良化もできない

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2015年10月13日 01時30分]
映画『図書館戦争』(2013年)の観賞後記で、「検閲は図書館で生ずる」・「見計らい権限の誤解」・「図書館が殺傷事件の元」という「真・3大図書館戦争」を私は述べたが、近来は佐賀県の武雄市図書館と神奈川県の海老名市立中央図書館と愛知県の小牧市立図書館で「新・3大図書館戦争」が現実に起きているらしい…
 
 《民間参入が進む公立図書館の在り方が各地で議論を呼んでいる。新図書館計
  画をめぐる愛知県小牧市の住民投票では「反対」が「賛成」を上回った。わが街
  の図書館には何が求められているのか。 小牧市の住民投票では、レンタル大
  手TSUTAYA(ツタヤ)を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と
  連携した新図書館建設計画への賛否が問われた。反対56%、賛成44%となっ
  た投票結果に法的拘束力はないが、市側は計画の見直しを迫られることになっ
  た。 市の計画は、名鉄小牧駅前に官民連携による新図書館を建設し、中心市
  街地の活性化を図ろうというものだった。建設費は四十二億円。老朽化した現
  図書館の倍以上となる五十万冊を収容、カフェを設けて飲み物片手に読書でき
  るようにする、などとしていた。 計画に反対する市民団体は「建設費が高すぎる」
  「駅前活性化に図書館を利用すべきではない」などと訴え、行政主導で走り始め
  た構想に疑問を投げ掛けていた。 (略)ツタヤの集客力は消費者の強い支持が
  あればこそだが、納税者たる住民が街の図書館に求めるものは、にぎわいや流
  行をつくり出す力だけではないことを、住民投票の結果は物語っている。 公立
  図書館は、商業施設ではない。地域の文化を守り伝え、育てる拠点であること
  を忘れてはなるまい。わが街にふさわしい図書館の在り方を大いに議論したい。》
  (社説「わが街の図書館 地域の文化守りたい」/「中日新聞」 2015年10月10日)
 
新聞の社説ごときに《わが街》呼ばわりされることも癪にさわるが、映画『図書館戦争』の続編を観る前に、自宅から隣市へ北北西に約5.5km走って「リアル図書館戦争」(?)の聖地(?)を見に行こう!
 良化もできない (1) 良化もできない (2) 良化もできない (3)
西に小牧山の小牧市歴史館(小牧城)を臨む現在の小牧市立図書館(本館)は、象設計集団の設計によるRC造3階建の施設で、1978年1月に開館した。「なんとなくフラクタル」と『ポストモダン建築巡礼』(磯達雄:著 宮沢洋:イラスト 日経アーキテクチュア:編/日経BP社:刊 2011年)で紹介されたように、大小の三角柱を南の壁面に突出させた外観が特徴。軒下で遊び回る子どもの姿も好い。
 良化もできない (4) 良化もできない (5) 良化もできない (6)
老朽化によって汚れや錆も見られたし、管理を怠って館内は雨漏りもするようだが、東西方向には光路を設けていて、総じて実に味わい深く品のある建物だ。竣工から約37年が経過して老朽化したので移転新設が計画されている小牧市立図書館であるが、40年を超えても廃炉にしないで20年も運転延長する原子力発電所よりは、手を入れて‘ポストモダン建築’として遺すべきではないのか?
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現在の小牧市立図書館から東へ約850m走り、移転新設が計画されている小牧駅西側の用地を見る。用地の一部であるにぎわい広場の隅にはモニュメント「やさぐれ」(福本紗弓:作)があり、用地に接する歩道にはモニュメント「中にあるもの」(中島聖二郎:作)と「いのち」(野口直人:作)と「パンドラの華」(坪井勝人:作)があった。この「リアル図書館戦争」に相応しくも示唆に富んだ作品である。
 良化もできない (10)
聖地巡礼(?)を終えて走って帰る途に、道端のコスモスを照らす夕陽を眺めながら想う…教養をコンビニ化して文化を破壊する集団、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)を小牧市の図書館から放逐するためには、中部図書隊のライブラリー・タスクフォース(図書特殊部隊)だろうがメディア良化隊(メディア良化委員会 良化特務機関)だろうが、暴力装置を使うべきである。「図書館戦争」だ!
 
