鳥人について語るときに私の語ること

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2015年04月15日 01時30分]
鳥人のヒーロー物といえば、「変身忍者 嵐」であり「科学忍者隊ガッチャマン」であり「鳥人戦隊ジェットマン」である。「バットマン」は蝙蝠なので鳥ではないが、マイケル・キートンはよっぽど鳥人になりたかったのか、22年も経って「バードマン」になるという…じゃ、観よう!
 鳥人について語るときに私の語ること (2) 鳥人について語るときに私の語ること (1)
 ‘And did you get what you wanted from this life, even so? I did.
  And what did you want? To call myself beloved, to feel myself
  beloved on the earth.’ ──Raymond Carver “Late Fragment”
 
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
(Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)) 観賞後記
 
 《今年のアカデミー賞で主要賞(作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞)を総なめに
  した話題作。すごいすごいと聞いてはいるが、いったい何がすごいのか? 
  だいたい、この変なタイトルの丸かっこ部分は何なんだ、と首を長くして公開
  を待っていた方も多いのでは。 (略)「バベル」でも見巧者をうならせたアレハ
  ンドロ・G・イニャリトゥ監督が初のコメディーに挑戦…という紹介が果たして正
  しいのか迷う。大笑いできるシーンも多々あるものの、ミステリー的な要素あ
  り、泣ける人間ドラマありで「見に行けば、なんとも珍しい体験ができる作品」
  というのが正確か。なぜ撮影賞をとったのかは映画館で確かめていただくと
  して、音楽の使い方もオチも、これから「バードマンみたいな…」という表現で
  例えられる作品が増えそうな予感すらするエポックメーキングな一本。》
  (前田朋子 「今週の注目」/「中日新聞」夕刊 2015年4月9日)
 
 鳥人について語るときに私の語ること (3) 鳥人について語るときに私の語ること (4)
《いったい何がすごいのか?》…強迫性障害の『バットマン』なマイケル・キートンに加えて、殴り殴られる『ファイト・クラブ』なエドワード・ノートン、端から落ちそうで『アメイジング・スパイダーマン2』なエマ・ストーン、情緒不安定で『21グラム』なナオミ・ワッツ、育児放棄の母で『ゴーン・ベイビー・ゴーン』なエイミー・ライアン…『バードマン』は俳優たちの回帰による自虐コメディである、《という紹介が果たして正しい》のであろう。ブロードウェイの舞台vs.ハリウッドの映画、批評vs.演出、動画投稿vs.空中浮揚、不遜vs.卑屈…こうした定位のズレを、メキシコ人の監督(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ)とメキシコ人の撮影(エマニュエル・ルベツキ)とメキシコ人の音楽(アントニオ・サンチェス)が、マジックリアリズムとワンショット風ロングテイクとドラムソロで飾ってみただけの映画が、『バードマン』である。このハリウッド映画界の劣等感を自虐ネタにした物語でオスカーを獲るという、自爆テロっぽいバカさ加減、これが《すごいすごい》のだ。つまり、《この変なタイトルの丸かっこ部分は何なんだ》…「鳥人」を「超人」であると誤認した映画自体がたいして当たりもしないで賞まるけになるという、《無知がもたらす》効能であり《予期せぬ》美点(?)である。劇中劇の原作であるレイモンド・カーヴァーの『愛について語るときに我々の語ること』の日本語訳版(村上春樹:訳/中央公論社:刊)では、「奇妙にずれたタイトルと謎めいた結末 暗示的なまでに簡潔な文体が描き出す 普通の人々の癒しがたい暗闇…… 転換期の新鮮にして大胆な短篇集」と帯で紹介されたが、映画『バードマン』が狙ったところもそんなところなのだろう。けれども、観てみれば、《エポックメーキング》でもなければ、何もすごくない。
 
 鳥人について語るときに私の語ること (5) 鳥人について語るときに私の語ること (6)
「鳥人間コンテスト」(Japan International Birdman Rally)曰く、「飛ばなきゃならないワケがある!」。しかし、映画の「バードマン」には《飛ばなきゃならないワケ》など何もない。『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』…ディスタンス部門の記録は0m。
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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