木を見て森を見る

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2015 [2015年06月14日 01時00分]
《生きることと死ぬることとは、ある意味では等価なのです》(村上春樹「タイランド」)…は? 等価? 死んだら食えん! 「スコンター 大須店」でガパオライスのセットを食べてから、会場へ…
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2015年6月13日
『タイのコーヒーを知ろう』
(主催:コーヒーアミーゴス中部/会場:マウンテンコーヒー 本社2階会議室)
 
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「日常に香り高い小旅行を 微笑みの国タイから ~タイのコーヒーを日本へ~」
シーナアキ(Flying Lights)
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「コーヒー農園での実習体験談」 林哲也(はやしCoffee)
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「バンコクのコーヒー5月展示会の最新情報」 大西文明(Coffee SAKURA)
 
コーヒーアミーゴス中部が主催する催事に参加するのは、1年余ぶりか。会場主の岩山隆司氏の案内を受けて入場、先着していた木野照代氏らと歓談(何故かチョコレート話:笑)して待機。司会は、樋口美枝子氏(珈琲工房ひぐち)。椎名亜希氏の熱情あふれる話しぶりは、提供されたコーヒーのようにややザラッとした味わいがグイグイと押しよせてる。あぁ、中野穂積氏や主濱節雄氏(故人)や今中健太郎氏のように、タイ王国の北部地方に魅せられてコーヒー産業に関わる日本人がまた一人増えていた。林哲也氏の「タイのコーヒーはなぜ高いか」や「川島良彰・石脇智広両氏がなぜタイ農園を指導するのか」という話は、タイにおけるコーヒー生産の政策的な課題を浮き彫りにしていて良い提起だ。「タイのコーヒー屋といえば、true coffeeやCoffeeWorldだろ?」という通途の概念を崩すような、大西文明氏の現地レポートが興味深い。いずれの発表でも、特に目新しい観点を得られたわけではなかったが、催事自体としては、臨場感あふれるスライド画像を見ながらタイにおけるコーヒーの歴史と課題を再考する時間として好ましかった。休憩後の質疑応答を兼ねた座談会では、他者からの質疑に応答の解説(品種、価格、流通、政策などに関して)を加える傍若無人、それが私の『タイのコーヒーを知ろう』?(笑)散会。
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 《メーファールアン財団は1972年にタイのプミポン国王の故母后によって創設
  された非営利団体だ。88年に始めた「ドイトゥン開発プロジェクト」は、ミャンマー
  国境沿いの貧しい地域で雇用を創出し、貧困問題を解決する目的で始まった。》
  (「第19回 日経アジア賞」 メーファールアン財団ディスナダ・ディッサクン事務
   局長講演要旨/「日本経済新聞」 2014年5月22日)
 
 《ところが、一九七三年「一〇月一四日政変」を契機に、国王の政治的地位が
  変わっていく。「国の統治者」としての国王が、名目的もしくは理念的なものか
  ら、自ら判断し行動する政治的アクターに変わってきたからである(Stevenson
  1999)。(略)「開発が先、分配は後回し」が政策の基本であり、その結果、開
  発がもたらす歪みが発生する。第三次開発計画(一九七一年から七六年)が、
  都市と農村の間の格差是正を政策目標に加えたのは、そのためである。(略)
  一九八八年からタイは未曾有の経済ブームを経験した。(略)より重要な点は、
  この時期のタイが、経済構造、産業構造、輸出構造、労働市場のすべての面
  で大きな変化を経験したという事実である。(略)倉島孝行は『タイの森林消失
  ──一九九〇年代の民主化と政治的メカニズム』の中で、一九九〇年代の
  政治運動は、森林地内の農地をめぐる森林局、農地改革事務局、軍・警察、
  政党政治家、地方実業家、NGO、農民組織の間の攻防史であったと主張した。
  的確な指摘だとわたしは思う。》
  (末廣昭 『タイ 中進国の模索』/岩波書店 2009年)
 
ラーマ九世たるプミポン国王が政治の舞台に登場する前年にメーファールアン財団が設立され、そのプミポンがチャクリー王朝のラーマ五世の在位記録を更新した年にドイトゥン開発プロジェクトが開始された。メーファールアン財団は、政治的な開発の「統制」を担う装置であり、ドイトゥン開発プロジェクトは、急速な経済発展による森林の破壊と利権の攻防を「調整」する策謀である。その手法のしたたかさは見事というしかないが、少なくとも「慈悲」や「親愛」の果てにタイ北部のコーヒーが結実したなどという短慮で浅薄な解釈では、正真にタイのコーヒー産業の課題を解したことにはならない。コーヒーノキを見てもタイ北部の森を見ていないような、そんな浮ついた気分でタイのコーヒーを喧伝するばかりでは、その将来を支援できない…木を見て森を見て慮ってからタイのコーヒーを知ろう!
 
コメント (2) /  トラックバック (0)

コメント

No title
t.matsuura URL [2015年06月18日 21時33分]

最近は名古屋で珈琲関連のイベントが
続いていたんですね。
何故か日程が合わないのばかりですが。
(帰山人さんの解説聞きたかったです)
タイランドは、ブログの導入のために読んだ...
なんてことはないですよね。笑

to:t.matsuuraさん
帰山人 URL [2015年06月18日 23時50分]

「タイランド」をブログの導入のために読んだのか?…とんでもない! ブログの導入にニミットの台詞を使いましたが、「タイランド」なんて読んでいません。村上春樹の小説なんて短編長編にかかわらず一つも読み切っていないし、今のところ読む気もありません。

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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