いとお菓子

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2014 [2014年10月18日 01時00分]
コーヒーの世界を拡げ味わいたければ、「オモシロオカシイ」お菓子にも目を向けるべき?
 
 いとお菓子 (1)
『料理通信』2014年9月号(料理通信社:刊/2014年8月6日)の特集は、「コーヒーとスイーツ」。2013年2月号以来の第2弾は、《“焙く”と“焼く”を探求する》…相も変わらず‘コーヒー’と‘スイーツ’が繋がっていない。煮ても焼いても食えない…焼きが回ったか?
 
 いとお菓子 (2)
『珈琲時間』2014年11月号(大誠社:刊/2014年9月26日)の特集は、「コーヒーとスイーツ」。《「コーヒーとスイーツのベストなペアリングを探るには3つの要素が関わってきます。ひとつ目はフードペアリングの基本、フレーバーを合わせること。ふたつ目は味の方向を合わせること。3つ目は質感を合わせること。個人的には3つ目がペアリングの可能性を広げる大事な要素だと思っています」》(梅澤秀一郎氏:談 「コーヒーとスイーツのおいしい関係」)…わかるようでわからない。理論構築が弱い。話の質感が失陥している。
 
 《お菓子というのは、ファッションや社交儀礼とおなじように、その土地の文化の
  精華のひとつです。それが精華になりえたのは、生きるために不可欠な食べ
  物ではないから、社会関係や文化の潤滑油・調整の道具として、余分なもの
  として付け加わったからです。だからお菓子は、地位や権力だけでなく、遊び
  やしゃれっ気とも結びつくのです。(略)だから、甘いもの、そしてお菓子は、さ
  しあたり、政治的・経済的な支配ではなく、文化的な支配の力関係のなかに
  取り込まれることになりました。文化的な価値であるがゆえに、人々は甘いも
  のに夢中になるのです。そのことをまず押さえておきましょう。(略)そしてこの
  「余分なもの」を、いかに丹精込めてつくりあげ大切にするかが、文化の質を
  測るひとつの基準となるのではないでしょうか。しかも驚くべきことに、歴史を
  遡ってみると、洗練されたお菓子たちは、いつでも文明の伝播ルートを忠実に
  伝って、文明度の高いところから低いところへ、東から西へ、西から東へと、
  各地に甘い夢を運んできたのです。》 (池上俊一:著 『お菓子でたどるフラン
  ス史』 岩波ジュニア新書/岩波書店:刊/2013年)
 
 いとお菓子 (3)
『「カフェ・バッハ」のコーヒーとお菓子』(田口文子・田口護:著/世界文化社:刊/2014年10月3日)は、「カフェ・バッハ」で出されるコーヒーや菓子と同じように、その店の文化の精華のひとつである。この本で示された菓子の「基本テクニックと63レシピ」、それが精華になり得たのは、‘カフェを100年、続けるために’余分なものではないから、社会関係や文化の潤滑油・調整の道具として、「カフェ・バッハ」に不可欠なものとして付け加わったからである。「カフェ・バッハ」の菓子は、文化的な価値であるがゆえに、人々は洗練された菓子に夢中になり、私たちに甘い夢を運ぶ。そのことを、まず押さえておきたい。
 
『「カフェ・バッハ」のコーヒーとお菓子』が説く《コーヒーとお菓子の相性》、その《合わせ方の基本は以下の3通り》で、《1:共通の味や香り、強さで合わせる 2:お菓子にない要素を持つコーヒーを合わせる 3:色のトーンを合わせる》…とてもわかりやすい。理論構築がしっかりしている。そもそも、‘ペアリング’などとわかるようでわからない浮薄な言辞を弄することがない。そこは、‘相性’であり‘合わせ方’である。きわめて堅実である。だからといって、遊びや洒落っ気に欠けているわけではない。例えば、パン・デピスだ。《パン・デピスは、中国からアラブ世界を経由して、ヨーロッパに伝わったといわれています。もともと小麦粉と蜂蜜をこねて作られていましたが、徐々に小麦はライ麦にかわり、また香辛料(ナツメグ、シナモン、ショウガ、コショウ、クローヴなど)が加えられるようになりました》(池上俊一:前掲書)…これが「カフェ・バッハ」のレシピでは、スパイスに「パルプ・ド・コーヒー」(コーヒーの果肉を乾燥させたもの。カスカラ)が加えられている。オモシロオカシイ。堅実だが遊びがある、洒落っ気だが下卑てない…ママ、田口文子氏という存在そのもの。
 
 春は、シブースト。やうやうおいしくなりゆく食べぎは、少し焦がして、冷やしたる
 苦味の細くたなびきたる。
 夏は、ババ。暑きころはさらなり。ラムもなほ。トマトのソース添へ合はせたる。
 また、杏キルシュなど、ほのかに味わひ行くも、お菓子。雨など降るも、お菓子。
 秋は、アップルパイ。りんごを割りて、パイの端いと近うなりたるに、ナッツの置
 きどころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、食べ急ぐさへあはれなり。まいて、
 シナモンの混ぜたるがいと芳ばしく匂ふは、いとお菓子。火入り果てて、りんご
 の酸、バターのコクなど、はたいふべきにあらず。
 冬は、シュトレン。粉糖の降りたるはいふべきにもあらず。バニラシュガーのい
 と白きも、またさらでも、いと甘きに、干し果実など秋よりおこして、洋酒漬け込
 むも、いとつきづきし。冬になりて、バターしみてゆけば、まぶした糖も、白き灰
 がちになりて、よろし。
 
コーヒーの世界を拡げ味わいたければ、「オモシロオカシイ」お菓子の文化…いとお菓子。
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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