シェフと料理と、あやしい時間2

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2015年03月04日 01時30分]
先行き詰まったシェフを描いた映画が2本、あ~ややこしい…以前に観た『シェフ! ~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~』(Comme un Chef/2012年)はフランス映画だったが、今般の『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』(Chef/2014年)はアメリカ映画。前者はサンティアゴ・セグーラが好演していたが、ジョン・ファヴローが製作・監督・脚本・主演を務めた後者はどうであろうか?…《おいしい映画はじめました》…本当かね?…観よう。
 シェフと料理と、あやしい時間2 (1)
 
『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』(Chef) 観賞後記
 
《ジョン・ファヴローが10億円以上のギャラを蹴って『アイアンマン』シリーズの監督を降りた理由がここにある。「俺は金目当ての雇われじゃない! 人を感動させたいんだ!」それは料理人だけでなく、モノを作る人、働く人、すべての心の叫びだ》と町山智浩氏は評した。そういう美談はさておき、「俺は“ハッピー”じゃない!映画の『アイアンマン』シリーズで“トニー”の運転手(ホーガン)をやっていても、ちっともポッツ(グウィネス・パルトロー:演)とイイ感じにならないじゃないか!」と、ジョン・ファヴローは苛立ったのだろう。つまり、「俺の人生に“ペッパー”が足りないんだ!」とばかりに、“フリーク”へと変身して大暴れする真に“ハッピー”な運転手の映画、それが『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』である。
 シェフと料理と、あやしい時間2 (2) シェフと料理と、あやしい時間2 (3)
 
 《…コックというのは、変わり者、落ちこぼれ、ヤク中、難民、大酒飲み、こそ泥、
  あばずれ、サイコパスなど、悪党ばかりだと思うかもしれない。その感想はか
  なり当たっている。三つ星レストランのシェフ、スコット・ブライアンがいうように、
  この商売は「はぐれ者」を引き寄せるのだ。人生につまずき、どこかで挫折し
  た人間。高校を中退した人、なにかから逃げ出してきた人──別れた妻や世
  間体の悪い家族をあとに残し、法をめぐるごたごたや、浮かびあがるチャンス
  のない第三世界の惨めな状況から逃げてきたのかもしれない。さもなければ、
  私のように、ただこの世界が好きというだけだ。人の素行を厳しく問わないリ
  ラックスしたキッチンの雰囲気は居心地よい。》
  (アンソニー・ボーデイン 『キッチン・コンフィデンシャル』 新潮社:刊 2001年)
 シェフと料理と、あやしい時間2 (4) シェフと料理と、あやしい時間2 (5)
《どうして料理人が粋でいなせでモテモテで、セックス・ドラッグ・ロックンロール!な人生を送りながらも、ドン底に叩きこまれそこから這い上がることができたのか知りたければ? 本書をどうぞ!》という『キッチン・コンフィデンシャル』新潮文庫版の腰巻(帯)の惹句を、「映画でどうぞ!」へ変えただけ、それが『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』である。‘大甘’過ぎる成功譚であると承知していても、この映画に抗し難い魅力を感じてしまうのは、キューバサンドイッチが旨そうなだけではなくて、それを売り走る(?)フードトラックが《居心地よい》‘アジール’(無縁所)として感じられるからである。もちろん、娯楽映画を観る劇場自体が‘アジール’の機能を果たしているのだから、‘アジール’の中で‘アジール’を観せられたのならば、コレはもう《雰囲気は居心地よい》と魅せられるしかない…アッパレ。但し、『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』を底抜けに楽しくも感じれば感じるほどに、《人生につまずき、どこかで挫折した》現実の社会や生活の危うさも引き立つワケだが…。
 
 シェフと料理と、あやしい時間2 (6) シェフと料理と、あやしい時間2 (7)
本作『シェフ』ではエムジェイ・アンソニーも好演しているが、トラックを運転しながらコーンスターチを股間に振りかけるジョン・レグイザモ、あやしく巧い美味い…星3つ☆☆☆です!
 
コメント (0) /  トラックバック (0)

コメント

この記事にコメントする

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://kisanjin.blog73.fc2.com/tb.php/779-19846511
編集

kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

03 ≪│2017/04│≫ 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
Powered by / © Copyright 帰山人の珈琲漫考 all rights reserved. / Template by IkemenHaizin