いかがなものでしょう

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2016 [2016年03月24日 01時00分]
移動コーヒー屋の漫画『珈琲いかがでしょう』(コナリミサト:著)は、Webコミック「EDEN」(マッグガーデン)に2014年2月20日配信から2015年12月5日配信まで連載された。単行本で読んでいた私は、十二杯目(第12話)以降が収載された『珈琲いかがでしょう』第3巻(最終巻/マッグガーデン:刊 2016年2月13日発売)を読んで呻いた…「う~ん、いかがなものでしょう」と。
 いかがなものでしょう (1)
《あなたのための一杯、お淹れします。》(第1巻腰巻)…カフェバスの中で読んだ増田希(nonちゃん)を号泣させるほどに心温まる第1巻には、「タコ美プレゼンツ おうちでかんたん珈琲TIME」という巻末付録があった。だが、著者コナリミサトがコーヒーに対して微笑んだのは、そこまでだった…《私の中のドロドロも こんな風に吐き出せたらいいのに》(「だめになった珈琲」 1-p.171)。 《俺はただ、美味い珈琲を淹れたい。それだけです。》(第2巻腰巻)…主人公の青山一にコピ・ルアックを《猫の糞 万歳ですね!》(「ファッション珈琲」 2-p.114)と言わせる第2巻には、著者のコーヒーに対する悪意が漂い始めている。酒や飯の方が好きであろうコナリミサトにとっては…《美味い珈琲淹れてんじゃないわよ バーカ》(「ガソリン珈琲」 2-p.96)が本心なのだろう。 だから、第1巻では《からくりは鞄の底に》(「キラキラ珈琲」 1-p.123)あると「GPSつき盗聴器」を見破った青山一が、第3巻で自分の車に仕掛けられていた「超小型盗聴器」には《クソ 全く気付かなかった》(「たこ珈琲」 3-p.15)と言った時点で、私は「あ、終わったな」と勘付いた。さらに、《珈琲版ロシアンルーレットさ》(「暴力珈琲」 3-p.140)と毒入りのコーヒーが使われた時点で、著者コナリミサトの心はコーヒーから離れたな、と私は確信した。
 いかがなものでしょう (2)
したがって、例えば『夜の珈琲』(左東武之:著/スクウェア・エニックス:刊)全3巻の《完結を私は「よめない」》と残念に思えても、『珈琲いかがでしょう』が全3巻であることは当然の帰結であろう。 『珈琲いかがでしょう』は、『僕はコーヒーがのめない』や『夜の珈琲』よりも登場人物の‘キャラ’が立っている。その代わりに、‘コーヒー’がどうでもいいもののように浮いている。それでも、‘物語’としての筋立てが他の2作よりも優れているので、悪い気はしない。 たこじじい曰く、《傍から見てど底辺の生活でもせっかくなら彩りを どうせなら小粋にポップに生きようぜ》(「まご珈琲」 3-p.94)…これがコーヒー漫画であってコーヒー漫画ではない『珈琲いかがでしょう』の全てである。《よろしければ、珈琲いかがでしょう。》(第3巻腰巻)…さて、いかがなものでしょう。
 
 
季刊誌『珈琲と文化』(星田宏司:主宰/珈琲文化研究会:編/いなほ書房:刊)が1991年3月に創刊されてから四半世紀を経た。創刊号から読んでいた私は、『珈琲と文化』100号記念別冊号を読んで呻いた…「う~ん、いかがなものでしょう」と。
 いかがなものでしょう (3)
 《星田さんと知り合い、広告を出稿し始めてから、早いものでもう14年が経ちま
  した。第1回目の広告は、2002年秋47号でした。初めての広告を入稿して、
  出来上がりをデザイナーさんに見てもらうと、「色稿が違う」というクレームがき
  ました。星田さんに、「デザイナーさんからクレームがきてますけど?」と問うと、
  「ああ、そうなの? まあ、いいんじゃないの、これで」と、そのまま掲載されてし
  まいました。(略)星田さんならではの、この「ユルさ加減」と「胆力」が継続の源
  なのだなと、つくづく感じています。》 (上吉原和典 「初めての広告入稿の時」
  /『珈琲と文化』100号記念別冊号 p.50)
 いかがなものでしょう (4)
『珈琲と文化』100号記念別冊号に寄せられた文章の中で、面白い話は「初めての広告入稿の時」だけだった。このクレーム話を皮肉めいた祝辞として寄せる方も寄せる方だが、それを頓着なく載せる方も載せる方だ。だが、この話の妙味はまだ終わらない。2002年秋47号のアタカ通商の広告(表3全面)を見ると、《色稿(色校?)が違う》も何も誌面はモノクロである。さらに、その《初めての広告》(?)掲載の前号である2002年夏46号にもアタカ通商の広告(表3全面)がある。この間違いだらけの話を、寄せる方も寄せる方だが、それを頓着なく載せる方も載せる方だ。これほど手緩いコーヒー雑誌も滅多にない、《この「ユルさ加減」と「胆力」が継続の源なのだな》と私も笑うしかない。100号を超える季刊誌『珈琲と文化』…さて、いかがなものでしょう。
 
コメント (0) /  トラックバック (0)

コメント

この記事にコメントする

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://kisanjin.blog73.fc2.com/tb.php/898-a5c1aee3
編集

kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

05 ≪│2017/06│≫ 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
Powered by / © Copyright 帰山人の珈琲漫考 all rights reserved. / Template by IkemenHaizin