おかしいだろ、これ。

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2015 [2015年09月21日 01時00分]
今般2015年9月に全日本コーヒー協会が「10月1日は国際コーヒーの日」を広めるために作ったのは、「コーヒーサンバ」…おかしいだろ、これ。
 
  おかしいだろ、これ。 (1) おかしいだろ、これ。 (6)
 《10月1日は 「国際コーヒーの日」 コーヒー豆でできた特製衣装で得意のダンス
  と美声を披露 渡辺直美さん 初ソロPVデビュー!! 多彩な表情で「コーヒーサ
  ンバ」を熱唱  [企画背景] 日本でコーヒーといえば「ブラジル」ですが、コーヒー
  の「歌」といえば、かの名曲「コーヒールンバ」。西田佐知子やザ・ピーナッツ、荻
  野目洋子や井上陽水までカバーした「コーヒールンバ」にブラジルをかけあわせ
  た“コーヒーサンバ”という歌を作ることで、「10月1日は国際コーヒーの日」を広
  めていくことになりました。》
  (一般社団法人全日本コーヒー協会 2015年9月17日)
 
コロンビア前駐日大使にしてコロンビアコーヒー生産者連合会(FNC)の新総裁となったロベルト・ベレス氏が聞いたら激怒しそうな、《日本でコーヒーといえば「ブラジル」》という全日本コーヒー協会の決めつけも酷いが、《「コーヒールンバ」にブラジルをかけあわせた“コーヒーサンバ”という歌を作る》こと自体が、暴挙である。この「コーヒーサンバ」の原曲は、哀愁を奏でたベネズエラのフォルクローレ「モリエンド・カフェ」(Moliendo Café:コーヒーを挽きながら)であり、リズムはオルキデア(Orquidea)であって、ルンバ(Rumba)でもなければサンバ(Samba)でもない。このルンバではない曲に、《♪ 昔アラブの偉いお坊さんが…》と由来からかけ離れた日本語の歌詞を中沢清二がのせた西田佐知子版「コーヒールンバ」の怪しさを糺明するどころか、歌詞の‘ルンバ’を‘サンバ’にしただけで残り全てを流用して《ブラジルをかけあわせた》と嘯くとは、全日本コーヒー協会は性根が腐っている…おかしいだろ、これ。
  おかしいだろ、これ。 (2)
「コーヒーサンバ」は、「コーヒールンバ」の《♪ コンガ マラカス 楽しいルンバのリズム》の部分も、そのまま《♪ コンガ マラカス 楽しいサンバのリズム》としてしまった。本来のブラジル音楽‘サンバ’では、コンガもマラカスも使用しない。仮に《♪ スルド ヘコヘコ 楽しいサンバのリズム》とでも詞を変えれば、まだしも救われたものを…。もっとも、《♪ それは素敵な飲みもの コーヒー モカマタリ》とイエメンのコーヒーを持ち上げた歌詞は変えていないままで、《日本でコーヒーといえば「ブラジル」》と言い抜けるとは…おかしいだろ、これ。
  おかしいだろ、これ。 (3)
「コーヒールンバ」には無くて「コーヒーサンバ」に加えられたものに、「ウ~ッワァ」という掛け声が(PV中に2度も)あるが、本来のブラジル音楽‘サンバ’では、「ウ~ッ」という掛け声は使わない。ブラジル駐日大使アンドレ・アラーニャ・コヘーア・ド・ラーゴ氏が聞いたら激怒しそうな、日ブラジル外交関係樹立120周年を迎えた2015年にコンガとマラカスとウ~ッの入った「コーヒーサンバ」のPV発表。全日本コーヒー協会は性根が腐っているだけではなくて、無知蒙昧をさらしてブラジル文化を貶める国辱の存在である…おかしいだろ、これ。
  おかしいだろ、これ。 (4)
このように、全日本コーヒー協会が作ったPVは、原曲を生み出したベネズエラにも、元で‘ルンバ’と誤られたキューバにも、モカマタリを歌われたイエメンにも、そして全く‘サンバ’ではないものを‘サンバ’とされたブラジルにも、非礼である。多数のコーヒー生産国に失敬な「コーヒーサンバ」は、日本のコーヒー業界による‘自爆テロ’曲であり、自ら‘存立危機事態’を招いているのである。例えば、堀内隆志氏にでも事前に相談すれば、こうした事態は回避できたのかもしれない。堀内隆志氏は、コーヒーに関しては庄野雄治氏と共に蒙昧なコーヒー本(『はじめてのコーヒー』)を著す程度だが、ブラジル音楽に関しては相当に詳しいのだから…おかしいだろ、これ。
 
  おかしいだろ、これ。 (5)
コーヒーカラーは、《♪ そっと耳を澄まさんば そっと目をこらそんば…》などと駄洒落て歌っていたが、どうしても‘サンバ’を絡めたいのであれば、この「ワンナイトブラジル」あたりを使った方が、まだしも救われたものを…。もっとも、全日本コーヒー協会に、澄まして聞こえる耳も、こらして見える目も、あるとも思えないが…おかしいだろ、これ。全日本コーヒー協会が任意団体から社団法人へと変わった1980年、同年に死んだカルトーラ(アンジェノール・ヂ・オリヴェイラ)が今般の「コーヒーサンバ」を聴いたならば、何と言ったであろうか?…おかしいだろ、これ。
 
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コメント

No title
珈琲国王 URL [2015年09月23日 16時40分] [編集]

ご無沙汰しております。

・・で、このコーヒーサンバって本当の話なんすか?
悪夢であってほしい・・と思ってしまいましたが、ネットを検索すると現実の話らしく。
しかも、渡辺直美がって・・どういうこと?
正直、この人の下品な芸は大嫌いなんですが、ましてやこのネタ・・本当に悪夢であって欲しい。
そして早く目覚めてくれないかと自分に問いかけています(^^;

to:珈琲国王さん
帰山人 URL [2015年09月23日 17時55分]

PVに誰が用いられたのか、或いはそのタレントに対する好悪、そこを私は酷評するつもりはありません。おそらくは、「コーヒールンバをコーヒーサンバにしちゃえ」という発想が先行したのでしょうから…。企画した者も制作した者も粗忽だったのかもしれません。でも結果として、コレを通した責任は全協にある…私に言わせれば、現在の全協という存在自体が「悪夢」なんです。そこを糺す責任は、日本のコーヒー業界にあるのです。

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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