『図書館戦争 THE LAST MISSION』 観賞後記
 
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岡田准一(堂上篤:役)の武闘が好い。相島一之(尾井谷元:役)の表情も好い。だが、それだけ。前作の映画『図書館戦争』にはメディア改良化が必要だったが、今般の『図書館戦争 THE LAST MISSION』は良化さえもできない駄作である。焚書はダメだが、『図書館戦争 THE LAST MISSION』は焼いてイイ。これならば、正化の世よりも、平成の世の「リアル図書館戦争」の方が面白い。
 
 
【2015年10月22日 追記】
 
小牧における「図書館戦争」(?)その後
 
 愛知・小牧、ツタヤ図書館白紙化 住民投票受け契約解消
 《愛知県小牧市は20日、市立図書館建設をめぐり、レンタル大手TSUTAYA(ツ
  タヤ)を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と結んでいたアドバ
  イザリー契約を解消すると発表した。4日の住民投票で反対が多数となったこ
  とを受け、「ツタヤ図書館」計画を事実上白紙化した。》
  (「47NEWS」 共同通信 2015年10月20日)
 
神戸におけるさらに新たな「図書館戦争」(?)
 
 村上春樹氏の高校時代の学校図書館貸出記録が
 神戸新聞に公表されたことに関する見解
 《作家の村上春樹氏が母校の兵庫県立神戸高等学校図書館で借りた本の図書
  カード(本についている貸出用のカード)が、10月5日の神戸新聞ネットニュー
  ス及び夕刊で公表されました。そのカードには、村上氏のほかにもその本を借
  りた当時の生徒の学年、組、氏名、貸出日、返却日が記入されており、それら
  がはっきりと読み取れる状態の画像が掲載されました。図書館の貸出記録が
  漏洩・流出することは決してあってはならないことであり、これは明らかに利用
  者のプライバシーの侵害です。》
  (学校図書館問題研究会 2015年10月18日)
 
 良化もできない (12)
“Wo man Bücher verbrennt, verbrennt man auch am Ende Menschen.”(本を焼く者は、やがて人も焼く) ──クリスティアン・ヨハン・ハインリヒ・ハイネ(1821年)
 
本を焼く者は、まず焼かれるべきである。 ──鳥目散帰山人
 
「新・図書館の自由に関する宣言」案
第1 図書館は資料収集の自由を有する
第2 図書館は資料提供の自由を有する
第3 図書館は利用者の秘密を守る
第4 図書館はすべての検閲に反対する
図書館は、正義と秩序を基調とする図書館の自由を誠実に希求し、 図書館の自由が侵される紛争を解決する手段としては、武力による威嚇又は武力の行使を永久に保有する。この目的を達するため、陸海空軍その他の戦力を保持し、国の介入はこれを認めない。
 
小牧市とカルチュア・コンビニエンス・クラブと神戸新聞と神戸高等学校の関係者は、良化もできないので、まず焼かれるべきである。「図書館戦争」だ!
 
 
【2015年10月29日 追記】
 
小牧における「図書館戦争」(?)さらにその後
 
 ツタヤと連携解消、小牧に影響も 図書館流通センター
 《全国260の公共図書館を指定管理者として運営している図書館流通センター
  (TRC)が、ツタヤを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と、新た
  に図書館事業で連携しないことが分かった。愛知県小牧市では、両社でつくる
  共同事業体が新図書館の指定管理者となる可能性もあったが、それが消える
  ことになる。 (略)TRCは5日、「今後は新たに共同で図書館事業をすることは
  ない」とCCCに申し入れた。TRCの広報担当者は「TRCは図書館を教育施設と
  してとらえている。CCCとは理念の違いがあり、その溝が埋まらなかった」と説
  明。CCC側も申し入れがあった事実を認めている。小牧市の山下史守朗市長
  は「検証の結果が出ていないので、今の時点で影響は分かりかねる」と話して
  いる。》
  (「中日新聞」 2015年10月29日)
 
図書館計画を嫌々ながら見直すに寝惚けた弁を連ねる山下史守朗小牧市長には《影響は分かりかねる》のかもしれないが、そういう輩は良化もできないので、まず焼かれるべきである。「図書館戦争」だ!
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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