リサージェンス定理

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2016年07月11日 01時30分]
1776年7月4日、北アメリカ大陸のグレートブリテン王国13植民地が独立宣言を採択。1996年7月4日、異星人の侵略に対してアメリカ合衆国大統領トーマス・J・ホイットモアが人類の‘独立記念日’を宣言(『インデペンデンス・デイ』)。2076年7月4日、月の植民地が革命を起こして地球の世界連邦に独立を宣言(『月は無慈悲な夜の女王』)。1996年の独立記念日と2076年の独立記念日の間には何があったのだろう?
 
 《それに対する返事は嘲笑するようなものだった。流刑者どもが穴の中で暴
  動を起こしたいというならそれがどうしたというんだ? もしそんなことが心配
  なら、一九九六年と二〇二一年にやって大成功を納めた電気を切ることを
  考えてみたらどうなんだ?》 (ロバート・A・ハインライン 『月は無慈悲な夜の
  女王』 “The Moon Is a Harsh Mistress” 1966年/矢野徹:訳 早川
  書房:刊 1969年)
 
『インデペンデンス・デイ リサージェンス』(Independence Day: Resurgence) 観賞後記
 
 リサージェンス定理 (1)
監督ローランド・エメリッヒ曰く、《『インデペンデンス・デイ』は完結した一つの物語であって、続編を製作する意図はまったくありませんでした。私は続編というものが大嫌いなんです。もし同じことを繰り返すのであれば撮らない方が良いに決まってますからね》(『アニメ!アニメ!』 2016年7月8日)、《当時、前作はきっちり完結していたので、次の物語を続ける意志が全くなかった。そもそも続編というものが嫌いで、全く同じことを繰り返すのなら、やらない方がいいと思っているから》(『マイナビニュース』 2016年7月9日)、《私はこれまでずっと続編なんて嫌いだ、と言い続けてきた。実は今も嫌いだけどね(笑)》(『ガジェット通信』 2016年7月9日)。これほど《嫌い》な続編を、なぜ「リサージェンス」(再起・復活)したのか? 私の《それに対する返事は嘲笑するようなもの》である。おそらく、エメリッヒまでもが異星人との精神交感で脳を侵されたのだろう。20年ぶりに襲来した異星人がプラズマドリルで破壊したかったのは、地球のコアではなくてエメリッヒらスタッフの脳だったのかもしれない。その影響だろうか、円盤や異星人を巨大化しても迫力は激減し、CGを多用しても臨場感は薄れている。話の筋立ても演出も、パッとしないどころか劣化が激しい。『インデペンデンス・デイ リサージェンス』は、他のSF映画のシリーズ続編に比しても最悪である。いや、仮にリメイクやリブートだとしても最低の部類だろう。つまり、《撮らない方が良いに決まってますから》《やらない方がいい》作品で、観るに堪えない駄作の極み。
 
 《「ああ、タンスターフル……つまり、無料の昼飯などというものはないという
  意味だよ(There ain't no such thing as a free lunch の頭文字を
  綴ったもの)。そのとおりなんだ」》 (前掲 『月は無慈悲な夜の女王』)
 リサージェンス定理 (2)
SF小説『月は無慈悲な夜の女王』には、いわゆる「ノーフリーランチ定理」が登場する。しかし、今般の映画『インデペンデンス・デイ リサージェンス』は、有料の映画の中には《無料の昼飯》よりもさらに割高で価値を損なうものがあるという、新たな「リサージェンス定理」(?:害虫駆除で言われるところの誘導多発生など踏んだり蹴ったり状態に陥る命題)を示した。本作品を製作配給した20世紀フォックスは、『月は無慈悲な夜の女王』を監督ブライアン・シンガーで映画化するらしい。同じ‘独立記念日’を描く作品としても、「リサージェンス定理」にハマった駄作にはして欲しくないものだ。
 
コメント (0) /  トラックバック (0)

コメント

この記事にコメントする

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://kisanjin.blog73.fc2.com/tb.php/931-20164009
編集

kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

08 ≪│2017/09│≫ 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
Powered by / © Copyright 帰山人の珈琲漫考 all rights reserved. / Template by IkemenHaizin