に、映画の舞台となる‘ご当地’函館からみれば観客は永久に客体なのだから。その主客の差違は絶対であるが、いとう菜のははどっちなんだろう? 『函館珈琲』どうでしょう?
 
黄川田将也(桧山英二:役)やAzumi(藤村佐和:役)や中島トニー(相澤幸太郎:役)の演技に力みが見えてキャラぶれが激しい幼さがあるのは残念。片岡礼子(堀池一子:役)や夏樹陽子(荻原時子:役)やあがた森魚(マスター:役)は可もなく不可もなく。それでも『函館珈琲』は、『ふしぎな岬の物語』や『さいはてにて やさしい香りと待ちながら』よりもドラマ映画としてずっとマシだった。演出が良いとは思えないが、何となく浮ついた違和感が函館の風景に似合っている。これが桧山のいう《函館は時間の流れ方が違う》ということなのか? 『函館珈琲』どうでしょう?
 
 《撮影の思い出といえば、打ち合わせで「パーコレーター」という方法で珈琲
  を淹れることになって、何件もの珈琲店で視察、勉強、実践して準備しま
  した。ところが、函館の現場に入ったら、急に「ネルドリップ」に変更になっ
  て。いろいろな淹れ方を勉強はしましたけど……これが現場の怖くも楽し
  いところですね。》 (黄川田将也:談/『Pause シネマで広がる女性の快
  適ライフ』Facebook 2016年10月4日)
 函館どうでしょう (3)
コーヒー映画としての『函館珈琲』は、全く話にならない。桧山英二の抽出は、注湯の最初から最後までドボドボジョバジョバと乱暴で湯溜まりだらけ。透過法になっていないネルドリップ、怖くて楽しくない。その桧山が納品先のコーヒー屋で生豆を摘まんで《新鮮なあかしですね》と言うと、マスターが《お、わかってるね》と答える。グリーンビーンズを気軽に摘まめるほどむき出し開け晒しで店頭に放置している、全くわかっていない。幕切れで桧山が開いた店では、《当店で抽出している各国から届く珈琲豆は全て自家焙煎です》と黒板に書いてあったが大丈夫なのか? 店頭に「函館珈琲」などと掲げるよりも、店名を「不完全な月」とでもした方が相応しかったのでは? 『函館珈琲』どうでしょう?
 
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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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