魔女の秘密

ジャンル:学問・文化・芸術 / テーマ:art・芸術・美術 / カテゴリ:観の記:美面 [2015年08月02日 01時30分]
「世界コスプレサミット2015」の開催期間(2015年7月25日~同年8月2日 )中にコスプレをして合言葉の「私は魔女です!」を言うと「魔女の秘密展」の当日観覧料が半額! …騙されないゾ。自白を誘う奸計だろう。そもそもコーヒー業界には「珈琲は黒い魔女」などと名乗る一派がいるので、私のようなコーヒー愛好者は“魔女”だと疑われやすい…観覧料は半額をあきらめて満額払うしかないナ。窓口で叫ぶ…「私は魔女ではない!」
 魔女の秘密 (1)
 
「魔女の秘密展」 (名古屋市博物館:特別展)
 
ドイツのプファルツ歴史博物館が催した“Hexen - Mythos und Wirklichkeit”(魔女─神話と現実/2009年9月13日~2010年5月2日)という展覧会を日本向けに換骨奪胎した巡回展が「魔女の秘密展」である。「ベールに包まれた美と異端の真実」という副題が付されて大阪を皮切りに新潟でも催されたが、名古屋に至るに及んで「“魔女”とは誰だったのか?」と副題が改められ、告知物のデザインも一新された。魔女の仕業だ。
 魔女の秘密 (2)
 
 《科学的知識と呪術的思考とは併存しうるし、現に併存しているのだ。(略)愛児
  の死やインポテンツや作物の不作や家畜の死を魔女のせいにした魔女幻想は、
  このような呪術的思考である。わたしたち人間は、不安から解放される時はな
  いから、呪術から解放される時もない。その意味で、魔女幻想はヨーロッパ文
  化だけでなく、人間を考えるための格好の教科書である。》 (度会好一 『魔女
  幻想 呪術から読み解くヨーロッパ』 中央公論新社:刊 1999年)
 魔女の秘密 (3)
《理論だけでは説明のつかない不思議な現象》という「魔術/美術」や、《リアリティとフィクションが交錯する不思議な世界》という「だまし絵II」などと同様に、今般に観た「魔女の秘密展」でも近代合理主義の高み(?)からの観点を脱していない。魔女狩りを迷信として切り捨てる、いわゆる「上から目線」である。だから、お守りや護符を展示しても、邪視や呪詛を含めたマレフィキウムを解き明かしていない。拷問道具を展示しても、魔女裁判において誰が告発者で誰が裁定者なのかすら解き明かしていない。おどろおどろしい雰囲気を醸し出そうとしつつ、魔女裁判が有罪死刑ばかりだったかのように偏らせ、悲惨さを強調する。《科学的知識と呪術的思考とは併存しうる》ことを示すのであればまだしも、出来の悪いお化け屋敷に毛が生えたくらいのもの、それが「魔女の秘密展」だった。《美と異端の真実》は《ベールに包まれた》まま、では、《“魔女”とは誰だったのか?》…
 
 《…マクファーレインは次のように推理した。人々は、中世以来の隣人らしい慈
  善的な態度と新しく生まれた資本主義的な利己主義との板挟みになり、その
  結果生まれた罪の意識を魔女に投射したに違いない(略)。つまり、告発者は、
  物乞いをした隣人に対して中世以来の伝統である施しをせずに、資本主義精
  神むきだしの利己心に駆られて追い払ってしまったことに罪の意識を感じてい
  る。それで、隣人が自分に対して悪意を持った魔女であると思うことによって、
  罪の意識から逃れようとしたというのである。(略)魔女は身寄りのないひとり
  暮らしではあっても、村に生活する隣人、それも貧乏な顔見知りである。》
  (度会好一 前掲書)
 魔女の秘密 (4)
“魔女”とは《隣人》や《顔見知り》だった。魔女を裁いた異端審問官や世俗裁判官よりも、経済や政治や宗教といった側面を含めて共同体の生活者が《隣人》や《顔見知り》の中に魔女を生み出したのである。つまり、彼ら自身も魔女であり、私たちも魔女であるのだ。アズマ工業が製作した全長3メートルのホウキに跨りながら叫ぶ…「私が魔女なのだ!」
 
 魔女の秘密 (5) 魔女の秘密 (6)
「魔女の秘密展」で最もつまらなかった展示は、安野モヨコ・真島ヒロ・吉河美希・渡辺航・石川雅之・石塚千尋・水薙竜の魔女マンガのイラストや原画だった。最も楽しかったのは、「あなたの考えた魔女の絵をかこう!」に応えた人らの「魔女の絵」を並べた展示だった。“魔女”とは誰だったのか?…本当の魔女とは、この銀河を統括する情報統合思念体によってつくられた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェイスである(秘密だ)。
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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