航星日誌0448.1021

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2016年10月21日 23時30分]
「航星日誌0448.0722」 STB(ビヨンド)がUSAで公開された。やはり何かおかしい。33日前に事故で死んだアントン・ヴィクトロヴィッチ・イェルチンは、まだ蘇生しない。カーン・ノニエン・シンの血を使わなかったのか? 511日前に病で死んだレナード・サイモン・ニモイも、まだ蘇生していない。ジェネシスを発動させなかったのか? アントンの死とほぼ同じ頃に、宇宙の名は‘Abramsverse’(エイブラムスバース)から‘Kelvin Timeline’(ケルヴィン・タイムライン)へと変えられた。私たちの歴史は、何者かによって改変された時間軸へ迷い込んでいるようだ。
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『スター・トレック BEYOND』(Star Trek Beyond) 観賞後記
 
 《なるほど、たとえばテレビでは到底感じられなかった宇宙船〝USSエン
  タープライズ〟の偉容、それが跳躍(ワープ)する際の生理的な快感、
  そして迫り来る奇怪なエネルギー雲と、その核であるところの謎の
  〝ヴィージャー〟のイメージは、まさしく『2001年宇宙の旅』以後で
  あり、『スター・ウォーズ』以後である。(略)僕は思う。ジョージ・ルーカ
  スやスティーヴン・スピルバーグやリチャード・ドナーやリドリー・スコッ
  トらが、かつて幼いころ、スペース・オペラ映画やスーパー・ヒーロー
  映画、〝空飛ぶ円盤〟物や〝宇宙怪物〟物に心ときめかし、その結
  果自らが新しい映画を生み出していったように、〈宇宙大作戦〉(スター・
  トレック)を含む数々のテレビSFもまた、さらに新しい映画の原点に、
  いつかはなってゆくのだろう。そして、そうである時、それこそがトラン
  ブルやダイクストラや、そのまた後継者たちの本当の檜舞台となり、
  僕などまでも巻き込んで〝映画〟をさらに興奮させてゆくことだろう。
  そんな意味において、僕はあえて映画『スター・トレック』の様々な欠
  点を、〈宇宙大作戦〉(スター・トレック)にほとんど心ときめかされぬ事、
  むしろ僕以上であるはずの、ロバート・ワイズ一人にまとめてしまいた
  い。》 (石上三登志 「スター・トレック」/『キネマ旬報』1980年6月上
  旬号/『SF映画の冒険』 新潮文庫 1986年 に収載)
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「航星日誌0448.1021」 STB(ビヨンド)が日本で公開されたので、接触をしてみた。何がおかしいのか判明した。監督はジャスティン・リンへと変えられていた。前2作(STXISTID)でエイブラムスバースを生み出した張本人は、脚本を「スター・ウォーズ」おたくのサイモン・ペッグに改変させて、自らは偏愛する「スター・ウォーズ」宇宙へと逃げていた。全てはJ・J・エイブラムスの策謀によるもので、彼がバッド・ロボットを実働させた2001年以後の歴史は変わってしまったのだ。蘇生するはずのアントン・イェルチンとレナード・ニモイを死んだままにして、スポック・プライムを殺したのも、J・J・エイブラムスに違いない。
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カーン以後の‘死と再生’を描いた映画『スター・トレック BEYOND』(STB)は、別の宇宙の物語(劇場版2作目TWOK・3作目TSFS・4作目TVH)の焼き直しである。すなわち、いずれも老いたスポックが死んでカトラを継いだ若きスポックが蘇る話であり、また旧いエンタープライズ号が潰れてヨークタウンを絡めた新たなエンタープライズ号が甦る話である。つまり、サボタージュである。だから、ケルヴィン・タイムラインの第1作(STXI)の冒頭で流された「Sabotage」(ビースティ・ボーイズ/1994)が、この第3作(STB)では‘音楽兵器’として使われた。『オデッセイ』(2015)もそうだったが、最近のSF映画はミュージカル・コメディが流行りらしい。次の第4作では、「Intergalactic」(ビースティ・ボーイズ/1998)でも使ったらどうか? 他にも既視感ばかりの映像で苦笑いするしかないが、ジャスティン・リン監督でギリギリ救われた? そんな意味において、私はあえて映画『スター・トレック BEYOND』の様々な欠点を、〈宇宙大作戦〉(スター・トレック)シリーズにほとんど心ときめかされぬ事、むしろ私以上であるはずの、J・J・エイブラムス一人にまとめてしまいたい。
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スタトレ…それは旧世代に残された最後の開拓地である。そこには新世代の想像を絶する古臭い設定、 古臭い展開が待ち受けているに違いない。 これは、13作目の試みとして3年ぶりの公開で飛び立った宇宙船U.S.S.エンタープライズ号の懐古に満ちた映画である。LLAP。
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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