コーヒーの風俗

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2016 [2016年08月17日 01時00分]
コーヒーの風俗とは何か? 例えば、スペシャルティコーヒー時代(?)になって、コーヒー屋の身なりや身ぶりに多様性が進み、アメリカ合衆国では‘The Hot Spot Coffee Company’や‘Bikini Beans Espresso’や‘The Banana Hammock Espresso’などが風俗の匂いを漂わせているようだ。そして、さらに強烈な風俗の匂いがするコーヒー屋がヨーロッパに現われそうだ。
 コーヒーの風俗 (1) コーヒーの風俗 (2) コーヒーの風俗 (3)
 
 「スイスの新しいカフェメニュー:コーヒー、クロワッサン、そしてセックス」
 《ジュネーブで今年の終わりまでに朝食のモカやカプチーノ一杯と一緒にオーラ
  ルセックスを「販売」するセックスカフェが出現する。オリジナルなコンセプトを
  もつ同店の名称は「カフェ・フェラチオ」。スイス紙ローカルによると、平均費用
  は約60ドル。同様の店がタイにあることを知った地元輸入業者Facegirlの
  ブラッドリー・チャヴェ・オーナーが創設した。次のような仕組みだ。空腹の(文
  字通りの空腹ならびに比喩的な空腹)男がやって来て、メニューのコーヒーを
  注文、同時に、彼に性的快感を与える売春婦をiPadで選ぶ。それから彼は
  テーブルに席を取り、注文の品を楽しむというわけだ。》
  (Webサイト「スプートニク」 2016年6月30日)
 コーヒーの風俗 (4)
 「朝食にコーヒーとセックス:ロンドンとジュネーヴのカフェに特別サービス登場」
 《スイスの企業家が、ウェイターがコーヒーと共にオーラルセックスを提供するカ
  フェを開く計画を発表した。(略)しかし未だ第1号店を開かないうちに、チェー
  ン拡大が宣言されている。同様のカフェはロンドンでも開かれる。現在会社の
  法律家が、同企業が英国の法を違反しないよう取り組んでいる。(略)ちなみ
  に、すべての行為は共通ホールで行われる。隅っこやカーテンは1つもない。
  注文は最低50ポンドからで、全ての手続きは15分ほど。もし延長が必要な
  ら、毎15分に10ポンド必要だ。》
  (Webサイト「スプートニク」 2016年8月10日)
 
「カフェー」や「ノーパン喫茶」など、風俗の匂いを昔から漂わせていた日本のコーヒー界にとっては、「カフェ・フェラチオ」など驚くほどのものではない。だが、この際にコーヒーの風俗に関する日本の国粋を喧伝するべきだ、と私は思う。やれサードウェイブだのプアオーバーだのサイフォンだの水出しだのがアメリカ合衆国の一部で騒がれる都度に、その手本だの源流だのが日本に存すると日本のコーヒー界やマスコミは浮かれてきた。腐った誤解で腐った潮流に乗る無恥の仕儀ではあるが、どのみち曲解するならば「コーヒーに関する風俗営業の淵源は日本にあった」と無恥の国粋を示すべきであろう。何故、誰も言わないのか?
 
 《カフェと喫茶店は異なる内容の店としてとらえられてきたが、その最初から別
  の飲食店として区別されてきたわけではない。統計でもひとつに取り扱われる
  ことが多かった。明治31年(1898)以降の喫茶店について、その店の数を
  「東京市統計年表」から知ることができる。統計では「喫茶店」が、「貸座敷」
  「待合茶屋」「遊船宿」「料理店」「銘酒店」「氷水店」「飲食店」「芸妓屋」などと
  ともに、「風俗ニ関スル諸営業」といった分類項目の中のひとつに位置付けら
  れている。しかし統計にカフェの名前は出てこない。この頃には喫茶店とカフェ
  を区別して使用することの必要がなかったのであろう。 (略)大衆的なカフェ
  がつくられていくのは大正時代後期から昭和にかけてで、大正12年(1923)
  の関東大震災後に増えている。(略)カフェの中で、女給が大きな役割を果た
  していくようになったのもこの頃で、かつて文学や芸術の話がカフェを支配し
  ていた時には一点景にしかすぎなかった女給が、中心的役割を果たしていく
  ようになっていったのである。カフェと喫茶店が異なるものとして認識されてい
  ったのもこの頃からである。先の統計でも、昭和8年(1933)から「普通喫茶
  店」と「特殊喫茶店」を分けて数値をとっている。昭和13年(1938)の飲食店
  について調査した結果が「建築世界」(昭和13年3月号)に載せられている。
  これらのうち、カフェと喫茶店に関連した店を記すと次のようなものがある。
   バー──バー、スタンドバー、サロン風の名称を用いている店。
   カフェ──カフェーの名称を用いている店。
   純喫茶──喫茶店の中でレコード演奏を営業のひとつの要素にしている店。
   特殊喫茶店──特殊喫茶店、新興茶房、新興喫茶の名称を用いているも
     の。昼は純喫茶店でありながら夜はサービス料を定額とる店。「tea and
     wine」と看板にある店。
   普通喫茶店──ベーカリー、フルーツパーラー、喫茶パーラーといっている
     店で、菓子や、果実、コーヒー、清涼飲料水など軽い飲食物を主として
     いて、食事を提供しない店。パン店、菓子店、果実店と喫茶を兼営して
     いる店。
   簡易喫茶店──ミルクホール式の大衆的な安い喫茶店。
  これによっても、カフェと喫茶店の営業内容が異なるものとして認識されてい
  たことが窺える。また、特殊喫茶店がカフェと喫茶店の中間的な内容をもって
  いた店であることもわかる。》 (初田亨 「都市のたまり場になった喫茶店」/
  新宿歴史博物館特別展図録『琥珀色の記憶─新宿の喫茶店 ~回想の“茶
  房青蛾”とあの頃の新宿と~』 2000年)
 コーヒーの風俗 (5) コーヒーの風俗 (6)
 
初田亨氏の論考は、「‘カフェー’は特殊喫茶とも呼ばれた風俗営業で、対して純粋にコーヒーを主とした業態が(レトロニムとして)‘純喫茶’と名付けられた」という巷間の説に疑義を抱かせるものであり、とても興味深い。業態の変容で‘カフェー’の意が変質したように、‘純喫茶’もまた後世に意が変質し位置付けが移っていったのではないか、と私は臆測している。それはともあれ、日本では喫茶店が当初より《風俗ニ関スル諸営業》に位置付けられていたのであるから、その後の変容も含めて「コーヒーに関する風俗営業の淵源は日本にあった」とコーヒー界やマスコミに唱えさせるべきであろう。下卑た国粋を示すこと、その浮かれぶりを嘲弄すること、これもまた風俗である。コーヒーの風俗とは何か? 今後も野風俗に考え続けよう。
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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