懲り懲り懲り3

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2014 [2014年05月05日 01時00分]
《扉の開く音がした》…「広島本大賞」・「静岡書店大賞」・「Osaka Book One Project」を真似、先行する「京都水無月大賞」とは別に生み出された「京都本大賞」、その第1回大賞に選ばれた『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』(岡崎琢磨:著/宝島社:刊)。続く『珈琲店タレーランの事件簿2 彼女はカフェオレの夢を見る』(岡崎琢磨:著/宝島社:刊)で‘120万部突破’のシリーズ、最新刊が登場した。『珈琲店タレーランの事件簿3 心を乱すブレンドは』(岡崎琢磨:著/宝島社:刊)である。
 懲り懲り懲り3 (1)
 
《おもしろくない話があるんです》…新刊『珈琲店タレーランの事件簿3』(以下:第3巻)は、《土曜日は会場設営とリハーサルにあてられ、日曜日と月曜日の二日間が大会の期日》(p.26)という「第五回関西バリスタコンペティション(KBC)」を舞台に話が進む。この《文化の日と重なって三連休になっている》(同p)年は、2013年を指していると推定できる(同条件の直前例は2002年、直後例は2019年しかない)。この推定からシリーズ3巻の事象を整理しながら読み解くと…どうもおもしろくない。2013年の《一〇月を迎えたばかり》(p.14)の大会約1ヵ月前に、《昨年末や今年の夏などいくつかの〈事件〉をともにし》(p.16)と主人公は振り返る。だが、第1巻で胡内波和のストーカー事件を返り討ちにしたのは2012年のクリスマスイブだから《昨年末》としても、第2巻での深水栄嗣による誘拐事件は2013年の9月であり、《今年の夏》どころか「つい先月」…《全然違うと思います》。
 懲り懲り懲り3 (2)
 
他称《ばりのすたこ》(第1巻p.126)で自称《ハナコ》(第2巻p.63)を騙る切間美星は、珈琲店タレーランでアルバイトを始めた2008年、胡内波和に襲われたショックでジアゼパムなど大量の精神安定剤を服用しつつ、第1回KBC優勝者の千家諒のカフェを訪ねて教えを乞い、翌2009年より自らもKBCに挑んで3回連続で予選落ちした。他方、通称「アオヤマ」を騙る青野大和は、2009年に調理師学校のバリスタ養成コースで学んで、翌2010年よりロックオン・カフェにバリスタとして勤めている。驚くべきは、ドリップコーヒーを得意としておきながら、病んでも尚「バリスタ」の称号と大会に執着する切間美星。笑うべきは、バリスタとしての養成と実践を積んでおきながら、バリスタの大会や参加者に酷く関心の薄い青野大和。無駄に勝気の勘違い女と、無能で萎縮のヘタレ男との、探偵ごっこの不自然さが、第3巻で噴出し…《話が違うなんて、話が違うじゃありませんか》。
 懲り懲り懲り3 (3)
 
《その栄光にこびりつき、彼女の心に混入したのは、どんな感情だったのだろう》(p.339)…前2巻でネタが尽きたか、第3巻の登場人物たちの名前は、コーヒーそのものでなく、Saeco(黛冴子)・Ascaso(山村あすか)・La Marzocco(丸底芳人)といった道具立て。『珈琲店タレーランの事件簿』シリーズの著者が、その栄光にこびりつき、彼の心に混入したのは、どんな感情だったのだろう…コーヒーを挽く音、また「懲り懲り懲り」と聞こえる。
 
コメント (0) /  トラックバック (0)

コメント

この記事にコメントする

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://kisanjin.blog73.fc2.com/tb.php/682-6a6baad9
編集

kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

05 ≪│2017/06│≫ 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
Powered by / © Copyright 帰山人の珈琲漫考 all rights reserved. / Template by IkemenHaizin