珈琲ババア

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2015 [2015年05月03日 05時00分]
「富司純子が小蔵屋(こくらや)のお草(そう)かぁ…」と思いながら『紅雲町珈琲屋こよみ』(NHK総合テレビジョン 特集ドラマ 2015年4月29日放送)を観てみたが、原作の小説(吉永南央:著)では最強に魅力ある珈琲ババアの‘杉浦草’も、やはりドラマではお草を芝居臭く演じている‘富司純子’その人にしか見えなかった。だが、コーヒー屋を描いた話としては、近来の映画『さいはてにて やさしい香りと待ちながら』よりマシだったし、さらに前の映画『ふしぎな岬の物語』と比べれば無限大にヨカッタ。総じて言えば、及第であろう。
 珈琲ババア (1)
 
 《そうやって、間違って失敗して傷ついて、でも何とか修復して前へ進もうとする
  ことが、人生をより味わい深いものにするんじゃない?そのカップみたいに…》
 《ん?ん~…人も‘金継ぎ’ができるってことか?》
 《傷を持っている人間だからこそ、できることがある。あたしは、そう信じていた
  いわ…》
 珈琲ババア (2)
《この素敵な物語の存在に気がつかないで》(文藝春秋「本の話Web」エッセイ)と4年願いドラマ化した演出の藤並英樹、《原作で描かれているお草さんの心の声をどこまでオンで台詞にするのか(略)その微妙なさじ加減に迷いました》(「紅雲町珈琲屋こよみ」Webサイト スタッフノート)という脚本の相沢友子、そして料理監修のオカズデザイン(吉岡秀治・吉岡知子)、器コーディネートの日野明子、切り絵制作の辻恵子、音楽の伊藤ゴローらによって、《傷を持っている人間だからこそ》できたのが『紅雲町珈琲屋こよみ』なのか? 《一目見て触れて、「いいなぁ」って思う。一杯飲んで、「うまいっ」って思う。そういう品揃えを心掛けているの》という切り出しの台詞通りに、まずまずの出来になったドラマであろう。
 
 《なに勘違いしてるのか知らないけど、おりゃただの隠居ジジイだからな》
 珈琲ババア (3)
『紅雲町珈琲屋こよみ』では、ドラマのオリジナルキャラクター松井(橋爪功:演)も恰好がヨカッタ。しかし、中川ちえがコーヒーコーディネートした抽出は、湯の浸透が縁辺に届かないまま蒸らしも不全で断続して注湯する画が恰好悪い。coffee Kajita(梶田真二)が焼いたコーヒーは、ドラマの終盤では「浅煎りのマンデリン」を使ったらしいが、《この香りは新鮮な豆が届く春先にしか楽しめないんです》と言わせても、黒板にはパナマの中煎りとエチオピアの浅煎りが示された…《なに勘違いしてるのか知らないけど》お話にならない。
 
 珈琲ババア (4)
人生に‘金継ぎ’ができる…とは思えないし、コーヒー世界の追究に‘金継ぎ’など絶対にできない。それでも、ドラマ『紅雲町珈琲屋このみ』には続編を望みたい。《「とう」のところがぴょんと跳ねて高くなる、独特の「ありがとうございました」》(『萩を揺らす雨 紅雲町珈琲屋こよみ』文春文庫)で客を送り出す珈琲ババアをまた実写で観るのも悪くない、そう思う。
 
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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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