五十食百食

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2014年11月01日 23時30分]
映画『コックと泥棒、その妻と愛人』(1989年)において、泥棒兼レストラン経営者の夫に愛人を殺された妻のジョージナ(ヘレン・ミレン:演)は、コックに愛人の死体丸焼き料理を作らせて、それを夫に食べさせた直後に撃ち殺して復讐を遂げた。…ジョージナは、料理人を操って欲望を満たす快感が忘れられなくなり、マロリーと名を変えて自らレストランの経営に乗り出していたのだろうか?…食欲と性欲と名誉欲にまみれた話の続編?
 五十食百食 (1) 五十食百食 (2)
 
『マダム・マロリーと魔法のスパイス』(The Hundred-Foot Journey) 観賞後記
 
 五十食百食 (3) 五十食百食 (4)
 
 《それは『バベットの晩餐会』(ガブリエル・アクセル監督、一九八七年)や『パリ
  のレストラン』(ローラン・ベネギ監督、一九九五年)のように、宴会や料理を舞
  台にして、豪華な料理作りと食事に過程をパラレルに描く劇映画の系譜であ
  る。 (略)この手の映画では、現代版「パリの胃袋」ともいうべきジュリアン・デュ
  ヴィヴィエの佳作『殺意の瞬間』(一九五五年)、エルマンノ・オルミの『偽りの
  晩餐』(一九八七年)、エットーレ・スコラの『星降る夜のリストランテ』(一九九
  八年)といった例を数えることができるが、名手スコラとは思えぬほど凡庸な
  『星降る夜のリストランテ』が典型的にしめすように、こうした映画の大半で、
  〈食〉は、滋味あふれる人生だの人間的な陰翳にみちた物語だのを描きだす
  ための口実や飾りにすぎない。『バベットの晩餐会』や『パリのレストラン』もそ
  の例に洩れない凡作である。》 (中条省平 「映画の中の〈食〉」/『國文學』
  7月臨時増刊号 古典文学から現代文学まで「食」の文化誌/學燈社/2003年)
 
岸恵子と同い年であるステファーヌ・オードランが頑張っていた(?)《『バベットの晩餐会』や『パリのレストラン』もその例に洩れない凡作である》とするならば、柄本明と同い年であるジャン・レノが頑張っていた『シェフと素顔と、おいしい時間』や『シェフ! ~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~』も凡作であろうし、吉永小百合と同い年であるヘレン・ミレンが『コックと泥棒、その妻と愛人』や『マダム・マロリーと魔法のスパイス』で頑張っても、やはり凡作ということになるのだろう。ゲッ! フランス系の‘食’映画や‘料理’映画は、全て凡作なのか?…だが、私が観たところでは、ヘレン・ミレンがマロリーを演じていた『マダム・マロリーと魔法のスパイス』は、吉永小百合の‘珈琲’映画『ふしぎな岬の物語』ほどに駄作ではない。例えば、岡まゆみと同い年であるカトリーヌ・フロが頑張っていた『大統領の料理人』と同じくらいには、まぁ傑作とまでは言えないがケッコウ面白いと思う。やはり、映画の世界では、ジョージナとマロリーは同一人物で、だから頑張れたのかも…
 五十食百食 (5)
 
ディズニー映画は、アニメーションの場合に《思考力を低下させる危険な何かがある》ので極力観ないことにしているが、近来はスティーブン・スピルバーグが製作となると実写映画でもかなり危ない。しかし、今般の『マダム・マロリーと魔法のスパイス』は、あの佳作『砂漠でサーモン・フィッシング』を作ったラッセ・ハルストレムが監督しているので、低能ではあるが危険性は減った。但し、回りくどさと乱暴さが同居すること、我慢を要する。
 五十食百食 (6)
 
『マダム・マロリーと魔法のスパイス』の原題(The Hundred-Foot Journey)は、《南フランスの名門レストランvs.インド料理店》の距離と関係性を示している。しかしながら、この「百歩の旅」という意味合いは、私の心を動かさない。相手がインド料理店ではなくて、中華料理だろうがベトナム料理だろうがメキシコ料理だろうが、まあ「五十歩百歩」だろう。いや、世界初の‘食’映画である『赤ん坊の食事』(Repas de Bébé)が、リュミエール兄弟による世界で初の映画有料公開(1895年12月28日)の中で上映された際、その場所がパリのグラン・カフェ地階の「インドの間」(サロン・インディア)だったこと、この辺りを絡めて、だから‘フランス対インド’と言ってもらえれば、まだしも面白味はあるが…。まあ、『マダム・マロリーと魔法のスパイス』の「百歩の旅」は「五十歩百歩」、いや先般に、一日八万食から三十万食を出す食堂のドキュメンタリー映画『聖者たちの食卓』を観た私には、高級フランス料理だろうが、向かいのインド料理だろうが、「五十食百食」という感じ。
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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