ふしぎな物語

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2014年10月13日 23時30分]
映画の舞台は、とある半島の岬にある海に面したコーヒー店。都会から離れた地に移り、店を開いた女主人、そこに集う人々…皆がそれぞれに悩み泣き苦しみ、お互いに励まし支えあって笑う。実在する店をモデルとした物語から、コーヒーの芳ばしい香りが漂うか?
 ふしぎな物語 (1) ふしぎな物語 (2)
キャストは、永作博美と佐々木希、いや、吉永小百合と竹内結子…ん? ああ、能登半島の「二三味珈琲 shop舟小屋」(仙北屋葉子)をモデルとして先(2013年9~10月)に撮っていた『さいはてにて やさしい香りと待ちながら』よりも、房総半島の「音楽と珈琲の店 岬」(玉木節子)をモデルとして後(2014年2~3月)で撮った『ふしぎな岬の物語』を先に公開するワケか。で、配給はどっちも東映、焙煎機はどっちも富士珈機だとサ(笑)。
 
『ふしぎな岬の物語』 観賞後記
 
 ふしぎな物語 (3)
主演の吉永小百合と監督の成島出が共同で企画した映画『ふしぎな岬の物語』は、原作『虹の岬の喫茶店』(森沢明夫:著/幻冬舎:刊/2011年6月/2013年11月文庫化)とは‘味わい’が全く異なる。…もうね、原作の小説にある‘躍動感’とか‘爽快感’とかが、映画化作品には全く感じられないワケ。コタロー(事故で右前脚を失くした白い犬)も、イマケン(物書きになりたい学生ライダー)も、映画には登場しない。ロックバンドの「セブンシーズ」なんて、映画では岬村青年団フォーク愛好会を名乗る「ブラザーズ5」になってしまった(?)。逆に映画で増えているのは、漁師や教師や医者や僧侶や牧師…死に損ないのジジイばかりヨ。漁師(笹野高史:演)が劇中で死んで、医者を演じた米倉斉加年は現実で死んだ(2014年8月26日没)。‘ロッケンロール’も‘月の土地’も‘天体望遠鏡’も消えてしまった。では、‘躍動感’や‘爽快感’を喪失した映画『ふしぎな岬の物語』には、代わりに何があるのか?…それは、‘吉永小百合’と‘吉永小百合’と‘吉永小百合’だ!
 
 《吉永の指導にあたったマメーズ焙煎工房の岡田雅行氏も登場し、手順や淹れ
  るポイントを解説しながら、本作オリジナルドリップコーヒー「岬ブレンド」のお
  手前を披露。吉永のお手前に対しては「どの喫茶店でも出せる腕前」と太鼓
  判を押した。》 (映画『ふしぎな岬の物語』公開記念イベント:2014年9月30
  日:ホテルニューオータニ大阪/Kiss PRESS:2014年10月2日付)
 ふしぎな物語 (4) ふしぎな物語 (5)
吉永小百合が『ふしぎな岬の物語』で見せるネルドリップのお点前は、‘酷い’の一言に尽きる。…もうね、初めに湯を粉の上に置く時点で‘慎重’ではなくて‘躊躇’が見えるワケ。明らかに粉の上面しか意識していない、ネル全体の透過状態を想像できていない注湯である。アレを(リップサービスではなくて)もしも本当に、《「どの喫茶店でも出せる腕前」と太鼓判を押した》のであれば、岡田雅行氏は即刻コーヒー屋を廃業すべきだナ。
 
最悪だったのは、原作の『虹の岬の喫茶店』で一番大事なセリフ「ハッピーのどきどき」を、「だいじょうぶ」へすり替えてしまったクソババアの‘吉永小百合’だ! コレで全てぶち壊し。原作の文庫版「解説」で高橋敏夫は、《…森沢明夫の作品は、さしずめ「カジュアル・エンターテインメント」か。(略)かくして、「ふつうのみんながつくり、つながるお店」小説という、カジュアル・エンターテインメントの新しいジャンルの生成に、『虹の岬の喫茶店』の読者はたちあうことになった》、と言っている。だが、今般の映画は、カジュアルな‘躍動感’もエンターテインメントな‘爽快感’もない。あるのは、何らの根拠もなく「だいじょうぶ」などと生き汚い見苦しさを押しつける‘吉永小百合’の演(や)り汚さだけだ。どうすれば、こんな酷い仕立てに改変できるのか…不思議な物語だ。あっ! だから『ふしぎな岬の物語』か! その「ふしぎな物語」のコーヒー映画から、コーヒーの芳ばしい香りが漂うか? 無理だね。
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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