花束は誰のため?

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2014年02月02日 01時30分]
ある日、石神武人は自宅で殺された妻を発見する。呆然としながら突然鳴った電話に出ると、受話器から聞こえたのは、傍らで冷たくなっているその妻の声だった──「あ、敏ちゃん? やっと帰ってきたんだあ。何してたのよ」。この日を境に彼には別の記憶が混在するようになる。そして辿り着いた事実、それは──本当の彼は韓国人科学者オ・ジヌだということ。いや、理化学研究所の高梨禎一だったかな。彼らの記憶は‘上書き’されていたのだ。それは石神武人として? それとも鳥山敏治として? 第15回サントリーミステリー大賞読者賞を受賞した小説『ゲノム・ハザード』(文藝春秋)を‘上書き’した『ゲノムハザード』(小学館)にさらに‘上書き’して映画化。誰が、何のために原作の記憶を奪ったのか?…メメント・モリ。
 花束は誰のため? (1)
 
『ゲノムハザード ある天才科学者の5日間』(무명인:無名人) 観賞後記
 
 花束は誰のため? (2) 花束は誰のため? (3) 花束は誰のため? (4)
天才数学者」の場合は石神がソッコへと‘上書き’されていたが、「天才科学者」の場合はオ・ジヌが石神へと‘上書き’されていた。「天才数学者」の石神は嘘臭い役者たちが嘘臭く演じていたが、「天才科学者」の石神は役者(西島秀俊)自身もその演技も尚さらと嘘臭い、ソコが好かった。もっとも、佐藤英輔を演じた役者は伊武専を正己、雅乃、雅之、雅刀へと‘上書き’し続けたし、ハン・ユリを演じた役者はソン・ウリ(成友理)を中村友理、中村ゆりへと‘上書き’し続けたのであって、こうして嘘臭い脇役を揃えたことが尚さらと好くしている。
 
 花束は誰のため? (5)
ロケ地の神戸を東京へと‘上書き’している『ゲノムハザード』は、設定も脚色も何らかの模造で構成されている感じ。「トータル・リコール」を「メメント」しようとしても「ボーン・アイデンティティー」は見つからず、消された記憶を「ペイチェック」にして「エターナル・サンシャイン」へ導かれるかどうかは「アンノウン」であろう、たぶん。その嘘臭さがかえって好かったような気がするけれども、記憶に残る作品とも言いきれないか。『ゲノムハザード』を観た後で、「薄れゆく記憶のなかで」逆らう術は無い、《―5日後、すべての記憶は消える》、と思える。「えーと、バ、バイオハザードだっけ?」という、何らかの映画を観たという‘思い出’だけが残るのであろう。主人公が抱えていた花束は、誰のためだったのか…ね、ねずみだっけ?
 
ついしん
どーかついでがあったらうらにわの国のえいがのおはかに花束をそなえてやてください…
 
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コメント

No title
kurorisu URL [2014年02月02日 23時40分] [編集]

あちらの殺戮のシーンがあると思われる映画は怖くて観れないです。今はゴムボート的な怖さもちょっと。
>ね、ねずみだっけ?
この言葉が私のツボにはまりました。そしてよく読むと、タイトルからついしんまで、みんな素敵でした。

to:kurorisuさん
帰山人 URL [2014年02月03日 00時37分]

『ゲノムハザード』に限っては(死体は出てくるけれども)ゲロゲロな殺戮シーンは無かったような気がする。
けえかほおこく どうしてつぼにはまてしまたかほくがなにかすてきなことをしたかわからない…

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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