2014年憤怒の旅

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2014年11月25日 23時30分]
HALは歌った…♪ ‘Daisy, Daisy, Give me your answer do.’(デイジー、デイジー、答えてよ)と。ブランド教授の応答…‘Rage, rage against the dying of the light.’。
 2014年憤怒の旅 (1)
 
『インターステラー』(Interstellar) 観賞後記
 
あぁ怒るよ。ナニが《それは宇宙を超えた父娘の約束──。》(『インターステラー』惹句)だ! 《…この映画のエンディングで泣かなければ、お医者さんに行った方がいいと思うわ(笑)》(アン・ハサウェイ談/『映画.com』 インタビュー/2014年10月17日)だと?…『コンタクト』(1997年)のアロウェイ父娘にも、『アルマゲドン』(1998年)のスタンパー父娘にも、泣けるものではない、『2001年宇宙の旅』(1968年)のフロイド父娘に泣けないのと同じ。もちろん『インターステラー』でも、クーパー(演:マシュー・マコノヒー)&マーフ(演:ジェシカ・チャステイン)父娘にも、ブランド父娘(演:マイケル・ケイン&アン・ハサウェイ)にも、泣けるものではない。‘究極の父娘愛’とばかり煽る連中こそが、医者へ行った方がいいと思うネ…
 2014年憤怒の旅 (2) 2014年憤怒の旅 (3)
 
あぁ怒るよ。ナニが《地球の寿命が終わる。》(『インターステラー』惹句)だ! 《劇的な環境変化によって、地球の寿命は尽きかけていた。》(公式Webサイト STORY)だと?…滅亡の危機に瀕したのは、‘人類’であって‘地球’ではない。これは、映画でも現実でも同じだ。生物の寿命と惑星の寿命の区別もつかない生命体は、さっさと寿命が尽きた方がイイね!
 2014年憤怒の旅 (4) 2014年憤怒の旅 (5)
 
 《そういった、きわめてリアルなSF映像、即ち未来映像は、だから先に述べた
  うに確実に、作者自身を含む僕らの“死”を内包する。それゆえSF映像は、そ
  れに対しそれなりの意味や意義を発見せねば、間違いなく人々のいう小児的
  世界に堕する。SFとはだから、そういった意味での“時間”との対決を確実に
  強いられる宿命の、特殊なフィクションとさえいえるのであろう。(略)それゆえ、
  あのH・G・ウェルズを、人が“ザ・タイム・トラヴェラー”と呼ぶように僕はスタン
  リー・クーブリックを、“ザ・タイム・マスター”などと勝手に名付け、僕自身の
  “やがて来る時間”の、のぞましき指針とひそかに思い込む……。》
  (石上三登志 「ザ・タイム・マスター/SF作家スタンリー・クーブリック」/『ザ・
   スタンリー・キューブリック』 キネマ旬報社 1981年/『SF映画の冒険』 新
   潮文庫 1986年 に収載)
 2014年憤怒の旅 (6)
あのスタンリー・クーブリックを石上三登志が‘ザ・タイム・マスター’と呼ぶように、私はクリストファー・ノーランを‘ザ・タイム・マン’と勝手に名付けよう。クーブリックの『現金に体を張れ』(1956年)における多元描写と、ノーランの『メメント』(2000年)における逆行描写は、共に重層する‘時間’そのものが主役(?)である。クーブリックは多元描写を、《ジャック・トランス側のみを追えば異常心理を描いた恐怖映画、ダニイ・トランス側を追えば超心理を描いたSF映画》(石上三登志:前掲書)として『シャイニング』(1980年)へと展開し、ノーランは逆行描写を、コブ夫妻の追憶を描いた恋愛映画と潜在意識の改変を描いたSF映画として『インセプション』(2010年)へと展開した。これらも、共に重層し相対する‘時間’が主役である。『現金に体を張れ』と『メメント』、『シャイニング』と『インセプション』、こうした対偶がさらに進んで、《“時間”との対決を確実に強いられる宿命の、特殊なフィクション》を追い求めた作品が、クリストファー・ノーラン版としての『2001年宇宙の旅』、つまり『インターステラー』である。したがって、主人公同士は‘ボーマン(=スターチャイルド)’が‘クーパー’であるものの、それ以外は、‘モノリス’が‘TARS’であり、‘HAL9000’が‘マン博士’であり、神格の存在‘魁種族’が五次元生命体の‘人類(?)’である。役割や形状が‘クーブリック宇宙’から一つずつズレたような‘ノーラン宇宙’は、‘Give me your answer do.’というクーブリックの問いに対して、ノーランが‘Rage against the dying of the light.’(死に絶えゆく光に向かって 憤怒せよ 憤怒せよ/ディラン・トマス “Do not go gentle into that good night”/鈴木洋美:訳)と答えた物語…“2014年憤怒の旅”なのである。
 
 2014年憤怒の旅 (7) 2014年憤怒の旅 (8)
あぁ怒るよ。ナニが《この冬、忘れていた“あの驚きと感動”が再び!》(『映画.com』 総力特集 第1弾)だ! 《あの驚きと感動》を《忘れていた》ような連中が、‘ブロックバスター映画’を語る資格は無い。そして、『インターステラー』は、その体裁がブロックバスター映画なのであって、その中身は“2014年憤怒の旅”である、それ以上でもそれ以下でもない作品だ。『インターステラー』は滅亡するために、生まれたわけではない。必ず、帰ってくる。どこへ?
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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