再発見の逆襲

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2015 [2015年11月17日 01時00分]
コーヒーの世界を再び発見する者は、‘フラヌール’(flaneur:風来人)なのか? 日本コーヒー文化学会(JCS)の焙煎抽出委員会による分科会催事、その集会に参加するべく、私も雨が降る晩秋の東京へ。『Discover Japan(ディスカバー・ジャパン)』2015年11月号 Vol.49(枻〈えい〉出版社)は、表紙で《サードウェーブ・コーヒーの次は何だ?》などと寝惚けた戯言を吐いていたが、コーヒーの世界に‘サードウェイブ’などという虚像は不要である。コーヒー世界の‘再発見’(rediscovery)の再発見、つまり「再発見の逆襲」に私は向かう…
 
【集会当日の逆襲】 2015年11月14日
 
「café Bach」(カフェ・バッハ)
 再発見の逆襲 (1)
『ディスカバー・ジャパン』Vol.49は、《世界が憧れるコーヒー・レジェンドを知っていますか?》などと問いかけていた。レジェンドだかストリンジェンドだかは関知しないが、コーヒーと菓子が美味い店は承知している、それで充分。モンブランとおまかせコーヒー(エチオピア)を味わう。好い朝だナァ。ママ(田口文子氏)と談話してトートバックとコーヒーを頂戴し、トレセンで中川文彦氏と談話して本を頂戴する。マスター(田口護氏)は不在、伝説の地へ巡り打ちに行くレジェンド(?)の再発見…逆襲だな。
 
「日本コーヒー文化学会 焙煎・抽出委員会」(富士珈機 東京支店 セミナールーム)
 再発見の逆襲 (2) 再発見の逆襲 (3)
今般の分科会テーマは「コーヒー生豆の性格の違いと焙煎方法」、先般(2015年2月15日)の「焙煎機DISCOVERYと焙煎技術について考える」に続いて連なる催し。今般は旦部幸博氏を招いて、山内秀文氏と鳥目散帰山人の珈琲狂3人が集まる、あな恐ろし。福島達男氏・浅野嘉之氏・大坊勝次氏・松下和義氏らも加われば、さらにもあらず。…ん?開会前から大坊さんが、エチオピア・イルガチェフェで再びのディスカバリー焙煎に挑む(満悦?)。開会。まずは、旦部さんの講義、短くても濃くて大坊珈琲店のブレンド4番のよう。
 再発見の逆襲 (4) 再発見の逆襲 (5)
続いて、(バッハ田口さんによるコーヒー豆4分類の)AタイプのブラジルとDタイプのグァテマラを、参加者全員で2人1組となって焙煎実技。私は前回同様に大坊さんと組む(事前に大坊さんから指名された:笑)。では、私も再びのディスカバリー焙煎に挑む!皆と違う‘本物の’Aタイプ豆、『田口護の珈琲大全』でAタイプの典型として実際に使用されたパナマ・SHB(つまり13年を経た枯れ豆)を焼く。都市ガス圧を0.8kPaにして、ダンパーを3.7(ほぼニュートラル)にして、摂氏198度で275グラム投入して…後は何もしない。勝手に中点となり、1ハゼが始まり、2ハゼが始まり…火力も変えず、ダンパーも動かさず、サシ(スプーン)で豆も見ず…ん、ココだ、終了。出来はまあまあの「一本焼き」。後ろで見ていた旦部さんが「本当に何もしないんだ」と笑う。交代して大坊さんも、再びのディスカバリー焙煎にグァテマラで再び挑む(不満?)。旦部さんも松下さんも、はじめてのディスカバリー焙煎に挑む(悪戦苦闘?)。参加者全員が各自の工程で焙煎して、皆で試飲しあう。
 再発見の逆襲 (6) 再発見の逆襲 (7)
…ん? 大坊さんがコーノ名門で、松下さんが(自身で持参した)松屋式で、並んで抽出している…スゴイ共演だ(笑)。結局、生豆の性格(タイプ)の違いを焙煎に絡めて論ずるところまでは至らなかったが、皆ワイワイと盛り上がった催事となって好し。閉会して帰る大坊さんと別れて、皆で移動して「Gentle Belief」(ジェントル・ビリーフ)で懇親会。ビールで「コーヒーに」乾杯、立食形式で飲み食いしながらコーヒー談議。松下さんが帰り、旦部さんが帰り…私は最後まで残って、福島さんたちと延々と談議。散会後、定宿「ほていや」へ。(富士珈機並びにジェントル・ビリーフの皆様に謝意を表す)
 再発見の逆襲 (8)
 
