黒い金の真実

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2015 [2015年04月26日 23時00分]
コーヒーは、それがフェアトレードコーヒーではなくても、フェアトレード商品に付された認証ラベルのような存在なのかもしれない…人間社会の存続には不可欠でない、ということだ。
 
 黒い金の真実 (1)
【おいしいコーヒーの真実】
映画『おいしいコーヒーの真実』(Black Gold/2006年)は、日本では2008年5月31日より渋谷のアップリンクで公開され、私は同年6月7日に観た。とてもじゃないが‘フェア’とも‘真実’ともいえない‘アンフェア’で‘虚偽’に満ちた作品であり、その偏見と誤謬を恥じもしない作意に激怒した。『コーヒー、カカオ、米、綿花、コショウの暗黒物語 ──生産者を死に追いやるグローバル経済』(林昌宏:訳/作品社:刊/2005年)で著者ジャン=ピエール・ボリスは、フェアトレードを《知的な詐欺行為》であり《偽善》であると評した。この『おいしいコーヒーの真実』も、ドキュメンタリー映画を名乗った《偽善》の《知的な詐欺行為》であった。
 
 黒い金の真実 (2)
【コクウ珈琲と映画】
2015年4月25日、コクウ珈琲が1日だけの映画館になる「コクウ珈琲と映画」が催された。『おいしいコーヒーの真実』を上映して、コクウ珈琲の篠田康雄氏と鳥目散帰山人(私)とでアフタートークをした。手放しでフェアトレードコーヒーを賞賛しない私をゲストスピーカーに迎えたコクウ珈琲へ、拍手を送りたい。映画上映中は、この日のために用意されたおやつ(「焼菓子ルルー」の焼き菓子)を食べながら控室で篠田さんと雑談、上映後に私の用意したレジュメ(「おいしいコーヒーの真実」を考える)を参加者へ配り、これに沿って対談し、さらに質疑応答…これを13時からと18時からの2部制で行った。映画『おいしいコーヒーの真実』では善悪に分けて対峙させるよう描いていたオロミア州コーヒー農協連合会とスターバックスコーヒーとがC.A.F.E.プラクティスで手を結んでいる現在の荒唐、そのスターバックスコーヒーへフェアトレードコーヒーを斡旋したトランスフェアUSA(現:フェアトレードUSA)がFLO(国際フェアトレードラベル機構)から脱退している現在の無稽など、暴露を織り交ぜながら話を進めた。拙くも過激な発言にも耐えて聞き続けた参加者へ、謝意を表したい。 
 黒い金の真実 (3) 黒い金の真実 (4)
 
【黒い金の真実】
フェアトレードの本義がオルタナティブトレードであり、《従来の国際貿易のルールと慣行を変える運動》(FLO・WFTO・EFTAによるFLJ訳のフェアトレードの定義の一部)であるならば、私はフェアトレードという理念までもを必ずしも否定しない。だが、《けっして、大企業を改心させてフェアな価格を生産者に払わせようという運動ではない》(堀田正彦「岐路に立つフェアトレードの現状と課題」/季刊『at』 3号/太田出版:刊/2006年)はずのフェアトレードが、《規準さえ守れば多国籍企業であってもフェアトレードができるのだという、嘘のような話が現実になってしまった》(堀田正彦:前掲)原因であるフェアトレード「ラベル」に依拠して偏重した啓発活動(?)について、私は断固として否定する。映画『おいしいコーヒーの真実』は、《以下の企業は取材に応じず クラフト社 ネスレ社 P&G社 サラ・リー社 スターバックス社》という字幕で終結しているが、その非難の意図は全くもって荒唐無稽である。これら多国籍企業を文明社会から抹消し、金融資本主義や新自由主義の枠組みでコーヒーを金(カネ)でしか計らない腹黒い企業を地球上から一掃すること…この前提があって初めてオルタナティブトレードとしての「真のフェアトレード」が成立する、と私は想う。
 
コーヒーは、それがフェアトレードコーヒーではなくても、フェアトレード商品に付された認証ラベルのような存在なのかもしれない…人間社会の存続には不可欠でない、ということだ。この「コーヒーの真実」から顔を背ける者、愛着や経営を理由に現状のフェアトレードコーヒーの過ちから視線をそらす者…こうした連中に「おいしいコーヒー」とか語る資格など無い。
 
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コメント

No title
cocu-coffee URL [2015年04月27日 19時43分]

ありがとうございました。
また何処かでやりたいですね。

No title
ちんきー URL [2015年04月27日 21時03分]

