暇潰しの探究

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2015 [2015年05月09日 05時00分]
『食の探究』(別冊日経サイエンス205/日経サイエンス編集部:編/2015年4月16日)は、《科学とテクノロジーの側面から食物と食糧生産の話題を広く取り上げ》(「はじめに」)ている。それらの話題の適確さに不揃いはあるが、コーヒーを絡めて読めば暇は潰れる。
 暇潰しの探究
 
「味な感覚」(M.モイヤー/日経サイエンス 2013年12月号)
《どの親もうなずくだろうが、ママやパパがどんな食べ物を勧めるかによって、子どもの将来の味の好みが大方決まる。》…つまり、SCAAがどんなコーヒーを勧めるかによって味の好みが大方決まる?(笑)…この強要にはうなずけない。SCAAを滅ぼすべきであろう。
 暇潰しの探究 (2)
ローストビーフやビールやローストピーナッツはもちろん、豚レバーやオクラやカツオブシやイカなどと風味に関連する化学成分をコーヒーが共有している「風味のつながりマップ」の線画は、コーヒーアートとしても楽しい。《味は化学的であるだけでなく精神的でもある》。
 
「鼻で闘う味の受容体」(日経サイエンス 2014年11月号)
《スーパーテイスターは味の刺激に強く反応する人たちで、特に苦味化合物に非常に敏感だ。》…つまり、「苦味こそコーヒー」を唱えるコーヒー屋や愛好家は味盲なのか?(笑)
 
「味を強める調味料」(M.ウェンナー/日経サイエンス 2008年11月号)
《現在、食物を本来の味より甘く、しょっぱく、おいしく(うまく)感じさせる効果のある安価な化合物の開発が進んでいる。(略)セノミックスのうま味増強剤の第1号は、すでにいくつかのネスレ製品に添加されている。》…つまり、化合物によるフレーバー調節で、同じロブスタ豆から様々に《おいしく感じさせる》ネスカフェが発売される日も近いのか?(笑)
 
「超音波フライドポテト」(日経サイエンス 2011年9月号)
《40キロヘルツの超音波で長時間処理すると、ポテトの表面にひびが入り、多数の小さな気泡と裂け目が生じる。》…つまり、《超音波の機械を使い早期熟成方法の研究をしている》(『OBT人財マガジン』119/2011年7月13日)カフェ・ド・ランブル関口一郎氏も、コーヒー生豆にひびを入れて、「超音波オールドコーヒー」をつくろうとしているのか?(笑)
 
「味わい深い泡の味」(日経サイエンス 2011年2月号)
《朝をふわふわのカプチーノで始め、夕食に濃厚なビールを楽しんだ場合、その人は一日のスタートと締めくくりを科学的に最も興味深い食物とともにしたことになる。泡(エディブル・フォーム)だ。》…つまり、ふわふわのデザインカプチーノを楽しんだ場合、その人は「プラトーの法則」から遠い科学的に最も無意味なバリスタの技を観たことになる?(笑)
 
「食品あれこれ180万年の歴史」(E.キム/日経サイエンス 2013年12月号)
《紀元前7000年 ビール》・《紀元前5400年 ワイン》・《紀元前1900年 チョコレート》と比べると、《15世紀半ば コーヒー》が、うぶでたわいのない歴史の浅い《食品》であることがわかる。ワインに倣ってコーヒーを語りたければ、7000年後にしろ、ってことか?(笑)
 
「人口70億人時代の食糧戦略」(J.A.フォーリー/日経サイエンス 2012年3月号)
《その食品の栄養や、食糧安全保障など公的な恩恵にポイントを付与し、環境や社会に与える悪影響を減点する。(略)こんな可能性を想像してほしい。持続可能な形で栽培された熱帯産の柑橘類とコーヒーに、温帯で同様に栽培されたシリアル、そして副菜に地元でとれた葉物野菜や根菜を添える。》…しかし、こんな可能性も想像してほしい。食糧問題を解決するには、コーヒーの栽培と流通と消費をすぐに激減させるべきなのである。 
 
「チョコレートの木を救う」(H.シュミッツ/H-Y.シャピロ/日経サイエンス 2012年5月号)
《チョコレートの未来をもっと揺るぎないものにし、チョコレート産業の支える広大な社会や文化が維持され、健全な生態系も実現できると、私たちは楽観的に考えている。しかし、カカオを真に持続可能な作物とすることは極めて難しい課題なのだということも知っておいてもらいたい。》…この「口で説いても、手で解けない」(?)マース社の主張は拙い。コーヒーもカカオも《持続可能な作物とすること》自体を見直すべきであり、それこそが真に《極めて難しい課題なのだ》ということを知っておくべきだ。《楽観的に考えて》は不味い。
 
『食の探究』には、「科学で味わうコーヒーの魅力」(E.イリー/旦部幸博:訳/日経サイエンス 2002年9月号)が収載されているが、《コーヒーという単純な人生の愉しみの裏側にも、これほど複雑な化学の世界が隠れている。ただし幸いなことに、この複雑な世界を知らなくとも、コーヒーを飲むだけの人にとっては何の差し障りもない。》と言っているので、この暇潰しでは触れない。『食の探究』には、「コーヒーを救え」(H.ロズナー/日経サイエンス 2015年4月号)も収載されているが、コーヒー炭疽病(CBD)の写真をコーヒーさび病(CLR)と原著の誤りのママに訳した箇所がそのままなので、この暇潰しでは触れない。これらコーヒーそのものの話題にも、適確さに不揃いが隠れている。ただし幸いなことに、コーヒー世界へ深く潜って探究する人にとっては何の差し障りもない、暇を潰すには好い。 
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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