ロンバケ

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2015 [2015年09月06日 01時00分]
暑中の2015年7月某日、大坊勝次氏よりコーヒー豆が届いた。同封の葉書には、《「あぢさい」とでも名付けようかな、というコーヒー豆送ります。》、と。ん? 紫陽花の見頃は過ぎているが…あ、暑い最中だから「あぢさい」かな?(笑) ん? 何と! 飲んだ端(はな)の味は、私が深く煎った時のブレンドにかなり近い。冷めてくると、やはり大坊さん独特の苦甘さ、だが酸味もあって尚爽やか。何かしら、焙煎プロセスを変えてきたのか? う~む、先生畏るべし(?)。
 
  ロンバケ (1)
立秋を過ぎた2015年8月某日、大坊勝次氏よりコーヒー本が届いた。冊子『A Daibo Coffee Manual』(NAHOKO PRESS:刊)は、『大坊珈琲店』(大坊勝次:著/私家本/後に改訂、誠文堂新光社:刊)の中で「大坊珈琲店のマニュアル」のみを英訳したもの。ある意味、新渡戸稲造が著した『武士道』の逆を行っているわけで、目覚しいコーヒー本である。だが、‘大坊語’とでも言うべき大坊さん独特の調子や機微が、英文でどこまで伝わるのだろうか?とも思える。
 
処暑が近づく2015年8月某日、大坊勝次氏へコーヒー豆を送る。私が焼いた今般のブレンド、残暑の中にも爽涼の風味が感ぜられることを願って、「一味秋爽」と名付けた。
 
  ロンバケ (2)
白露が近づく2015年9月某日、『dancyu』(ダンチュウ)2015年10月号(プレジデント社:刊)のコーヒー特集に、「ロング・バケイション 大坊珈琲店」(阿久根佐和子:文)を読む。《閉店から1年7カ月。大坊勝次さんに訊く珈琲のこと。》、と。『dancyu』は2014年2月号で、《オオヤミノルさんが最後に聞いたこと。》と称して、「ロング・グッドバイ 大坊珈琲店」という文を掲げていたが、今般は「ロング・バケイション 大坊珈琲店」ねぇ…
 
 《こういう風に考えんのダメかな?長~いお休み。俺さ、いつも走る必要な
  いと思うんだよね。(略)そういう時は、何ていうのかな、言い方変だけど、
  神様がくれたお休みだと思ってさ、無理に走らない、焦らない、頑張らな
  い。自然に身をゆだねる。》 (瀬名秀俊/TVドラマ「ロングバケーション」
  第2話 1996年4月22日放送)
 
 《店を閉めてから、思うんです。大坊珈琲店の深煎りの珈琲を美味しいって
  言ってくださった人は、少なからずいらっしゃったのですが、同じような珈
  琲を出している店は少ない。美味しいと言うなら、誰かが似たようなことを
  やっているのかと想像していたのですが、少ないところをみると、大坊の
  珈琲を美味しいって言ってくださったのは、どうやらお世辞だったのかなと
  思います(笑)。》 (「ロング・バケイション 大坊珈琲店」/『dancyu』
  2015年10月号 p.19)
 
 《自分の言葉で表現出来る人ってうらやましい。自分の心の中が、ちゃんと
  わかるんだろうなぁ。わかんなくなったりしないんだろうな。》 (奥沢涼子/
  TVドラマ「ロングバケーション」第4話 1996年5月6日放送)
 
言葉が乱暴で、いつも調子イイことばっかり言ってて、全然他人から信用されなくって、そんな人のためにコーヒーはあるのかもしれない。コーヒーの味は正直だから、その人の‘本当’を表すような気がする…それ、誰のこと? 「ロング・グッドバイ」に「ロング・バケイション」ねぇ…大坊勝次氏は、レイモンド・チャンドラーでもなければ、村上春樹でもない。大坊勝次氏は、大滝詠一でもなければ、木村拓哉でもない。
 
 《自分自身の感覚で素直に考えるとき、人は落ち着ける。それが、ほっとで
  きるときなんじゃないでしょうか。珈琲店の空気は、そうしたお客様によっ
  てつくり出されているんだと思います。》 (「ロング・バケイション 大坊珈琲
  店」/『dancyu』2015年10月号 p.19)
 
大坊さん自身の感覚で素直に考えるとき、大坊さんが落ち着ける。それが、大坊さんのコーヒーが美味しいときなのではないか。大坊珈琲店が再開されなくとも、大坊さんがコーヒーをつくり続ける限り、惜別も休暇も無い。私の愛好と切磋琢磨も続く…その論は化けないだろう。
 
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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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