蕎麦に居るね 23

ジャンル:グルメ / テーマ:蕎麦 / カテゴリ:食の記 [2015年11月19日 23時30分]
コーヒー集会に参加した翌日の2015年11月15日、黄葉の色づきがイマイチの雨降る上野恩賜公園へ。国立科学博物館の特別展・企画展を観た後、昼飯は館内食堂ムーセイオンで「ワイン展」記念メニューでも食べようかと思ったが、50組待ちの混雑に諦める。館外へ出ると、雨が上がって空が青い。さて何を食べようかと思案しながら、福島県の会津地方に生まれ育った野口英世の銅像を横目に通れば…ん? 竹の台広場で南会津(下郷町・南会津町・只見町・檜枝岐村)を宣伝する催事「まるごと南会津観光PRフェア」に出くわした。よし、コレだ! 蕎麦食だ!
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「会津田島御蔵入そばの会」(南会津町)の「かけそば(きのこトッピング)」(700円)を食す。
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行列に並んで、十割蕎麦の水回しとくくりを見ながら待つ。出てきた発泡ポリスチレン容器のかけそばをトレイごと運んで、噴水前でズルズル。おぉ、田島の地粉で打った蕎麦は、甘汁を吸った麺からでも薄らと青臭く甘い新ソバの香りがする、美味いな。トッピングを小さなカップから丼に移せば、一面きのこづくし、美味いな。南会津の一円が南山御蔵入領(幕領)で田島に陣屋があったとはいえ、‘御蔵入そば’の由来はサッパリわからないが、田舎の気軽い食事蕎麦としては充分の味わい。一揆を起こすのは止めておこう(笑)。「いたづらに花さくきのこ散らしけり 揺れてものうき秋の世すがら」(帰山人)
 
「山魅」(檜枝岐村)の「きのこけんちんそばっ切り雑炊」(500円)を食す。
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行列に並んで、《きのこけんちん 干し葉 寒ざらし大根 隠し味に『山人漬け』を入れ…》という説明を見ながら待つ。あ、私の後ろで品切れだ。出てきた発泡ポリスチレン容器の蕎麦雑炊を運んで、噴水前でズルズル。きのこと干し葉の酸味が好いのは、尾瀬・檜枝岐村特産品販売の‘山魅’(さんみ)だから(違う?)。タップリな具に負けない蕎麦の味は濃くて好いが、隠し味の‘山人(やも~ど)漬け’の味は隠れてよくわからない(笑)。ドロッとした雑炊に温まって汗じんわり、「蕎麦食ったら腹あぶれ」じゃなくて、「蕎麦雑炊食って腹あぶれた」。この雑炊の蕎麦は、《古くから伝わる円形型のそば》という正真の‘裁ちそば’であるのか?
 
 《たち蕎麦 福島県南会津郡の地方では、古くからの因習で、たち蕎麦というのを
  作る。たち蕎麦は普通の蕎麦切のように、定木を当てて切らず、薄く伸したもの
  を、いきなり包丁で、目分量で細く糸のように切るのが、有名なものとなっている。
  この地方では、他から珍客を迎えると、必ずこのたち蕎麦を作って、良家の子女
  が給仕に出て待遇する風習が、今でもなお行われている。これは昔からこの土
  地が、冬になると一丈あまりの積雪が珍しくないので、冬は食物に事欠くのを常
  としているため、蕎麦を常食にしていた関係から礼儀として尊ばれているのだと
  伝えられている。》
  (村瀬忠太郎 『蕎麦通』/四六書院:刊 1930年)
 
 《たちそば【裁ちそば】 福島県南会津郡檜枝岐村は、徳島県の祖谷と並んで平
  家の落人集落の秘境として、またソバどころとしても知られている。その檜枝岐
  に伝わる、独特の手法で打つ郷土そば。そば粉を熱湯でよくもんで両手に入る
  くらいの玉を四~五個作る。これを一つずつ長さ八〇cm、直径八cmほどの太
  く短いめん棒でのばす。両手で静かにのばして直径約六〇cmの円形にする。
  のばしたもの全部を重ね、こま板を使わずに包丁切りを行なう。ちょうど布を裁
  断するように、包丁を手前に引いて切るので、裁ちそばの名がつけられた。》
  (新島繁 『蕎麦の事典』/柴田書店:刊 1999年)
 
「ヤマサ商店」(只見町)の「そばやきもち」(200円)と「山魅」(檜枝岐村)?の「そばクレープ」(300円)を食す。
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行列に並んで、ヤマサ商店のかあちゃん(佐藤順子氏)が売るそばやきもちの…え?つぶあん品切れ?じゃ、野沢菜ので。行列に並んで、「このカリカリしたソバの実の食感に病みつき、今日も3個目」という熱烈(?)な客とそばクレープ作りを見ながら待つ。左手にそばやきもち、右手にそばクレープを持って、噴水前でモグモグ。左手が醤油味でしょっぱいおやつ、右手がホイップクリームであまいスイーツ、どちらの味も蕎麦が効いていて悪くない。この都会で田舎な贅沢(?)であるシチュエイションが何よりも好い(笑)。
 
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東京の空の下で南会津の蕎麦の買い食いフルコース(?)、満腹満足。「まるごと南会津観光PRフェア」は、2012年12月と2013年11月に福島県地域づくり総合支援事業とサマージャンボ宝くじ補助事業として、2015年3月に電源地域振興・原子力事故影響回復市町村等支援事業として、私が出くわした今般2015年11月に福島特定原子力施設地域振興交付金(2014年度までの旧名称は福島原子力事故影響対策特別交付金)事業として催された。その催事の背景を思えば、ソバの殻のように硬く苦いものを感じ得るが、フェアで声を張る南会津の人々の気勢を思えば、私の僅かな「蕎麦に居るね」でも「そばにいるね」と言いたくなった。
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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