猿をめぐる探検

ジャンル:学問・文化・芸術 / テーマ:art・芸術・美術 / カテゴリ:観の記:美面 [2016年01月03日 01時30分]
1年前は「ヒツジを巡る冒険」だったが、干支で丙申の2016年を迎うる今般は、「サルを巡る探検」へ行こう!
 
2015年12月27日、ジョギングの帰途に自宅から南へ約800m外れて、如意申(にょいさる)町にある「猿のモニュメント」と「幸せの十二支」へ。
 猿をめぐる探検 (1) 猿をめぐる探検 (2)
 《来年の干支は、申年。春日井市如意申町三の春日井南高校北側の歩道にあ
  るサルのモニュメントが注目を集めている。 黄土色のモニュメントは陶製で、
  高さ三メートル、直径七十センチの円筒形。地名に「申」が入るため、地元住
  民らが申年だった二十三年前の一九九二年に、地域のシンボルとして制作し
  た。「見よう・聞こう・言おう」がテーマで、歩道側にはこれらのポーズをした三
  匹のサルがデザインされている。》 (「新年へ、如意「申」町に注目 春日井、サ
  ルのモニュメント」/『中日新聞』 2015年12月26日)
 猿をめぐる探検 (3) 猿をめぐる探検 (4)
如意申町の青年団を中心とした「如意申地区コミュニティ推進協議会」(1987年設立)は、1990年に自治省による‘コミュニティ活動活性化地区’の指定を受けて、その特別交付税の使いみちを「猿のモニュメント」の制作に措置した。1970年代から続けられた自治省のモデル地区型コミュニティ施策は、バブル景気が崩壊したことによって、第3次の‘コミュニティ活動活性化地区’設定施策で終わりを告げた。《「見よう・聞こう・言おう」がテーマで、歩道側にはこれらのポーズをした三匹のサル》は、交付税措置で自らが作られたことを見て、バブルが崩壊する世情の音を聞いて、その後の「失われた20年」の悲嘆を言ったのだろうか? 「猿のモニュメント」から西へ86m、サルタヒコを含めて六祭神を祀った「六所社」が2013年に‘御鎮座245年記念事業’の一環として建立した「幸せの十二支」は、環状列石型のモニュメントで意味も利益も不明。「猿のモニュメント」と「幸せの十二支」を巡って、人類がその猿知恵で幸せから沈んでいくところを今後も「見よう・聞こう・言おう」、と私は笑う。
 
2015年12月31日、車で豊田市の猿投(さなげ)神社へ。「海に投げ捨てられた猿が籠もった山だから」などという、サルの尻のように真っ赤な嘘を掲げている「猿投山」一帯が境内。
 猿をめぐる探検 (5) 猿をめぐる探検 (6)
駐車場でトレラン用の身支度をして、走りと歩きを混ぜての登山。東海自然歩道を「お倉岩」や「御門杉」を過ぎながら進み、茂吉ヶ峯の「東の宮」を見る。さらに進んで、猿投山(標高628.92m)の山頂へ、喫煙一服して休憩。
 猿をめぐる探検 (7) 猿をめぐる探検 (8)
山頂から走り下って、分岐を自然観察路に進み、「御船石」を過ぎて、猿投山で蛇にかまれて死んだと伝えられる「大碓命墓」を見る。さらに、鷲取の「西の宮」を見る(山頂から付近は鷲取の字名で、猿投山は鷲取山とも呼ばれた)。東海自然歩道へ戻って駆け下り、山体の神域トレランは終了。…ん? 蛇とか鷲とか、猿が出てこないじゃないか!
 猿をめぐる探検 (9) 猿をめぐる探検 (10)
「山中観音堂」を見てから、猿投神社の本社へ。参道入口の総門に無粋な《ドローン飛行禁止》の張り紙。初詣の庭場にするテキ屋の支度を避けながら参道を進み、拝殿や中門など社殿を見る。主祭神を大碓命としている「猿投神社」は、古くは「狭投神社」であり、‘サナゲ’という山名から来ている。‘サナゲ’は‘サナギ’が転化したものだろう。‘サナギ’は、氏族祭祀の(銅鐸か鉄鐸の)サナギ(鐸)からか、或いはサ(狭=狭い)のナギ(薙=崩壊地)に由来するもの、と私は解している。…ん? 大碓命だろうがサナギだろうが、猿が出てこないじゃないか! 中門脇の回廊の欄間に掲げられた「親子ザル」の彫物を見ながら、人類の猿知恵(?)で後付けの‘猿’しか残っていない「猿投神社」、その謎を今後も探ってみよう、と私は笑う。
 
2016年1月1日、故郷の島田市で大会走の後に、昨年に続いて車で「ジャンボ干支」へ。
 猿をめぐる探検 (11)
 《島田市大代の県道81号線沿いに、地元の地域おこしグループ「王子田会」が
  製作する年末恒例のジャンボ干支がお目見えした。今年はリアルな表情の「申」
  2匹が登場。そのうちの1匹は「五郎丸ポーズ」をばっちり決め、子供たちの人
  気を集めている。ラグビー日本代表の五郎丸歩選手の指を合わせるポーズを
  したサルは高さ約3メートル。足元には、わらで作ったラグビーボールを添えて
  いる。》 (「ジャンボ干支 五郎丸ポーズ」/『静岡新聞』 2015年12月6日)
 猿をめぐる探検 (12)
土人(どにん)の連中が作った猿の大きなオブジェを見る。その俗臭は‘五郎丸ポーズ’でさらに強まったが、出来は悪くない。但し、この猿がプレイスキックをしても、《年末恒例》の先に何が得られるのか? それはわからない。ルーティーンだけを倣っても「沐猴にして冠す」ようなもの、それは「ジャンボ干支」も「サルを巡る探検」も同じだろう、と私は笑う。
 
さて、《わたくしは炎暑の時節いかに渇する時と雖、氷を入れた淡水の外冷いものは一切口にしない。冷水も成るべく之を避け夏も冬と変りなく熱い茶か珈琲を飲む》(「作後贅言」/永井荷風 『濹東綺譚』)などと嘯いたニンゲンは‘断腸亭主人’とも自称していたが、「断腸」は本来サルのものであって、ニンゲンごときには届かない想いである。人類に相応しいのは、「断腸」ではなくて「切腹」だろう、と私は笑う。それからメイナード・ファーガソンの「スター・ウォーズ」を聴きながらコーヒーを飲んだ。
 
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コメント

No title
ちんきー URL [2016年01月03日 09時17分]

今年も干支に絡めたラン勉強になりました。
猿投に猿が関与しないとは知りませんでした(;゚Д゚)!
猿のオブジェ出来が良いので感心しました。

to:ちんきーさん
帰山人 URL [2016年01月03日 13時12分]

猿投山にもサルは生息していますが、どうみてもサル絡みの説話は後付けです。説話としては、兄オオウスは猿投山でヘビに殺られて、弟ヲウス(ヤマトタケル)は伊吹山のイノシシで殺られている…この双子と二山の話を絡めたトレラン遊びを考えています。

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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