JCS漫歩記 前篇

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2014 [2014年12月09日 23時00分]
《…結局、私みたいなものは、食べ物さえあれば、何もしないでしょう。犬もそうだ。食べ物さえあれば、寝そべっているだけで何もしない。あれは、じつにいい》(熊谷守一『へたも絵のうち』)。…結局、私みたいなものは、珈琲さえあれば何かするだろう。私は犬ではない。珈琲があると、気も漫(そぞ)ろで寝ていられないし、漫ろ歩きもする。珈琲は、じつにいい。
 
 
【JCS年次集会前日】 2014年12月6日
 
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夜行バスで東京へ。冬空が美しい。白い息を吐きながらラジオ体操をする人人を横目で見つつ、湯を沸かし、豆を挽き、ネル布で淹れる。清澄公園のベンチでコーヒーを喫する。
 
ブルーボトル コーヒー」が進出する予定の清澄白河エリアを、木場公園まで散策。「アライズコーヒー エンタングル」、「サンデーズー」、「マンマカフェ151A」、「オールプレスエスプレッソ 東京ロースタリー&カフェ」、「アライズコーヒー ロースターズ」、「フカダソウカフェ」、「こふく」を横目に見る…どのカフェも営業時間前、それは先刻承知、今は飲む気が無い。
 
 《日本1号店の場所は、銀座でも、青山でも、渋谷でもない…。それはとて
  も感覚的なものです。出店初日から大騒ぎになって、数年後には忘れ去
  られる。そういうブランドにはなってほしくないし、してはいけないという思
  いはありました。だから、東京中を歩き、様々な場所を見ました。最もブ
  ルーボトルらしい空気があったのが清澄白河です。静かで、道が広くて、
  建物が高くなくて、空気がゆったり流れている。ちょっと歩けば、清澄庭
  園や現代美術館があって、門前仲町に囲まれている文化的な場所でも
  ある。もちろん建物そのものにもこだわりました。焙煎工場とカフェを並
  列できる面積を有することも必要です。》
  (石渡康嗣:談/「話題沸騰の『ブルーボトルコーヒー』 日本進出の地に
  なぜ“清澄白河”を選んだのか?」 Webサイト『しらべぇ』 2014年7月
  19日)
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 《ところでなぜブルーボトルは渋谷でも新宿でもなく、清澄白河を選んだの
  でしょうか。正直センスあると思います。元々、昔、清澄白河は特になん
  てことない下町でした。が、突然『現代美術館』が出来て、アートフォロ
  ワー達により、どんどんアートな街になっていきました。 下町×アートの
  なんともいえない雰囲気に対しては賛否両論あったのですが、だんだん
  とアートを中心に街が栄えていきました。オシャレなお店と昔ながらの商
  店街 そんな清澄白河、実はおいしいコーヒースタンド・カフェが増えて
  きています。》
  (「ブルーボトルだけじゃない!コーヒーの街と化す清澄白河」 Webサ
  イト『the coffee brothers』 2014年7月17日)
 
違うね。清澄白河エリアが《コーヒーの街と化す》(?)理由は、《感覚的なもの》でもなければ、《センスある》わけでも無い。かつての第二次世界大戦前までは‘深川’の中心域だったが、戦後に深川区が(江東区新設時に城東区と合併して)消滅した後は、賑わいを失った清澄白河エリア。他の都心域ほどには大規模な再開発も進まず、相対的に地価が低く安定しているので、参入しやすいのである。「粗大ゴミ」(磯崎新:評)である東京都現代美術館、「かかしコンクール」しかウリがない深川資料館通り商店街…取り残された市街地を《空気がゆったり流れている》とか《文化的な場所》とか、軽々しくも寝惚けた喧伝をするな! 阿呆なメディアに踊らされて、《アートな街》や《コーヒーの街》などと呼ぶべきではない。‘日本のサードウェイブコーヒーの『聖地』’として改めて扱われるであろう2ヵ月後(ブルーボトル開店時)のバカ騒ぎを、清澄白河の地元住民はどう感じるのだろうか? その2年後、20年後の街には、どれだけのカフェが残っているのだろうか?…そう想いながら漫ろ歩く。
 
「café Bach」(カフェ・バッハ)
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注文「ドイツ風リンゴのタルト、コーヒーはまかせる」…ん? エチオピア・シダモWで来たか! で、結局、私みたいなものは、‘朝のおめざ’(?)のタルトもコーヒーも美味しければ、ゴキゲンだ。もっとも、バッハでは常にそうだ。荷を預け、トレセンへ寄って少談…傍若無人か?
 
「Tram」(トラム)
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注文「ブレンドをデミで」…半年振りの再訪。「燻った焦げ味は減った、やや渋みがある」と評して、古屋達也氏とコーヒー談議。苦味と酸味と甘みの関係とか、新旧の手廻し釜の素材による違いとか、話題は尽きない。古屋さんの追究、大坊勝次氏の焙煎を追ったり、大坊さんから離れたり、今はまだまだあれこれやってみてイイと思う、と放言…傲岸不遜か?
 
「Gentle Belief」(ジェントル・ビリーフ)
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注文「腹減った、何か食わせて!」…店自体は初訪(浅野嘉之氏とは半年振りの再会)である。バジルのクリームパスタを食す、旨い。食後はスマトラ・タイガー…ん? 抽出が帰山人仕様だ、絶妙に美味い。浅野さんは、焙煎も抽出も飲み手に合わせる勘どころが傑出している、コレは天稟。わかっちゃいるが、実際に食らうと改めて感嘆。高橋徹・由紀夫妻も加わって談議を延延。ブルーインパルスが出され、マンデリン飲み比べ…得手勝手か?
 
「café Bach」(カフェ・バッハ)
注文「荷物取りにきただけ…やっぱ飲む、エチオピア以外でまかせる」…先刻に浅野さんから「どうしてバッハでそこまで傍若無人に振る舞える?」と窘められたにも拘わらず(笑)。ドミニカを飲む。ママ(田口文子氏)が出てきて少談。え、シュトレンは別送…放辟邪侈か?
 
「カフェ・バッハ」隣の定宿「ほていや」にチェックインして、外出。九州料理居酒屋「神屋流 博多道場 上野御徒町店」にて妹夫婦と晩餐。近況を伝え愚痴を零し…で、結局、私みたいなものは、酒に酔って憂さを晴らせば、ゴキゲンだ。そもそも、私の人生が漫ろ歩きだ!
 
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コメント

No title
しまなかろう URL [2014年12月11日 11時25分]

帰山人様
ボクの長女は閣下が言うところの〝粗大ゴミ(現代美術館)〟の真ん前のアパートに引っ越しました。「かかしコンクールしか売りがない」商店街も歩きました。たしかに案山子しかなかったな。でもカフェに入ったら〝アートな若者たち〟がいっぱいいたよ。娘はこの〝粗大ゴミ〟のある街がとても気に入ってます。

to:しまなかろうさん
帰山人 URL [2014年12月11日 12時47分]

労師、‘粗大ゴミ’と言ったのは私じゃなくて、(私の故郷に「グランシップ」という壁が崩れ落ちる粗大ゴミを自らも設計しちゃった目糞鼻糞の)磯崎新ですって!アノ一帯は凡庸でも好ましい‘下町’だと私も思っている。真の《アートな街》になることは歓迎です。東京開催のアートフェスやアートフェアの類も、六本木あたりじゃなくって清澄白河でやりゃあ好いのにねぇ。でも、群衆心理で流行るだけの能が無い《コーヒーの街》は嫌だ!

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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