新たな「3+1」?

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2015 [2015年08月11日 01時00分]
世界文化社が発行したコーヒー本といえば、『家庭画報特選 Coffee&Tea プロに負けない味の研究』(1982年7月)、その新装重版である『家庭画報特選 珈琲と紅茶を楽しむ プロに学んだ珈琲・紅茶・ハーブティー・中国茶の淹れ方』(1983年6月)、あるいは『珈琲文化シリーズ 珈琲交響楽』(全5巻/1980年8月-1984年6月/発行名義は味の素ゼネラルフーヅ)…とにかく「でかいっ!」という印象があった。ところが、近来に同社が発行したコーヒー本、『Coffee Hunting Note 100カップログ』(2015年3月)にしろ、『珈琲美味手帖』(知ればもっとおいしい!食通の常識/2015年7月)にしろ…とにかく「ちっちゃい!」。定価は約5分の3であるが、その判型は面積比で約5分の1だ。
 新たな3+1? (1) 新たな3+1? (2)
だが、何を考えないといけないか。つまり、この30年間にコーヒーをとりまく情勢は大きく変化しているのであり、本的判型性は関係ない。コーヒーに関してわかりやすく丁寧な説明を心がけて、理解が少しでも深まるよう努力を重ねないといけない…本当にそうか?
 
世界文化社(Webサイト)による内容紹介によれば、『Coffee Hunting Note 100カップログ』は《世界No.1のコーヒーハンター川島良彰による初のコーヒー入門手帳》であり、『珈琲美味手帖』は《日本を代表する名店「カフェ・バッハ」「堀口珈琲」「丸山珈琲」が案内役》である。川島良彰氏(著者/ミカフェート)+石脇智弘氏(協力/石光商事)組 対 田口護氏(案内役?/カフェ・バッハ)+堀口俊英氏(案内役?/堀口珈琲)+丸山健太郎氏(案内役?/丸山珈琲)組という、キングギドラ対ゴジラ・ラドン・モスラを描いた『三大怪獣 地球最大の決戦』のようなコーヒー本による対決。勢威の序列はいずれか?
 新たな3+1?(3)
この2つのコーヒー本には、いわゆる「スペシャルティコーヒー」に対する姿勢に歴然と違いがある。まず、ホセ(川島良彰氏)の本には、‘スペシャルティ’という言葉が使われていない。唯一登場する用語解説では、《ひとつの市場を形成していますが、その定義は曖昧な部分が多く、普通のコモディティコーヒーに飲み劣りするスペシャルティコーヒーに出会うことが多々あります》とバッサリ斬り捨てている。対して、日本スペシャルティコーヒー協会で理事を務めている田口護・堀口俊英・丸山健太郎の3氏が案内役の本では、《2003年に日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)が設立され、よりおいしく高品質なコーヒーの普及、知識や技術を深めることによる「コーヒー文化」の醸成などへ貢献を続けている》とする。元はUCC上島珈琲に仕えていたホセ、そのUCC上島珈琲が実質に設立したSCAJで重責を担う3氏…この世界文化社が発行した2つのコーヒー本には、良質と称されるコーヒーに関して、近時の業界で勢威を争う構造が露呈されているのだ。
 
『コーヒーに憑かれた男たち』(嶋中労:著/中央公論新社:刊)が描いた‘御三家’(関口一郎・田口護・標交紀の3氏)と襟立博保氏が、いわゆる「スペシャルティコーヒー」の時代よりも前の「3+1」であるならば、『Coffee Hunting Note 100カップログ』と『珈琲美味手帖』とが示したものは、「スペシャルティコーヒー」が到来した時代の新たな「3+1」であるのかもしれない…とにかく「ちっちゃい!」けれども。さあ、コーヒー業界はどうなる?
 
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コメント

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じょにぃ。 URL [2015年08月11日 15時06分] [編集]

帰山人さん。

川島さんの本は読んで確かにあの一文は
『踏み込んでるなぁ』と思いました。

遅れながら一本焼き拝見しました。

後半の手網焙煎の話は何も言い返せません。

バッハさんも初めて手に入った豆の最初の焙煎は手網焙煎でしたね。
テレビで観ました。

私は煎り上手から始めましたが
どうしても安定性(同じ位置で振り続ける)と再現性に欠けるので
煎っ太郎が使える環境になってからは手焙煎はしていません。

私にとっては、手網焙煎=煎っ太郎です。

カロリーの話も勉強になりました。
時間が経過すれば確かに見た目は深くならなくても
カロリーは加えられてますね。

『手回しでもちゃんと焙煎できると認めなさい』

焙煎は焙煎機じゃなくてそれを操る人によって決まる
わたしもそう思います。


一つ質問があります。

動画ではケムリが出ているのか良くわかりませんでした。

煎っ太郎(パンチングなし)では出口が一つなので
水蒸気と煙が出るとすぐにわかります。

やはりパンチングありだと全体から分散されて放出されるのでしょうから
煙の出始めは薄めで分かりずらいのでしょうか?
(もちろん深く焙煎するとモクモクと出て来るのは想像できます。)


to:じょにぃ。さん
帰山人 URL [2015年08月11日 22時34分]

いや、ホセの言いっぷりは彼が日常で語っていることです。
番組内の低火力の一本焼きでは特にケムリは少なかったけれども、通常の私の手廻し焙煎でも2ハゼより前の段階では《分かりずらい》です。

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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