ヨダカの夢

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2015年03月02日 01時30分]
岬にあるコーヒー屋を描いた映画が2本、あ~ややこしい…『ふしぎな岬の物語』の店名が‘岬’カフェで、『さいはてにて やさしい香りと待ちながら』の主人公の役名が吉田‘岬’だよ。前者は柏木悦子役のクソババアによる最悪の映画であったが、柿木奈子が脚本を書いた後者はどうであろうか?…《今、心からの「ただいま」。》…あ~やばそうな雰囲気だ…観る。
 ヨダカの夢 (1)
 
『さいはてにて やさしい香りと待ちながら』 観賞後記
 
映画の珈琲監修に堀口俊英、珈琲指導に二三味葉子、特別協力に堀口珈琲と二三味珈琲と富士珈機…これならば鉄壁の陣か、と期待した私がバカだった。フジローヤルR-105が据え置かれて…え? 設置完了前に焙煎機の作動テストをしない!…初めての客にコーヒーを「挽きますか?」と…え? 相手の器具も訊かずに挽いた!…抽出はペーパードリップで…え? 蒸らし時間の全く無い断続注湯だ!…何よりも、永作博美が演じる吉田岬の焙煎する時のサシ(スプーン)を抜き差しする‘姿’がヒドイ! 豆を見ていないに等しい所作。
 ヨダカの夢 (2)
 《(焙煎をマスターしていると噂で聞いた、と振られ)…永作博美「いやいや、マス
  ターなんて、とんでもないです」…佐々木希「マスターしてました」…永作博美
  (コーヒーを淹れる練習はたくさんしたが)「焙煎機に関しては豆を割とガーッて
  量入れなきゃいけないので、そんなにたくさんは練習はもちろんできなくて、な
  ので要所要所の部分をしっかり教えてもらって、あとはホントでもやってみて、
  作業を見ていて思ったのは、ホントに五感です。感覚で美味しい美味しくない
  というか、味がホントに変わるんだな、と思いました。それは、残念ながら簡単
  にはマスターすることはできないな、とつくづく思いました」》 (2015年1月29
  日 新宿バルト9で開催された「完成披露舞台挨拶」において)
 ヨダカの夢 (3)
永作博美の感得自体に、私は異を唱えない。だが、何と言おうが、珈琲狂としての視点でダメなものはダメ。監修や指導や協力などでは、コーヒー描写の完成度を保証しない事実。コーヒーの美味しさを語るに、撮影の日程や役者の素養などで割り引く評は与えられない。‘五感’とか‘感覚’などという曖昧糢糊としたもので逃げ切れるほどに、コーヒーは甘くない。
 
さて、映画『さいはてにて やさしい香りと待ちながら』は、奥能登の珠洲市の木ノ浦海岸を舞台(ロケ地)としている。珠洲市は、映画に3千万円を出資して、劇中「ヨダカ珈琲」にした舟小屋を撮影後に譲り受けて観光資源として活用することを目論んで…だから、‘最果て’地域振興のPVとして、《いつまでもいつまでも燃えつづけました。今でもまだ燃えています》(宮沢賢治「よだかの星」)という状況を望んでいるのであろう。しかし、物語はTVの2時間ドラマのように凡俗。仮に、「まんなかにて きびしい臭いと逃げながら」という話でも、面白味はさして変わらないのではないか?…公開初日の劇場で私が観た回は、定員225席に12人の入りだった。《もうよだかは落ちているのか、のぼっているのか、さかさになっているのか、上を向いているのかも、わかりませんでした》(「よだかの星」)という状態なのか?
 ヨダカの夢 (4)
 ♪ 生きとしいけるもの全て 同じ色 真紅の血で 命を 育てる
   どんな正義をかざしても 流れ出る真紅の血 止められはしない
   夢を 見てた 長い 夢を 長い 夢を 長い 夢を ♪
   (川村サイコ:詞 「夜鷹の夢」/アニメ『ゾイドジェネシス』OP曲)
 ヨダカの夢 (5)
「ヨダカ珈琲」から流れ出る真紅の血を止められはしない…それは、‘星’ではなくて‘夢’だ。
 
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コメント

No title
じゃまめ URL [2015年04月02日 21時36分]

同感です。

to:じゃまめさん
帰山人 URL [2015年04月02日 23時21分]

どこを《同感》されたのかな?

帰山人様
じゃまめ URL [2015年04月02日 23時55分]

失礼いたしました。
実在するコーヒー屋がモデルとなれば、ローストや抽出シーンが多々あるものと想像し、さらに監修 指導 協力が 堀口俊英さん、二三味葉子さん、富士ローヤルとくればコーヒー好きにとっては物語性より現実性に期待しておりました。
と、文章的に同感であっただけかもしれません。
私は帰山人様ほど掘り下げることができませんが、ヨダカであることがどういう意味を持つのか全く理解できないでおります。

to2:じゃまめさん
帰山人 URL [2015年04月03日 01時22分]

本映画のプロデューサー渡辺和昌氏が《『よだかの星』は読み手によって様々な解釈が生まれる秀逸な短編小説》と言っている(公式Webサイト)。そうなんだろうと思う。そういう宮沢賢治作品に特有の詩的な曖昧さを柿木奈子氏は「買った」のであろうとも思う。《特有の詩的な曖昧さ》が嫌いな私は、こういう女性原理による女性救済の映画を甘受できない。それを承知しているからこそ、ヤセガマンして観る(笑)

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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