マンガ展を読む 其の弐

ジャンル:学問・文化・芸術 / テーマ:art・芸術・美術 / カテゴリ:観の記:美面 [2016年05月01日 01時30分]
《世の中には二種類の男がいる。「少女マンガを読める男」と「読めない男」である。「少女マンガを読める男」はマンガ・リーダーの中でも少数派に属する。少女マンガは少年マンガとは違う記号体系に属する作物であるので、これを解読するためには別のリテラシーが要求されるからである》(内田樹 「少女マンガの記号論」/『街場のマンガ論』 小学館:刊)。だが、私は少女マンガを幼少期に「読んでいた男」ではあるが今はほぼ「読まない男」なので、少女マンガ展の対象の埒外にあるのかもしれない。「読まない男」は観てはならないのか?…でも、東京・北九州・大阪・新潟・沖縄・札幌・金沢と巡回した少女マンガ展が名古屋の松坂屋美術館に来たので、観よう。
 マンガ展を読む (8) マンガ展を読む (9)
 
「わたしのマーガレット展 ~マーガレット・別冊マーガレット 少女まんがの半世紀~」
(松坂屋美術館)
 
 マンガ展を読む (10) マンガ展を読む (11)
展覧会の初日、豊橋で別のマンガ展を観た後に新幹線で名古屋へ。乗り換える地下鉄の駅で24人のマーガレットボーイ(?)のウォールボードを見ながら、松坂屋名古屋店南館7階にある会場へ。まずはカレイドスコープシアター「100のキス…Love & Kiss Forever」、まらしぃが作曲して演奏しているピアノ曲「わたしのマーガレット」が好いので2回観る、いや聴く(笑)。「週マ」・「別マ」の創刊号を見ながら、「少女クラブ」(1923年)に「少女ブック」(1951年)、「なかよし」(1954年)に「りぼん」(1955年)、「週フレ」(1962年)に「週マ」(1963年)、講談社に後出しで対抗する集英社の貧相な便乗体質を笑う。
 
 《無意識を記号化する力。それが少女マンガの、際立ってカテゴリカルな特徴で
  ある。無意識は言語としては表象されない。それは必ずや症状として表層に
  回帰する。だから、少女マンガにおいては症状が「字体」や「コマ割り」として表
  層に露出するのは当然のことなのである。》
  (内田樹 「少女マンガの記号論」/『街場のマンガ論』 小学館:刊)
 
 《好きなものは、詳しく知りたい。作者の姿を見てみたい。内面を覗きたい。それ
  は、愛好家の性癖というものだ。だが、少女漫画家は、少年誌・青年誌の漫画
  家にくらべて、あるいは大人漫画の漫画家にくらべて、なぜか伝統的に、あま
  り表には出てこない。『お笑い漫画道場』の回答者席に紡木たくが座ることは、
  ついになかった。》
  (いしかわじゅん 「彼女たちの奥の奥」/『漫画の時間』 晶文社:刊)
 
 マンガ展を読む (12) マンガ展を読む (13)
70名以上の少女マンガ家の原画を並べた本展では、スポ根、怪奇、ギャグ、コメディ、ヒューマンドラマ、恋愛、学園…全10章の展示の大半がジャンル別に仕分けられているので、《無意識を記号化》した字体やコマ割りなどの作画技術を読み取り難い。その中でも紡木たくと池田理代子には各々に単独の章が割り当てられていた。オスカルとアンドレの等身大立像を撮ったものの、私はキャラクターよりも《作者の姿を見てみたい》。例えば、ヅカの衣裳で歌う池田理代子の等身大立像とか…「だが俺はそのとき予感していたのかもしれない。ベルばらがまだまだその先も多くの人々の血を流さずにはいないだろうことを。歴史の名のもとに…池田理代子は永遠に流血を繰り返さずにはいないだろうことを…」。
 
 マンガ展を読む (14)
少女マンガの半世紀にわたる軌跡を辿ろうと挑んだ「わたしのマーガレット展」は、結局に集英社の「週マ」・「別マ」という枠内での陳列であり、少女マンガを幼少期に「読んでいた男」である私にとっては面白くなかった。マンガを「描かない読者」であり少女マンガを今はほぼ「読まない男」である私には、少女マンガ展を読もうにも読みきれなかった。そこに懐古だけがあり、そこに展望はなかった。これをどう読むべきか? なぜ集英社か? 小学館はどうした? 《好きなものは、詳しく知りたい》…そう思いながら会場を去り、次に「マンガ展を読む」機会を探し始めた。
 
コメント (0) /  トラックバック (0)

コメント

この記事にコメントする

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://kisanjin.blog73.fc2.com/tb.php/909-1c9b0c42
編集

kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

06 ≪│2017/07│≫ 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
Powered by / © Copyright 帰山人の珈琲漫考 all rights reserved. / Template by IkemenHaizin