懲り懲り懲り4

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2015 [2015年03月01日 01時00分]
《『珈琲店タレーランの事件簿4 ブレイクは五種類のフレーバーで』が発売中なので作家を名乗っていいですか》とTwitterで言う著者…その最新巻の感想を述べていいですか?
 懲り懲り懲り4 (1)
 
「まわりくどい」とか「気持ち悪い」とか「稚拙」とか「気持ち悪い」とか「小賢しい」とか「気持ち悪い」とか…文体も話運びも人物設定も状況描写も台詞回しも伏線の張り方もトリックの使い方も「ダメよ~ダメダメ」と、ミステリー愛読者にもラノベファンにも酷評され続けた「珈琲店タレーランの事件簿」は、ついに《152万部突破の人気シリーズ》(?)となったが、そもそも誰が主格になっても、‘叙述トリックを衒いたい’著者の思惑が、その一人称描写に不自然さを与えてしまうから「気持ち悪い」のである。この当に「信頼できない語り手」を物語自体が抱えてしまう致命的な欠点、これは第1巻第2巻第3巻に引き続き、第4巻『珈琲店タレーランの事件簿4 ブレイクは五種類のフレーバーで』(岡崎琢磨:著/宝島社:刊)でも一向に改善されていない。《…これから僕の退屈はいちだんと増すだろう》(p.18)。
 
 懲り懲り懲り4 (2)
「珈琲店タレーランの事件簿」シリーズのエピグラフは、第1巻がシャルル=モーリス・ド・タレーラン=ペリゴール、第2巻はトルコのことわざ、第3巻はジャン=ジャック・ルソーの言であった。第4巻のエピグラフは…《やはらかに誰が喫みさしし珈琲ぞ紫の吐息ゆるくのぼれる──北原白秋》である。さて、今般のエピグラフは、何を示すのであろうか?…《…猫の手も借りたい、と思うことはありますが》(p.9)と言って猫の手を借りてしまった第1話「午後三時までの退屈な風景」、《だって、言えるわけないじゃないですか》(p.169)と言って切間美星の推理が無い第3話「消えたプレゼント・ダーツ」、《おまえの中にある芸術が見えるか?》(p.174)と言って話中にコーヒーが見えてこない第4話「可視化するアール・ブリュット」、《想像を熱心に追求…》(p.238)と言って想像を絶する臨時休業の第5話「純喫茶タレーランの庭で」、《…あまりにもお人よしすぎるように感じられて仕方がなかった》(p.265)と言って結局お人よしすぎる第6話「リリース/リリーフ」は、どうも連関しない。《うわべだけなら、こんなことするものか》(p.112)と言って「銀ブラ語源問題」と熟女不倫を中途半端に描いた第2話「パリェッタの恋」こそが、勇みマラ(?)で隣家の人妻を食いさして吐息をもらしたであろう北原白秋の短歌に相応しいといえる。《…わたしはくらくらとめまいがし、胃のあたりには空腹か吐き気かの区別もつかない不快感を覚えていた》(p.46)。
 
私には、不倫話「パリェッタの恋」が《その謎、たいへんよく挽けました》(p.98)と思い難い。45歳の伊達涼子は自らの不倫を投影して、《…パリェッタの気持ちが、わたしには痛いほどわかるから──それほどまっすぐな想いでなければ、重大なルールを犯すことさえいとわない…》(p.121)などと言うが、ブルボン朝の宮廷文化が盛期にあったヨーロッパ諸国とその植民地における男女の恋愛や婚姻の習俗が、現代の日本とは全く異なる由を無視した妄念である。《あぁ、退屈だ》(p.42)…コーヒーを挽く音、また「懲り懲り懲り」と聞こえる。
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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