ローパー帰れ!

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2016年01月04日 01時00分]
ブランドン・ローパーは、《もともと僕はアメリカ・アラバマ州の出身ですが、2008年にサンフランシスコに移住しました。そして初めてブルーボトルコーヒーに行きました。ブルーボトルで使用する器具や抽出方法は、日本のコーヒーカルチャーに大きな影響を受けていることを知り、その日本にもとても興味を持ちました。(略)そしてその後5回くらい東京に行きました!》(インタビュー/『Good Coffee』Webサイト)と言う。そして、《今日本のコーヒーカルチャーは猛スピードで育っていて、高水準の店も増えている。スペシャルティコーヒーを新たなレベルに引き上げていると思うよ》(インタビュー/『ア・フィルム・アバウト・コーヒー』Webサイト)とも言う。僅か5年に5回程度の来日で、日本におけるコーヒー文化の育成と水準を語るブランドン・ローパーは、よほどな天才か、かなりな愚鈍であろう。彼が作った映画を観て、確かめてみよう!
 ローパー帰れ (1) ローパー帰れ (2)
 
『A Film About Coffee ア・フィルム・アバウト・コーヒー』(A Film About Coffee)
観賞後記
 
愚鈍。《世界を席巻するコーヒーカルチャーの“今”を描いたドキュメンタリー》というが、映画『ア・フィルム・アバウト・コーヒー』は愚鈍である。CMクリエイターのブランドン・ローパーが自らハマった世界をわがままに喧伝しているだけで、ドキュメンタリー映画になっていない。筋立てを問われないPV(プロモーションビデオ)としてならば許されようが、こんな程度のシロモノを有料課金する劇場公開の商業作品として認めることはできない。
 ローパー帰れ (3) ローパー帰れ (4)
不快。ジョージ・ハウェル(カップ・オブ・エクセレンス創始者)やアイリーン・ハッシ・リナルディ(「リチュアル・コーヒー・ロースターズ」オーナー)やダリン・ダニエル(「スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ」生豆バイヤー)やケイティ・カージュロ(「カウンター・カルチャー・コーヒー」バリスタ)が、厳つを出して喋りまくる様が不快である。その口まめは、人口に膾炙しきれない憾みの反動か?開いた口が塞がらない。口自慢の仕事下手だろう。
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傲慢。ルワンダやホンジュラスなどのコーヒー生産者の描き方が、憐憫を掛けた上で努力と夢を強いているだけ、傲慢である。消費側の業界連中にあれだけ喋らせておきながら、生産地の住民には無言で無表情な顔をクローズアップするだけ、無自覚の差別と不遜に満ちている。映画は《目覚めの一杯はどこから来るのだろうか?》などと問いかけているが、傲慢が《どこから来るのだろうか?》と制作した連中が自らに問うべきだ。
 
映画『ア・フィルム・アバウト・コーヒー』は、いわゆるスペシャルティコーヒーやサードウェイブコーヒーの‘潮流’を描いたつもりだろうが、実態はプロパガンダ映画である。その俗悪は「我々はなぜ戦うのか」(Why We Fight)シリーズや『信念の勝利』(Sieg des Glaubens)と類似するが、作品の出来はフランク・キャプラやレニ・リーフェンシュタールに遠く及ばない。但し、《コーヒーが好きなすべての人に贈る》という惹句には賛同する…映画『ア・フィルム・アバウト・コーヒー』をドキュメンタリーではなくて‘モキュメンタリー’(フェイクドキュメンタリー)として捉える機会として。そして、コーヒー界の実像全体を捉えきれていない似非(えせ)な日本贔屓のブランドン・ローパーに告げよう…ローパー帰れ!
 
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コメント

No title
浅野 嘉之 URL [2016年01月04日 16時39分]

あけましておめでとうございます

昨年中はお世話になりました
本年も何かとよろしくお願いします

『A Film About Coffee ア・フィルム・アバウト・コーヒー』(A Film About Coffee)

2日大阪にて鑑賞しました

ありし日の大坊珈琲店で
大坊さんが焙煎・抽出されている姿
美しい
それに迫力がある
そう感じました

ほんとただ一つだけ
フィルムに感謝したかな

残ることがいいのかどうか
残酷にも思えて
もう二度とあの空気には触れることがないと思うと
ちょっと切ないかな

あのシーンだけ別世界
前後なににつながっているのでしょう・・・

又2月か3月に分科会って
山内さんがおっしゃってましたよね
お会いできること楽しみにしています

to:浅野嘉之さん
帰山人 URL [2016年01月05日 12時29分]

(あくまで映画評として応えます)
本作には笑うところが無いので退屈したが、《東京にコーヒー界の伝説の男がいる》という字幕には苦笑、いやコンチクショウ。ローパーはインタビューで「東京の各店舗での撮影時間もとにかく短かったです。大坊珈琲店は1時間でしたね」と言っている。《ありし日の大坊珈琲店》は、満席の賑わいとジャズの流れの中で‘凛’としている大坊勝次こそがホンモノだろう。お試し体験のデモ版みたいに大坊勝次を扱ったローパーの映像は、フェイクなので残す必要は無い。

No title
浅野 嘉之 URL [2016年01月05日 21時29分]

おっしゃる通りだと思います
簡単に分かり合えるほど
薄っぺらなものではない大坊珈琲の空気感は

しかしことさら神格化する必要も感じないし
そういう珈琲店にただ自分は
30年通っていた(東京にいる際は)
それだけです
あの空気感は自分の思い出の中だけで十分ですね
映像でみてリアルになってしまってちょっとセンチ・・・

松屋式
少し上達しました(笑)







to2:浅野嘉之さん
帰山人 URL [2016年01月06日 02時51分]

こうして大坊珈琲店や大坊勝次氏を「ア・フィルム・アバウト・コーヒー」に登場する店や人として話題にすることは、フリーマンやローパーの誤解や欺瞞を助長することだ、と私たちは自らを諌めるべきでしょう。私は大坊勝次氏へ直に「宣材として映されていたことは違和を感じて痛恨事」と言うつもりです。

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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