ゴハンダヨー

ジャンル:学問・文化・芸術 / テーマ:art・芸術・美術 / カテゴリ:観の記:美面 [2014年03月29日 23時30分]
「ごはんだよ!」である。「ごはんですよ!」では桃屋の海苔浅炊き佃煮に、「ゴハンダヨー」では某ねんどろいど着ぐるみに、いずれも間違えられてしまうので、「ごはんだよ!」である。
 《「ア・ターブル(à table)!」とは、「ごはんだよ!」と、食事の準備ができたこと
  を知らせ、家族を食卓へと集めるフランス語のかけ声です。本展は、このかけ
  声の下、誰もが親しみやすい食べ物と食事にまつわる様々な造形作品を集
  めて展覧し、食をめぐる美術の多様な世界を紹介します。》
  (「ア・ターブル! -ごはんだよ!食をめぐる美の饗宴-」)
つまり、「ごはんだよ!」は‘ごはん’ではなくて美術の偽装であり、これは「ごはんですよ!」が‘ごはん’ではなくて海苔の佃煮を偽装表示したものと同様、‘ダヨー化’の類型と言える。
ゴハンダヨー (1) ゴハンダヨー (2) ゴハンダヨー (3)
 
「ア・ターブル! -ごはんだよ!食をめぐる美の饗宴-」 (三重県立美術館)
 
ゴハンダヨー (4) ゴハンダヨー (5) ゴハンダヨー (6) ゴハンダヨー (7)
「ごはんだよ!」ダヨー。だから、観る前に美術館内のレストラン「ミュゼ ボンヴィヴァン」で昼ごはんだよ!企画展の《出品作に想を得たスペシャルランチ》ダヨー。前菜は、曽我蕭白の《鮭に鼠図》をイメージして、「サーモンの軽いスモーク 黒いソース・ショー・フロワ 小野菜を鼠に見立てて」ダヨー。アドリアーン・ファン・ユトレヒトの《猟の獲物と野菜のある静物》に描かれた鴨・雉・兎・鳩に鹿も加え、「クロケット シャスール風(狩人風)」がメインなんダヨー。デザートは、川上澄生の《南蛮料理》より日本人が初めて食したヨーロッパの味を現代風に「ストウブ鍋で焼いたカステラと、かりんとう、ぼーろ、ポルト酒と赤い木の実のソルベを添えて」ダヨー。サーモンやコロッケもかなり旨いが、野菜やチーズやナッツやソースが調和した渾然とした味わい、出口直希ってシェフの「ごはんだよ!」は喫驚するほど上手いんダヨー。
 
ゴハンダヨー (8) ゴハンダヨー (9)
では、改めて企画展の「ごはんだよ!」を観るんダヨー。《厨房にある食べ物は、それが身近であるからといって、必ずしも親近感を持って描かれているわけではありません。画家の目を通して見た魚や果物は、ときに不気味な表情で、あるいは、まるで魂が宿ったかのように、その存在を主張しています。》(「第Ⅰ章 芸術家たちの厨房」解説)、それで好いんダヨー。浜口陽三の《朝食》が私には好いんダヨー。なんと、蕭白の《鮭に鼠図》は後期展示だから観れないんダヨー。《食物を消費し、生命を維持するための食事もまた、カウントダウンのように時を刻んでいくという点では、実は死とも不可分ではないのかもしれません。》(「第Ⅱ章 食卓をめぐる光景」解説)、その死に抗うかのように集った連中を描いた風俗画、木村荘八の《パンの会》が私には好いんダヨー。《舌に触れ、腹におさめて満足を得るという、きわめて即物的であるはずの食。ところが、本章の作品においては、食べ物や食器類が、味やにおい、手触りを奪われ浮遊する、幻のような存在として描かれています。》(「第Ⅲ章 夢の中で乾杯」解説)、だから同じ前期展示の作品でも、川上澄生の《南蛮料理》より山本容子の《Asparagus Paradise》の方が私には楽しいんダヨー。《…多くの食品は、オリジナルのない複製として存在し、美術館が依って立つ「この世に唯一」という価値を冒す危険性をも秘めています。ところが、ここに作品を展示したアーティストたちはそうしたタブーをむしろ利用することで、様々な作品を生み出してきたとも言えるでしょう。》(「第Ⅳ章 フード・イン・ミュージアム」解説)、それが面白いんダヨー。でも、アナ・ハスマンの《青空市場》みたいな動画の面白さは、館の要らない美術の偽装を示唆して、コレがまた好いんダヨー。他に、ジョージ・シーガルの《コーヒーを注ぐウェイトレス》は珈琲狂に堪えられないんダヨー。
 
ゴハンダヨー (10) ゴハンダヨー (11)
「ごはんだよ!」を観る前の昼ごはんではデザートも食べたけれども、次はやっぱりおやつだよ! 津に来ておやつといえば、蜂蜜まん本舗の「蜂蜜まん」(1個50円)ダヨー。1個は店頭でおやつダヨー、10個は持ち帰りでおやつダヨー。食べて観て食べて、満腹満足ダヨー。「ア・ターブル! -ごはんだよ!食をめぐる美の饗宴-」は、「魔術/美術 ―幻視の技術と内なる異界―」と同様に、企画の奇想が当たっていて面白かったんダヨー。つまり、「魔術/美術」が魔術を美術へ偽装したのと同様に、「ごはんだよ!」は美術への食の偽装であり、共に‘ダヨー化’の類型と言えるんダヨー。そして「ごはんだよ!」は、「ゴハンダヨー」ダヨー。
 
コメント (0) /  トラックバック (0)

コメント

この記事にコメントする

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://kisanjin.blog73.fc2.com/tb.php/669-380e2f1f
編集

kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

07 ≪│2017/08│≫ 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
Powered by / © Copyright 帰山人の珈琲漫考 all rights reserved. / Template by IkemenHaizin