エニグマと走る数学者

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2015年03月19日 01時30分]
アラン・チューリング(Alan Mathison Turing:1912-1954)は、長距離走者である。チューリングは、イギリスのNPL(国立物理学研究所)でACE(オートマチック・コンピューティング・エンジン)の設計をしながら、ウォルトン・アスレチック・クラブに属して走っていた。クラブの大会では1946年8月に3マイルを15分37秒8、1947年4月には10マイルを54分53秒で走り、同年5月にチズルハーストで催されたケント20マイル走大会で2時間6分18秒を記録した。そして、同1947年8月23日にラフバラーで催されたAAA(アマチュア陸上競技協会)大会で、チューリングはフルマラソンを自己最速記録である2時間46分3秒で走った。この大会でのチューリングは5位で、その後に足の故障もあり、翌1948年の第14回オリンピック競技大会(ロンドン五輪)への代表チームの座を逃した。AAAマラソン大会で2位(2時間36分7秒)だったトーマス・リチャーズは、ロンドン五輪でマラソン銀メダル(2時間35分7秒)を獲得したが、同じ1948年に催されたクロスカントリー大会では、チューリングがリチャーズよりも速く走った。…‘俊足’で人生を駆け抜けた‘走る数学者’アラン・チューリングの伝記をグレアム・ムーアが脚色して受賞しまくったらしいナ…観よう。
 エニグマと走る数学者 (1) エニグマと走る数学者 (2)
 
『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(The Imitation Game)
観賞後記
 
 《身体は魂を引きつけ、つかまえるが、死によって身体がそのメカニズムを失う
  と、魂は飛び去り、すぐに別の身体を見つけるのだろう》(アラン・チューリング)
 エニグマと走る数学者 (3)
その人物は、伝記映画『アメイジング・グレイス』の政治家ウィリアム・ピット(小ピット)として1759年に生まれて1806年に死んだが、伝記映画『クリエーション』の植物学者ジョセフ・ダルトン・フッカーとして1817年に転生して1911年に死んだが、伝記映画『イミテーション・ゲーム』の数学者アラン・チューリングとして1912年に転生して1954年に死んだ。チューリングとしての死は‘エニグマ’(不可解)であり、実は優性人類のカーン・ノニエン・シンとして転生して、冷凍睡眠の後に映画『スター・トレック イントゥ・ダークネス』のジョン・ハリソンとして名乗った人物かもしれない。あるいは、ベネディクト・カンバーバッチとして転生して俳優になった可能性もある。…《時として誰も想像しないような人物が、想像できない偉業を成し遂げる》人物は、何度転生しても結局、常軌を逸した‘孤独な天才’である。
 
 エニグマと走る数学者 (4)
『イミテーション・ゲーム』が良作であるのは、主演のベネディクト・カンバーバッチが走ったからであって、キモいオタクとして孤立して自殺未遂を経験したグレアム・ムーアが自らに鬱積した顕示欲をアラン・チューリングに投影した脚本を書いたからではない。つまりは、チューリングマシンの提唱を描かず、チューリングボンベの開発という政治的軍事的な業績に絞って取り上げ、同性愛者としての悲愴が臭う「男女模倣ゲーム」というチューリングテスト(イミテーション・ゲーム)の本質を捻じ曲げて題名に使い、チューリングパターンについては全く無視した伝記映画は、‘エニグマ’(不可解)であり、仮構世界の物語である。
 
 エニグマと走る数学者 (5)
「ランナーは人間のように歩けます?」 「君はバカげた質問をしている。ランナーは人間のように歩いたりしない。ランナーは人間とは違うんだ。違うふうに動く。──面白い問題だよ、違うふうに動くというのは、動いていないことなのか? 双方に違いがあることは誰もが認めてる。君はハイキング、私はジョギング。君は山を歩き、私はトレイルランニング。なぜ好みが違うのか? それは、それぞれの足が違うふうに働いて、違う動きををするからだ。人間がそうなら、ランナーにも、同じことが言えるはずだ。」 「それが論文の内容ですね? 題名は?」 「──イミテーション・ゲーム」 …アラン・チューリングが1948年のロンドン五輪でマラソンを走っていたならば、現代のコンピュータ科学はどうなっていたのだろうか?…それは‘走る数学者’にもチューリングマシンにも解けない‘エニグマ’(不可解)だ。
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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