ボケモンナーレ 其の肆

ジャンル:学問・文化・芸術 / テーマ:art・芸術・美術 / カテゴリ:観の記:美面 [2016年08月23日 01時30分]
第3回の「あいちトリエンナーレ」が‘鳥エンナーレ’であった豊橋地区から戻ってきたが、面白味が薄くて弱いテーマ「虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅」を追った‘想像する呆け者の旅’は続く。だが、そもそも豊橋どころか名古屋ですら「あいちトリエンナーレ」は要るのか? 「呆け者なぁれ」(ボケモンナーレ)じゃないのか…よし、呆け者(ボケモン)GOだ!
 
2016年8月21日
「あいちトリエンナーレ2016」 (名古屋駅会場/栄会場)
 
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誰がポケモンGOに熱中しているのかも判らない名古屋駅の人波をかきわけて、ジェイアール名古屋タカシマヤで佐藤翠がブライアンアトウッドの靴とコラボレーションした関連展示を観てから、JPタワー名古屋へ。映画『モダン・タイムス』(1936年)をモチーフにした森北伸の作品、もしも『自由を我等に』(1931年)から着想したならばどうなるのだろう? 地下鉄で栄会場へ。
 
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損保ジャパン日本興亜名古屋ビルの大巻伸嗣による暗闇の中でのインスタレーションは2日前に先行して観た、ふ~ん。同ビル内の「あいちトリエンナーレ並行企画事業 人類と人形の旅 ~human with puppet~」の関連企画「人形美術家展」の方が面白い。特に、片岡昌の〈狂人教育〉の人形は狂気が迫って好かった。さて本日は「広小路夏まつり」の2日目、その本部の朝日神明宮も盛況。
 
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中央広小路ビルへ。山田亘の‘大愛知なるへそ新聞’を配布している編集部を観る、ふ~ん、なるへそ。続いて〈交わる水-邂逅する北海道/沖縄〉、今般の「あいちトリエンナーレ」ではコラムプロジェクトがどれも好い。いや、コラムプロジェクトだけでも好いかも(笑)。旧明治屋栄ビルへ。〈液体は熱エネルギーにより気体となり、冷えて液体に戻る。そうあるべきだ。〉と端聡は示し、その作品は見事、だが蒸発と凝縮に‘べき’は無い。
 
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寺田就子による展示、元は越智インターナショナルバレエの教室だった‘鏡面’空間が‘透明’偏愛よりも効いている。山城知佳子やソン・サンヒの映像作品は訴えに余裕がない力み過ぎた拵え、つまらん。豊橋から名古屋へと観疲れてきたからか、ケルスティン・ブレチュのインスタレーションのように浮ついた熱意の方が気楽でイイ。窓の外には「広小路夏まつり」のパレード、劇的偶然の好い展観。今日の‘想像する呆け者の旅’はここまで…
 
 《放っておくとすぐに混濁してくる世界像を毎日補正する。手間もかかるし、報
  われることも少ない仕事ですけれど(「雪かき」とか「どぶさらい」みたいなもの
  ですから)、きちんとやっておかないと、壁のすきまからどろどろしたものが侵
  入してきて、だんだん住む場所が汚れてくる。(略)でも、さきほどから言って
  いるように、この仕事はボランティアで「どぶさらい」をやっているようなもので
  すから、行きずりの人に懐手で「どぶさらいの手つきが悪い」とか言われたく
  ないです。》 (内田樹 『日本辺境論』 新潮社:刊 2009年)
 
2011年の東日本大震災を意識した「揺れる大地 ─われわれはどこに立っているのか:場所、記憶、そして復活」をテーマに掲げた前回の「あいちトリエンナーレ2013」は、「暗い」とか「重い」とか「なぜ愛知で」とか言われたらしい。《取って付けたような大物芸術家はいらない》とか《根本的な特色がないのにトリエンナーレのためのトリエンナーレになっている》とも評された(『中日新聞』記者座談会 2013年10月29日)。批判を全て呑んだと主催者は認めないだろうし、《行きずりの人に懐手で「どぶさらいの手つきが悪い」とか言われたくない》だろう。だが、今般の「あいちトリエンナーレ2016」では結局に、《取って付けたような大物芸術家》は消えて‘B級’揃えになり、毒にも薬にもならない散漫なテーマが付された。それが、「虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅」である。ここは、「意地のどぶさらい 想像する呆け者の旅」にした方が相応しい。《壁のすきまからどろどろしたものが侵入してきて》ギリギリと歯軋りしたり反吐を撒き散らすような葛藤がなければ、国際美術展は面白くない。‘全くダークで暗い未来’の「ボケモンナーレ」じゃないのか?
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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