散達の歩人

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2016 [2016年06月16日 01時00分]
先度に千代田図書館で観た「『散歩の達人』とともに振り返る千代田の街の20年」は、月刊誌『散歩の達人』(弘済出版社:刊/後に交通新聞社:刊)が1996年の創刊から20周年を迎えた記念に催された企画展示であった。同時に、『散歩の達人』自体は3号連続企画をスペシャルバージョンで発刊していた。
 散達の歩人 (1) 散達の歩人 (2)
 
 《人はなぜ喫茶店やカフェに行くのでしょう? 「自分だけの特別な時間を過ご
  すため」、あるいは「誰かと特別な時間を過ごすため」──畢竟、答えはそ
  のどちらかだと思います。さて、「酒場」「食堂」に続く20周年記念企画のラ
  ストを飾る「喫茶」。登場するのは喫茶の専門家、打ち合わせや執筆で喫
  茶をよく使う人、そして喫茶で憩いながらなんらかの道をきわめたスペシャ
  リストです。喫茶時間をどう過ごすべきか?などと大仰な話ではありません
  が、日々の小さな“特別な時間”があってこそ、人はようやく前に進める……
  のかもしれません。ではさっそく、みんなの喫茶時間をのぞいてみましょう。》
  (『散歩の達人』 2016年6月号 No.243 「喫茶100軒」 p.6)
 
 散達の歩人 (3)
この「喫茶100軒」の約10年前にも、「散達」(散歩の達人)は別冊ムックの『トーキョー喫茶時間』(交通新聞社:刊 2006年)で全108軒の喫茶店を紹介していた。『トーキョー喫茶時間』と「喫茶100軒」とに重なって登場する喫茶店は、神保町の「ミロンガ ヌォーバ」と「ラドリオ」と浅草の「ロッジ赤石」と「アンヂェラス」と阿佐ヶ谷の「ヴィオロン」と築地の「マコ」の6軒であり、「喫茶室ルノアール」(四谷店/新宿TOHOシネマズ前店)と「邪宗門」(国立/世田谷)の同系重複を加えても、計1割にも満たない。焼き直しではないのが、「散達」が立派なところ。もっとも、この10年間に消えた店が1割以上ある(もはや数えるのが面倒臭い)ので、厭でも入れ替わるとも言えるか? いずれにしろ、コノ手の喫茶店ガイド本の類では、『トーキョー喫茶時間』も「喫茶100軒」も(マニアの単著でも酷いものが多い中で)頑張っているし読み応えがある。
 
 散達の歩人 (4)
この「喫茶100軒」が笑えるところは、《なんらかの道をきわめたスペシャリスト》(?)として挙げられた紹介者の肩書だ。曰く、「東京喫茶店研究所二代目所長」に「和菓子ライター」に「京大阪マニアライター」に「マッドサイエンティスト」に「虫食いライター」に「パフェ評論家」に「東京カリ~番長リーダー」に「pure foodie」に「ナポリタン好きフォトグラファー」に「女子部JAPAN(・v・)部長」に「ふる地図愛好家」に「タマゴサンドライター」に「涙活プロデューサー」に「ママ鉄」に「台湾♡散歩ライター」に「バー偏愛ライター」などなど…自称「100円ライター」の嶋中労氏が《日本は世界に冠たる“おたく王国”で、どんなおバカな世界にもおたくという珍奇で愛すべき種族が棲みついている》(「おたく立国ニッポン 」/『嶋中労の「忘憂」日誌』)と言っていたが、当に。これらの肩書のバカさ加減に首を傾げたり呆気に取られたりしながら、「喫茶100軒」の頁の間を渉猟する…これもある種の「散達」か?
 
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この「喫茶100軒」には、嘘がある。46番目で漫画家の江口寿史氏が西荻窪の「ダンテ」と「どんぐり舎」と1人で2軒も紹介しているので、実は「喫茶101軒」なのである。まぁ、江口寿史氏の漫画にはポップで寂しい描線にキレイで悲しい金木犀のような匂いが漂っていて好きだったので、許しておこう(笑)…「死んでいくのに心残りはもうないけど この匂いがかげなくなるのは……名残惜しいねえ……」(江口寿史 「岡本綾」/『COMIC CUE』vol.5 1998年)。《人はなぜ喫茶店やカフェに行くのでしょう?》と問われなくても、江口氏は正解を語っている…《脳がね、ときどき甘いものを欲するんですよ》(「喫茶100軒」 p.51)。「散達」20周年記念企画の「喫茶100軒」の表紙には、江口寿史氏のカットがある。同じ絵が付録の「持ち歩き散歩帖」の表紙にも。「持ち歩き散歩帖」を持って、街を歩き喫茶店を訪ねてみようか? 歩人(かちんど)になってコーヒーを飲み歩きケーキを食べ歩くのも悪くない…「散達の歩人」だな。
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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