当日は色々ありがとうございました。
相変わらずの「ディープ」なお話本当に面白かったです。
(本音を言うともっとお話を聴きたかったです)
次回の開催楽しみにしております。

No title
じょにぃ。 URL [2015年04月28日 15時04分] [編集]

帰山人さん。

東京お店めぐり行ってきました。

青瓶。行ってきました。

清澄白河に行きました。
流石に落ち着いたかなと思っていましたが日曜日のせいか
アホみたいに人がいました(笑)
外も行列で警備会社のオッチャンがドアを開けてくれました。
グッズを買うのも並ばないといけないのかとオッチャンに聞くと
並ばなくてよいそうなのですぐ入れました。
中も注文の行列でしたがグッズ購入・お持ち帰りの列は別で
すぐ買う事が出来ました。
その間店内を見渡し
・フォーク車が忙しく動き回り
・沢山の抽出風景。
・テーブルに座って何かしている従業員(ハンドピック?事務処理?)

客層は
ほぼ男女のカップルです。

家に帰ってから購入したお豆ちゃん(ベラ・ドノヴァン)を見ましたが
全体的に浅めの中にもさらに明るい色のお豆ちゃんが沢山混じってて
ハンドピックしてる?と思うほど。
ペーパーで淹れて飲んでみても
今どきの味で渋みもあり
飲んでて”ふ~ん”な感じでした。

私は『嗚呼、ここはコーヒースポットと言うよりは
エンターテイメントスポットだな』と感じました。

こういう所はコーヒーは二の次で
・デートスポット
・ここにいる俺かっこいい
・ここにいる私おしゃれ
そういう人には打って付けの場所なんだろうなぁ

すぐ近くのアライズコーヒーも行列が出来ていて忙しそうでした。
*ブルーボトル効果ではなさそうでした。
客層は同じく若いのですがお客のスタイルが違います。

こういうのを見るとしっかりとした自分をもち
外に表現できて受け入れられれば
立地なんて関係ないんだなぁと感じました。

今回も何件かまわり色々と話を聞くことが出来ました。

良い勉強・経験となりました。

to:cocu-coffeeさん
帰山人 URL [2015年04月28日 22時20分]

次は何をやりましょうか?

to:ちんきーさん
帰山人 URL [2015年04月28日 22時23分]

や、話が「深い」のかどうか自信ありませんヨ。変わった話、妙な話ではありますが…

to:じょにぃ。さん
帰山人 URL [2015年04月28日 22時47分]

「Youは何しに日本へ?」とか「こんなところに日本人」とか、ずいぶんと失礼極まりない番組が当然かのように蔓延っています。青瓶フリーマンは何しに日本へ?こんなところにARiSE林…清澄白河には失礼極まりない野次馬が押し寄せている。コレが「波」の正体なんでしょうかネ。私には益体もないことです。

No title
じゃまめ URL [2015年04月29日 00時16分]

こんばんは、「おいしいコーヒーの真実」主演(?)タデッセ・メスケラ氏は日本にコーヒーを売込みに来ておりましたが、やらせ的な物だったのでしょうか。
でも、美味しいコーヒーでした。

to:じゃまめさん
帰山人 URL [2015年04月29日 16時55分]

《やらせ的な物》とは、どういう意味でしょうか?
タデッセ・メスケラの農業組合の運営手法は、研修で来日した際に学んだものです。彼がオロミアのコーヒーを1粒でも多く1ブルでも高く日本へ売り込みに来ても何ら不思議はありません。しかし、換金作物であるコーヒーを誰が生産各国から売り込みに来ようが、だからそれらのコーヒーが必ず「美味しい」という保証になるわけでもありません。

No title
じゃまめ URL [2015年04月30日 21時43分]

やらせ は不適切でした、訂正してお詫びいたします。
ジャン・ピエール氏の偽善、という言葉から映画の中でのタデッセ氏の行動が演技なのでは、と思ったためです。
なお、美味しいコーヒーの真実上映時も現在も、エチオピアコーヒーが私の好きなコーヒーの一つであることに変わりはありません。
もちろん美味しいことが望ましいことは言うまでもありません。

to2:じゃまめさん
帰山人 URL [2015年04月30日 23時39分]

生産各国の価格が高位にある豆は、マイクロロット化が進んでいる…それは(善し悪しは別として)事実です。それに連れて、国や地域で括って「好みである」と言うことが私には難しくなってきています。エチオピアのコーヒーは最たるもので、ロット毎のバラツキがどんどん大きくなっていく…私の好き嫌いの選択は激しくなる一方です。

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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