【集会翌日の逆襲】 2015年11月15日
 
「café Bach」(カフェ・バッハ)
 再発見の逆襲 (9)
宿の部屋でコーヒーを淹れて喫してから、隣の店カフェ・バッハへ「おはよ~」。ドイツ風りんごのタルトとおまかせコーヒー(マラウィ)を味わう。あっという間に満席、活気溢れる店内、好い朝だナァ。飲み食いしながら、前日の焙煎プロファイルを検証する。まぁ、ディスカバリーを再び使いこなしたというよりも、またも意を通して勝手な再発見…逆襲だな。
 
「Gentle Belief」(ジェントル・ビリーフ)
上野でカハクの特別展を観て、公園で昼食、散策してから、外苑前のジェントル・ビリーフへ。…ん?店の前で大坊さんにバッタリ遇う、「昨日はどうも」(大坊さんは他用があってスグに帰った)。浅野さんの淹れたおまかせコーヒー(ケニア)を味わう。…え?松下さんが置いていった金枠とペーパーで私に松屋式で淹れよ、と。じゃ、比較対照にケニアを淹れよう。浅野さん大ウケ。大坊さんが置いていったディスカバリー焙煎のエチオピアも味わう。延々とコーヒー談議。
 
 再発見の逆襲 (10)
生豆の違いでコーヒーの味は変わる。焙煎の違いでコーヒーの味は変わる。抽出の違いでコーヒーの味は変わる。それを、例えば‘本物の’Aタイプ豆で、例えば再びのディスカバリー焙煎で、例えば松屋式の抽出で、実践しながら語り合い味わう、‘再発見’(rediscovery)を再発見する好い時間を過ごしたなぁ…帰途の新幹線で「秋浪漫弁当」(膳まい限定:神田明神下みやび)を食べながら想う、コーヒー世界の風来人による「再発見の逆襲」だ。
 
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コメント

No title
浅野 嘉之 URL [2015年11月20日 17時34分]

先日はありがとうございました

お疲れ様でした

翌日大坊さんから連絡頂戴しました
もちろん例のイルガチェフェについてです
大坊さんとしては
焙煎当日のイメージ(このコーヒーはこうなっていくかなといった)と
翌日の状態が少し違われていたみたいなので
「どう?」
というご質問でした
ぼくはもう少しせめて1週間後に
もう一度カッピングさせていただいて
ぼくなりの感想をのべたい旨(お恐れながらですが)
おつたえしました
「帰山人さんはなんて?」と気にされていました
「いいね!とおっしゃってましたが詳細は又ご本人から」
と答えました

しかし松屋式
やっぱりすごい
ほんと世の中広いです
きっとまだまだいろいろあるのだろうなぁ
やられました
あれから何回かしていますが
なかなか帰山人さんのようにはいかないなぁ
次回また見せてください
お願いします

サードウェーブ的な話いろいろ
聞きたかったのですが
大坊さんの焙煎や
帰山人さんの抽出
見させていただいていたら
その日はそのことはどうでもよくなりました(笑)

ほんとうにありがとうございました

to:浅野嘉之さん
帰山人 URL [2015年11月20日 23時37分]

おそらく大坊さん自身のイメージでは、より軽やかになっていくと想像したけれども、むしろ味が重たい方向に変化した、と思っているでしょう。大坊さんの焙煎深度は、味抜けするギリギリのところで軽やかさを作り出すものなので、その手前の2ハゼが始まって続いている間に上昇率が大きく変動すると、自身の予想よりも重たい味が後後の経時変化で表出します。そういう沈む感じを暗く重たく捉えるのが大坊さんの厳しさですが、私は輪郭さえしっかりと残っていれば力強さと許容して解釈もできるので「いいね!」と言ったのです。後日に私からもプロファイルを示して指摘しますが、とりあえずは上記の分析をお伝えください。
え?また松屋式で淹れさせられるの?…じゃ、松下会長にも来てもらって、会長と浅野さんと私で松屋式の腕と味を比べてみようか?(笑)

No title
浅野嘉之 URL [2015年11月21日 11時47分]

了解しました
25日に大坊さんのご自宅にうかがいます
きっとこの話しがでるとおもうので
おつたえしておきます

松下会長!
それこそ恐れ多いですよ
でも素晴らしいかたですね
なんか少しの時間なのに魅せられました

松屋式
もう少しがんばってみます

to2:浅野嘉之さん
帰山人 URL [2015年11月21日 15時41分]

