踊るマハラジャ

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2014年07月27日 06時30分]
「あのゴジラが最後の一匹とは思えない。もし、水爆実験が続けて行われるとしたら、あのゴジラの同類が、また世界のどこかに現れてくるかもしれない」(by山根恭平)……そして、その同類は現れた。本多猪四郎の死後21年が過ぎ、レイ・ハリーハウゼンが昨年5月に死んで445日後、2014年7月25日に、その‘Kaiju’(怪獣)は太平洋から現れてきた…
 踊るマハラジャ (1)
 
『GODZILLA ゴジラ』(Godzilla) 観賞後記
 
《1954年の誕生から60年。日本が世界に誇る“キング・オブ・モンスター”「ゴジラ」が、ハリウッドの超一流スタッフ・キャストによって現代によみがえる》(『GODZILLA ゴジラ』Webサイト/イントロダクション)というので、観た…酷いリブートである。何だコリャ?…そうか! 《もう何をしても手遅れだ》(予告編)という‘最高の恐怖 極限の絶望’とは、そういうことか。
 
 《エドワーズ監督は2010年、脚本、撮影も兼ねた「モンスターズ 地球外生命
  体」で監督デビュー。(略)「…前作が田舎のサッカーの試合だとしたら、ゴジ
  ラはW杯の決勝戦ほどの違いがあるからね」 (略)だが、やはりゴジラの生地
  である日本で認められなければ心が落ち着くことはない。「PK戦で、最後に
  自分が蹴って(入れば)決まるという心境だよ」》 (インタビュー 取材・文:鈴木
  元/『映画.com』 2014年7月16日)
 
 《危機には「リスク」と「デインジャー」の2種類がある。(略)喩えて言えば、W杯
  のファイナルを戦っているときに、残り時間1分で、1点のビハインドというの
  は「リスク」である。(略)一方、試合の最中に、ゴジラが襲ってきてスタジアム
  を踏みつぶすというのは「デインジャー」である。対処法は「サッカー必勝法」
  のどこにも書かれていない。(略)でも、いちばん生き延びる確率が高いのは、
  「今日はなんだかスタジアムに行くと『厭なこと』が起こりそうな気がするから
  行かない」と言って、予定をキャンセルして、家でふとんをかぶっていた人間
  である。》 (内田樹 「弁慶のデインジャー対応について」/『呪いの時代』/
  新潮社:刊)
 
「今日はなんだか映画館に行くと『厭なもの』を観そうな気がするから行かない」と言って家でふとんをかぶって…いなかった私は、‘最高の恐怖 極限の絶望’を味わうハメに陥った。1954年版の「ゴジラ」は水爆実験で呼び覚ました人災の‘デインジャー’であり、2014年版の「ゴジラ」は水爆攻撃でも死なない天災の‘リスク’である。ギャレス・エドワーズ監督が《W杯の決勝戦》と位置づけた今般の『GODZILLA ゴジラ』は、《残り時間1分で、1点のビハインドという》程度の‘リスク’なのである。《「人間がごう慢なのは、自然は人間の支配下にあり、その逆ではないと考えている点だ」-芹沢博士》(『GODZILLA ゴジラ』Webサイト/プロダクションノート)という捉え方が、二重に誤っているのであり、ココが駄作の元凶だ。
 踊るマハラジャ (2) 踊るマハラジャ (3)
《「これは怪獣映画でもモンスター映画でもない。ゴジラ映画だ」byギャレス・エドワーズ監督》(『GODZILLA ゴジラ』Webサイト/イントロダクション)…違うね。『パシフィック・リム』のギレルモ・デル・トロ監督は、《「怪獣は自然界や異星からやって来た様々なものを象徴する存在。僕にとってはある種の“言語”とさえ言える…」》(インタビュー 取材・文:黒豆直樹/『映画.com』 2013年7月22日)と言っていた…正しいね。だから、『GODZILLA ゴジラ』は『パシフィック・リム』の足下にも及ばない。もっとも、家族を守るのか軍務を全うするのかさえハッキリしない頭の悪いアメリカ兵が燥ぐだけの話とすれば、確かに《これは怪獣映画でもモンスター映画でもない》といえる。しかし、この映画の真の主は「MUTO」である。「ゴジラ」が怪獣の‘キング’であるならば、「MUTO」は怪獣の‘マハラジャ’と呼ぶべきか? これは怪獣映画であり、モンスター映画であり、ムートー映画であり、ゴジラ映画ではない。今般の映画に正しくあるべき題名は、『ムートー 踊るマハラジャ』であろう…改題を求む。
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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