そうだ 京都、嗜好。 2

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2016 [2016年05月22日 23時00分]
《私の音楽はチョコやケーキみたいな“嗜好品”だと思ってます。なくても生きていけるけど、あれば日常をキラキラさせられる、そんな存在になりたいなと》、ハナエは言う(『R25』 今週の彼女 2014年12月18日)。髙田公理氏を代表幹事とする「嗜好品文化研究会」の平成27年度研究テーマは「嗜好品と音楽」、それを総括する「嗜好品文化フォーラム」が京都で開催されるという。事務局から私への案内には《今年、コーヒーからはすこし離れていますが…》とあったが、コーヒーを考えるに嗜好品文化を広汎に知って損はない…昨年の前回に続いて行ってみよう。そうだ!京都、嗜好。
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2016年5月21日
「第14回 嗜好品文化フォーラム」 (キャンパスプラザ京都)
 
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受付で渡された資料の中に『研究誌 嗜好品文化研究』第1号(2016)があった。収載論文の中で、「啓蒙の飲料 ─フランス革命前後期のカフェの変容と「世論」の実態」(橋本周子)や「ブンとギシュル ─イエメンコーヒーの過去・現在・未来」(大坪玲子)などが興味深い、早速に読んで開会を待つ。
 
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午前の第1部は、嗜好品文化助成研究の口頭発表が5題。 「近代日本における嗜好品としての「漫画」」(鈴木麻記)は鶴見俊輔の‘限界芸術論’を、「「愉しみ」の表象 ─ハバナの大衆音楽の場にみる嗜好品文化─」(田中理恵子)はハワード・S.・ベッカーやアントワーヌ・エニオンの音楽社会論を視点にしていて面白い。 「日本酒の味覚をどのように言語化するか」(福島宙輝)は提唱済みの『日本酒味わい事典』(グッドデザイン賞2014)を進めてピクトグラムの提案、図案はダサいが、その手法はコーヒーなどの香味表現に活かせそうで興味深い。 「山間地域における茶文化の研究」(廣部綾乃)の釜炒り茶に対して、「京番茶やほうじ茶は?」と殺青と焙煎を混同した髙田代表幹事の試問は良くない。
 
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昼の休憩時間、ダメもとで「田ごと」や「冨士屋」や「美々卯」を訪ねるも、蕎麦屋に限らずどこも待ち客で長蛇の列。ではデパチカ調達だ、とジェイアール京都伊勢丹の催物場で「キャメロン」のステーキ弁当を買って、東塩小路公園で食べる。
 
午後の第2部は、「嗜好品と音楽」をテーマとした講演と対談と討論。以下はメモ。
基調講演 「音楽は嗜好品か? ─フローとしての音楽の重奏性」 藤本憲一
昔:紫烟けむるジャズ喫茶でコーヒー・ビアハウス生演奏で大合唱/今:ピザパはコーラとyoutube・クラブで酒とEDM大音量 アンチストレッサー=嗜好品 チクセントミハイ『フロー体験 喜びの現象学』 アドルノの「聴取の類型論」(音楽社会学序説)
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記念対談 「歌謡曲を愛でる」 近田春夫×小川博司
歌謡曲は音楽か? もう今は歌謡曲は存在しない 歌謡曲は快感を与えるもの、それ以外は共感を与えるもの 同時代性・独自性・普遍性が揃っているのが良い音楽 官能:よ~く考えたら美人だったという美人はいない 以前は楽曲が好き、今は人が好き(ささやかなタニマチ) 歌謡曲が好きだったことはない 歌謡曲の時代へ戻るのか?…元へ戻ることはない(エントロピーで動いている) (以上、近田談)
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総合討論 髙田公理・斎藤光・小川博司・近田春夫・藤本憲一・井野瀬久美惠
35歳までに聴いた音楽で型や好き嫌いが決まってしまった(髙田)→鋳型論:エチオピアで演歌が人気なのは国歌も日本的? 放送局が音楽出版社を持っている&放送局が許認可制→TVで流れている曲がエラい カラオケはやりません。歌を歌うことが好きではない。歌を歌うことと音楽とは全く違う クラシックは譜面が音楽であって演奏は音楽ではない これから10年…聴くより作る方が面白い(GarageBandなど) 100年後には音楽が商売でなくなる (以上、近田談)
 
日本の音楽市場で1963年頃に変わり目があったという話は、日本のコーヒー市場にも該当する。近田春夫氏の談話は、歌謡曲やJ-Popが極めて政治的で経済的で社会的な土台の上で変化してきたことを示していたが…何だ、コーヒーと同じじゃないか? やはり「音楽は嗜好品」なのか? そうも考えさせられる楽しくて有意義な催事だった。
 
 
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今般は催事前、御所の妙音弁天(白雲神社)から北西1kmに駐車して、「café de corazón」(カフェ デ コラソン)を初訪、毎土曜のモーニングコーヒークラブに闖入。コラソンブレンドを飲みながら、地元客の談話に耳を傾け…ん? 参加者の皆が私の話に耳を傾けている!(笑)。そして、京都駅近くでの催事に参加後、再び「カフェ デ コラソン」へ戻って、店主の川口勝氏や居合わせた客とコーヒー談議。喫したコラソンのスマトラ・マンデリン・タノバタックはカフェ・バッハよりもさらに煎りが僅かに浅いか? 香味の足し引き(出し抑え)の妙に意思を感じる。食したコーヒーゼリー&ブランマンジェは、《『バッハ』は生クリームを泡立てる作りかたなんですけど、うちは立てない。ゼラチンの量も減らしています。一緒に口に入れたら、口の中で先にブランマンジェが溶ける…》(『コーヒーゼリーの時間』)という謳いの通り、この妙にも意思を感じる。真っ当な仕事を志すカフェは、交流と意思を大事にする店でもあった。帰宅後、「Tram」(トラム)から贈られたブラジルを濃く淹れて、「カフェ デ コラソン」で買い求めた夏みかんのケーキとマフィン2種を合わせる…菓子がコーヒーに負けず、どちらも美味い。
 
京都のコーヒーと菓子の香味には京都の志向が感じられる、それも嗜好なのだろうか? そうだ!京都、嗜好。
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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