コーヒー屋X

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2014 [2014年10月30日 23時30分]
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   コーヒー屋X
「Direct Fire Roast 環(たまき)」は、空疎な‘波’(ウェイブ)に乗ろうとして藻掻(もが)いたり足掻(あが)いたりしている巷のコーヒー屋とは異なる。「環」とは、その名の通りに、コーヒーの深遠な世界に想いを環(めぐ)らせ続ける人たちの‘環(わ)’(サイクル)だろう。
 
「環」のコーヒーは、直火式焙煎機による過熱水蒸気焙煎を特徴としている。この過熱水蒸気という気体は、被加工物であるコーヒー豆に対して、‘膜状凝縮’と‘乾燥逆転’という、いずれも熱伝達(伝熱)の効率を高める性質がある。但し、コーヒーを焙煎する際の過熱水蒸気の利用実態では、焼き上げるコーヒー豆の香りや味わいを良くも悪くもする、つまり諸刃の剣となる。ましてや、焙煎空間が閉鎖系に近い熱風式焙煎と異なり、ほぼ開放系といえる直火式焙煎機の焙煎空間で過熱水蒸気の好ましい特性だけを作用させることは、非常に難しい。過熱水蒸気が加わった‘雰囲気’では、熱伝達を高めること以外に‘低酸素’化による作用もあろうと私は推量するが、この点においても実際に効果を好ましい方向へだけ作用させることは、簡単ではない。いずれにしても、過熱水蒸気焙煎がコーヒー豆の香味にどう作用するのか、その機序の詳細は私にはわからない。だが、通常の焙煎とは異なるポテンシャリティがあることは、「環」のコーヒーを試飲して改めて理解できた。少なくとも、「環」のコーヒーには、「環」でしか生み出せない香味の特性がある。
 
「環」のコーヒーの初弾‘インドネシアセット’は、いずれもスマトラ島で栽培された2種類、「ブルーバタック・マンデリン」と「ティム・ティム」より成る。これが、並のコーヒーではない。「ブルーバタック」という豆は、巷間で‘クリーン’などと言われるが、その多くはマンデリン特有の力強い苦味やコクが失われているからで、私には飲み応えのないところを隠した言い訳に聞こえる。だが、「環」の「ブルーバタック」は違う。舌にベットリと感じる泥っぽい味わいではないが、重厚感のある‘マンデリンらしさ’は明瞭に感じられて、飲み応えアリ。もう一つの「ティム・ティム」という豆は、巷間で‘複雑’などと言われるが、その多くは苦味も酸味も滑らかさも中途半端にしか現れないからで、私には苦しまぎれな言い訳に聞こえる。だが、「環」の「ティム・ティム」は違う。完熟したアップルマンゴーが放つような甘い香りと、はっきりと‘マンデリンではない’、いや、インドネシアとも思えない清涼な味わいに驚かされる。「環」の「ブルーバタック」と「ティム・ティム」は、私の好みの焙煎よりは浅いが、この酸味をありありと打ち出した焙煎の度合いで、片方を‘マンデリンらしく’、他方を‘マンデリンではない’味に仕上げた、技量に恐れ入る。このセットは他で味わえない。
 
渋味を嫌い、エグ味を嫌い、舌残りを嫌い、緻密に香味を引き出すプロデューサーのセンスと、叩き上げの焙煎人が操る直火式の過熱水蒸気焙煎だけが、コーヒー屋の武器だ。「Direct Fire Roast 環(たまき)」。またの名を、‘コーヒー屋X’…「私、失敗しないので」
  
   ※これは個人の感想ですが、この話はノンフィクションであり、登場する団体、香味等は全て事実です。
 
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コメント

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y_tambe URL [2014年10月31日 08時27分] [編集]

>>直火式焙煎機による過熱水蒸気焙煎

どのような機構で発生させていますか?
過熱水蒸気の温度と量について、既存の焙煎方法との比較がなければ、考察は不能であり擬似科学に陥ります。

to:y_tambeさん
帰山人 URL [2014年10月31日 23時16分]

や、来たな(笑)。だから「広告」だっつーの。野暮だねぇ(好意で言っている)。
機構ね。ほぼ特許のママ↓
http://www.j-tokkyo.com/2004/A23N/JP2004-041170.shtml
発生装置から管で引いた蒸気(実際は霧状の湯気と飽和水蒸気の混合物か?)をバーナーと釜の間に送って、バーナーの火力で加熱されて過熱水蒸気となって焙煎空間に届く…っていうリクツ。つまり、補助的に水蒸気比率が増した空気塊で焼いている(に過ぎないと言わなきゃ‘正確’じゃないってか?)。
数値的検証は不能だけれど、考察は可能だろう。ちなみに、「疑似科学でも(焙煎工程に有効ならば)僕はかまわない」(焙煎当事者談)、「疑似科学じゃ困るんだけど、少なくとも、装置を作動させた時とさせない時では焙煎豆の香味に違いを感得する」(帰山人見解)。

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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
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