あばらかベッソン

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2014年08月30日 23時30分]
映画『リミットレス』(Limitless)によれば、《普通の人間は脳の20%しか使っていない》…映画『ルーシー』(Lucy)によれば、《人類の脳は10%しか機能していない》…ん、どっち? 『リミットレス』の‘NZT48’、『ルーシー』の‘CPH4’、共に脳を100%フルに使える強力「スマートドラッグ」である…例えば、どちらもスグに中国語を習得できたし…ん、ビミョー?
 あばらかベッソン (1)
 
『LUCY/ルーシー』(Lucy) 観賞後記
 
リュック・ベッソンといえば、監督した作品『ニキータ』・『レオン』・『フィフス・エレメント』など、アンヌ・パリローやマイウェン(・ル・ベスコ/ウィンウィン)やミラ・ヨヴォヴィッチ…出演する女優と次々に‘あばらかべっそん’という具合で、なんともはや‘べけんや’な映画人である。 今般の『ルーシー』は、スカヨハ(スカーレット・ジョハンソン)と‘あばらかべっそん’なのか?
 あばらかベッソン (2)
 
序盤は『レオン』で中盤は『インセプション』で終盤は『2001年宇宙の旅』…どころか、他に『アルタード・ステーツ/未知への挑戦』と『マトリックス』と『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』も加えておいて、しかし、SF映画としては《10%しか機能していない》ようにワザと作った、その代わりに毎度お馴染みのカーチェイスとバイオレンスは残して混ぜ…映画『ルーシー』は、「リミットレス」(無限)に「トランセンデンス」(超越)した奇作で怪作な傑作である。リュック・ベッソン監督の《脳は10%しか機能していない》、いや‘本質’では7%未満しか機能していないハズなのに、「ルーシーはルーシーに生まれるのではない、ルーシーになるのだ」という‘実存’論の核心を説いた‘べけんや’な映画が生み出された。
 あばらかベッソン (3)
 
 《つまり、SFとは原則として、疑似科学的予測に基く、未来の可能性の物語であ
  る。という事は、そのドラマの時代において、それが遠い未来であればあるほ
  ど、作者と読者もしくは観客は、自らの確実な死と対面せねばならないはずで
  ある。SFとは即ち、本来的にそういった“時”を、意識無意識を問わず内包した、
  そんなフィクションだった訳なのだ。 (略)そして、あの時代、即ち猿人から宇
  宙人に至る、その間の長い長い、しかし宇宙的に見ればきわめて短い人間た
  ちの“時間”に、スタンリー・クーブリックは実にさしたる進化を認めはしなかっ
  たのだという事実に、あらためて気付いてしまうのだ。これはつまり、『2001
  年宇宙の旅』でいえば選ばれて宇宙空間にありながら、TV電話で娘の誕生を
  いわい、対立国の科学者との会話に口ごもり、はては機密保持のみにこだわ
  り、つまりはいってみれば“無意味”のシークエンスに登場した結果、例の黒
  石板(モノリス)にあっさりと“拒絶”された、ヘイウッド・フロイド博士(ウィリアム・
  シルヴェスター)たちのドラマ、というか世界だったのだ。そこはつまりは、いつ
  でものぞましくはなく、さりとていまわしくもない、そんな世界のある時代である。》
  (石上三登志 「ザ・タイム・マスター/SF作家スタンリー・クーブリック」/『ザ・
  スタンリー・キューブリック』 キネマ旬報社 1981年/『SF映画の冒険』 新潮
  文庫 1986年 に収載)
 あばらかベッソン (4)
 
これはつまり、『ルーシー』でいえば、偶然にも‘CPH4’に侵されながら、母親と電話で昔話を語り、‘まだ不完全だけど考え方は合っている’科学者との会話に口ごもり、はては刑事を連れ回すことにこだわり、つまりはいってみれば‘本質’的に“無意味”なシークエンスを並べた結果、猿人(ルーシー)から超人(ルーシー)に至る宇宙的に見ればきわめて短い“時間”のドラマ、というか世界だったのだ。そこはつまりは、自らの確実な死と対面せねばならない“時”を意識無意識を問わず内包した、いつでものぞましくもなく、そしていまわしくもある、そんな世界のある時代の‘べけんや’なフィクションだったワケなのだ。 『ルーシー』は、作った監督が‘リュック・あばらか・ベッソン’へと変態を遂げた映画である。
 
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コメント

No title
ナカガワ URL [2014年09月05日 11時41分]

ロジェ・バディムみたいな人なのかしら。バーバレッレア。

to:ナカガワさん
帰山人 URL [2014年09月06日 00時30分]

さぁ、ヴァディムの場合は歴代のお相手同士や異母の子らが耽美に仲良しなようだけど、あばらか氏の場合は…やはり野蛮な関係なんじゃあないか…と。キス・オブ・ザ・ドラゴンあたりで、バーバレラの姪まで‘あばらか’だったりして…

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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
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