逆刃刀で峰打ち

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2014年09月15日 23時30分]
監督がまた吐(ぬ)かす…《偶然性とかそういうものが好き。俺の意思が入ったものなん
てなぁ、大体ニセモンだと思っているんで。どうやって俺の意思を除いていくか、ってこと
すら思っているんですよね。それぞれの意思が働いていった先に、何か自然と到着する
もんがあるんですよ》(テレビ東京『Crossroad(クロスロード)』2014年7月19日放送)。
おろ?愚か者!…「剣は凶器、剣術は殺人術、剣劇(チャンバラ)はごっこ、どんな意思
を入れようと除こうと、全てはニセモン、それが真実」ってコトを、大友啓史は解ってない。
 逆刃刀で峰打ち (0) 逆刃刀で峰打ち (1)
 
『るろうに剣心 京都大火編』 『るろうに剣心 伝説の最期編』 観賞後記
 
前作は、《キッチリと説く技量もない阿呆なエセ職人が作っている、奇跡の佳作》の剣劇
(チャンバラ)‘ごっこ’だったが、今般の「京都大火編」と「伝説の最期編」は‘ごっこ’に
すらなっていない、慢心で「過ぎたるは猶及ばざるが如し」というべき失敗の駄作である。
 
 《黒澤明は『七人の侍』の満腹感を「ビフテキの上にバターを塗ってウナギの蒲焼を
  乗せた」と喩えた。ビフテキ=ハリウッド的な醍醐味、ウナギ=時代劇の精神。強
  烈な香港アクションをも盛り込んだ本2部作は、大友啓史が「ビフテキ×ウナギに
  フカヒレまで乗せた」特製料理だ!》
  (清水節/映画『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』Webサイト コメント)
 
 《黒澤明監督は名作『七人の侍』(54)について「ステーキの上にうなぎのかば焼きを
  乗せ、カレーをぶち込んだような、観客がもう勘弁、腹いっぱいという映画を作ろう
  と思った」と語ったが、本作の大友啓史監督もそれに倣って「ステーキにトリュフを
  乗せて、その上にふかひれスープを掛けたような映画にしたかった」と語っている。》
  (田中雄二/『TVfanWeb(テレビファン・ウェブ)』 映画コラム/2014年8月5日)
 
じゃあ、ビフテキにトリュフを添えて、その上にウナギの蒲焼きを乗せて、さらにカレーと
フカヒレスープを掛けて、食ってみろ!舌バカな監督が作り、舌バカな評論家がヨイショ
する映画…うぅ、吐き戻しそう、気持ちが悪いゼ。「春は夜桜 夏には星 秋には満月 冬
には雪 それで十分酒は美味い」(新津覚之進)ってコトを、今般の映画は解けていない。
 
 逆刃刀で峰打ち (2)
「京都大火編」では、ジジイダンサーの田中泯(役:柏崎念至)が好い。以前に山梨県白
州で田中泯の舞踊を観たが、あれから30年近く経ってもまだ動いている、スゴイジジイ。
「伝説の最期編」では、キモタコ俳優の藤原竜也(役:志々雄真実)が好い。暑苦しい藤
原竜也が熱苦しいCCOを演じ、一対多数の戦いは飛天御剣流を超え‘真実’であった。
だが、好いのはそこまで。前作を「マリオブラザーズ」とするならば、今般のは「大乱闘ス
マッシュブラザーズ」みたいなモノ。オールスター登場、ゲームで好くても映画じゃマズイ。
 逆刃刀で峰打ち (3)
 
「伝説の最期編」の最後に爽快感がないのはナゼ?それは「生きようとする意志」(?)
で志々雄一派を撃破した緋村剣心(佐藤健:演)たちに対して、もろともに殺そうとした
内務卿の伊藤博文(小澤征悦:演)が「サムライに敬礼!」などと芝居をさせてスベッた
からか?…違うね。この物語自体に「あってもいいはずのものがない」からなのである。

 《戊辰戦争は南北戦争とほぼ同時期にわが国で戦われた「内戦」です。南北戦争の
  場合は「あり」なのに、なぜ日本における南北戦争である戊辰戦争の敗者たちが明
  治政府に対抗して「北部政権」の旗を立て続けたということが「ありえない」とされる
  のか。その理由を誰か説得力のある論拠で証明できるでしょうか。(略)人間は「な
  いはずのものがある」時には敏感に反応しますが、「あってもいいはずのものがな
  い」ことには気づきません。僕は「歴史的知性」というのは「あってもいいはずのもの
  がない、起きてもいいはずのことが起きていない」ということにひっかかる感受性を
  要件とすると考えています。》
  (内田樹 「文庫版あとがき」 2014年5月/『呪いの時代』 新潮文庫版)
 
『るろうに剣心』に「あってもいいはずのもの」とは何か?…それは、‘流浪’と‘逡巡’で
ある。今般の「京都大火編」と「伝説の最期編」には、それらが欠けている。‘流浪’しな
い剣心がいかに活躍しても、白白しいだけだ。戊辰戦争を「ありえない」とする時代の呪
縛に対して、「生きようとする意志」とかいう耳当たりが良いだけの掛け声でその‘逡巡’
から逃れることも、いけ図図しい。だから最後が、いや最後までスッキリしないのである。
「歴史的知性」に欠けた大友啓史監督が作ったから?…逆刃刀で峰打ちじゃ!おろ?
 
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コメント

No title
ナカガワ URL [2014年09月16日 14時56分]

くまもん剣心は自作ですか。すいません、いつも変なことばかりきいて。
今回も見送り。原作もこのあたりのエピソードは飽きてしまいましたし、とても前後編なんて長尺はついていけませんし。

to:ナカガワさん
帰山人 URL [2014年09月16日 17時46分]

くまモン画像は、「着用している衣装は、草履までフルオーダーした特注品。採寸や仮縫い、フィッティングと、スタッフが何度もくまモンのもとを訪れ、制作期間約3カ月、制作費30万円をかけて作られた」(?)と言われている今春のエイプリルフールにちなんだ公式企画のものです。つまり、公開前からニセモンだったワケで、見送り自由です。

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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