では大坊さんの件、お願いします。ついでに、私の乾式グァテマラの感想も訊いておいてください。
松屋式は、(松屋式の流派?の方々は決してこんな風に説きませんが)私個人としては以下の捉え方もできると思う。例えば、ミュンヒ田中氏や海豚家清田氏や王田珈琲王田氏のような、いわゆる‘エキス取り’に近い抽出プロセスを前提に、それを短時間に簡便化したのが松屋式である、と。最初に滴り落ちる一滴まで数十分もかける時間はないので、松屋式では最初の一湯で浸透させてしまう。ネルドリップの‘エキス取り’では湯の浸透(=ガスとの置換)過程と、次の過程のエキスの洗い落としを繋げてもよいが(つまり一刀淹て)、松屋式では一気に注湯するので浸透と置換を待つ時間が3分以上は必要。その後の二湯目はエキスの洗い落としを目的にゆっくりと連続して注湯し続ける、と。すなわち、点滴・連珠・糸引き系のゆっくりネルドリップを、浸透・置換過程と洗い落とし過程に分断して、ペーパー仕様に簡便化したのが、松屋式である、と。私が「透過法として松屋式は理に適っている」と捉えている理由でもある。浅野さんや私は、このように捉えて淹れた方が上手くいくタイプでしょ?(笑)

No title
浅野 嘉之 URL [2015年11月21日 17時55分]

松屋式
きっと松下会長がされるとまたちがうのでしょうね
丁寧な解説ありがとうございます
しばらくがんばってみます
考え方や方式はふつうのペーパードリップ式にも
大変参考になると思うのですがいかがですか?
最初の蒸らしあたりが濃厚な珈琲を作りたいとき
いいのではないかと感じています

了解しました
大坊さんに乾式グァテマラについて聞いてみます

今回も楽しくおいしくいただいています
前回ニカラグア
今回グァテマラ
しかしいつももう帰山人さんワールドで
これを1本やきしているんですよね
いやはやまいったもんだ

今度ぜひアフリカ
そうケニアとかタンザニア
それこそルアンダのCEO的なもので
帰山人さんローストをみてみたいです
もっというなら
生豆混合焙煎も
マンデリンやモンスーン的なもののベースで(決して興味本位ではないですよ)
それに
熱源に炭はどうでしょうか
ぼくはいつかこれにいってみたいと思っています(笑)

では25日すぎに報告しますね
よろしくお願いします

to3:浅野嘉之さん
帰山人 URL [2015年11月21日 21時26分]

《熱源に炭はどうでしょうか》…どうなんでしょう? 私は積極的にはなれません。燃焼気体の成分構成がガス熱源とは異なるので香味にも差異が生ずる可能性はある、と思います。が、遠赤外線効果に関しては何らかの期待を抱くのであれば、妄想としか言いようがありません。そもそも近来の日本人は、木炭や竹炭に過剰な期待を寄せる傾向にある。欧米では石炭やコークスをごく普通に燃やし続けているし、コーヒー焙煎の熱源とはそれ以上でもそれ以下でもないだろうに…

No title
浅野 嘉之 URL [2015年11月26日 15時06分]

こんにちは
昨日、大坊さんのご自宅に伺いました
先日のエチオピアについて
帰山人さんの伝言と
詳細はプロファイルとともに後日直接お伝えします
とお伝えしました
よろしくお願いします
おおむね「そうなんだよね、そこがむずかしい」
と納得されていました
ただ帰山人さんの珈琲に関してのお話を失念しました
本当に申し訳ありません

2時間ほどの滞在でしたが
素晴らしい時間を過ごさせていただきました
「またいらっしゃい」と言っていただけてうるうる

あのカウンターが・・・・
39年
すごいですね

to4:浅野嘉之さん
帰山人 URL [2015年11月26日 23時29分]

概ねの納得ですか…フーム。おそらく大坊さん自身のイメージには、焙煎当初のモカ系らしい香味が持続して開いてくると想像したけれども、むしろ急速に弱化した、という思いも抱いたのでは? 「味は重たく香りは弱く」という相反するような変化だとすれば、落ち着いたともいえるし、沈んでしまったともいえる…《そこがむずかしい》。
私もまた「大坊家カフェ」へ遊びに行きたくなりました。一緒に朝ランニングしてから、ってのもイイな(笑)

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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