死者の代弁者

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2014年01月20日 01時30分]
《伝説の小説──待望の完全映画化 彼の名は エンダー(終わらせる者) 宇宙戦争を終わらせるために生まれた──禁断のサード(第3子)の少年 なぜ戦わなくてはいけないの? 僕は、戦いたくない… それが僕の宿命ならば》 (『エンダーのゲーム』予告編)
伝説の小説──待望の完全映画化? その名は “Ender's Game” 原作者の自己顕示を終わらせるために生まれた──禁断の映画 なぜ観なくてはいけないの? 私は、観たくない… それが私の宿命ならば… 映画を看取り語ろう… 「死者の代弁者」として
 死者の代弁者 (1)
 
『エンダーのゲーム』(Ender's Game) 観賞後記
 
 死者の代弁者 (2)
オースン・スコット・カード原作の日本語訳版『エンダーのゲーム』(野口幸夫:訳/ハヤカワ文庫SF 746)を初めて読んだのは1987年11月、道に迷いニュージーランドへ出かけるだった。傑作だと思った。あれから26年余が過ぎた。その間に、何度も映画化の噂を耳にした…困惑、憂慮、憤怒。愛読者にとって映画化は‘敵’…「敵のゲートは下だ」
 
 《『ゲーム』も『シャドウ』も、凶悪な敵を勇敢に撃退する楽しい宇宙戦争を描くよ
  りおおくの比重を、学校システムに代表される(アホな)おとなたちの思惑に振
  り回され管理される「こどもであることの苦悩」に、傾けている。(略)カードとい
  うひとはなにしろとにかくアクが強いんである。(略)『消えた少年たち』解説で、
  同じ教会の会員である斉藤由貴さんすら遠慮がちに違和感を表明しておられ
  るのを見れば、「モルモン教の信者さんだから変人なのね」などと思ってはい
  けないらしい。(略)それは、モルモン教徒だから、ではなくて、モルモン教徒で
  あることでも満たされないはみだした部分を不運にももってしまったひとだから、
  ですよ。》
  (久美沙織「解説」/『エンダーズ・シャドウ』〔下〕/ハヤカワ文庫SF 1331)
 
ペドフィリア(paedophilia:小児性愛)を抱えているであろうオースン・スコット・カードは、「エンダー」世界の作品群でも、小児に対する嗜虐と偏愛を隠さず表していた。そのキモデブオヤジの傑作たる所以を、映画『エンダーのゲーム』では全く無視され作られている。エンダーもペトラもビーンも、演じている役者たちが10歳ほど老け過ぎている…オワタ。この一点をもって、《伝説の小説──待望の完全映画化》は失敗して、駄作に決まった。
 死者の代弁者 (3)
その上、映画『エンダーのゲーム』には‘ロック’も‘デモステネス’も登場しない。そのくせ、メイザー・ラッカムが自らを「死者の代弁者」などと名乗る。いったい、何のための物語か。窩巣女王は、《われらは汝らを傷つけるつもりはなかったし、われらは、われらの死について、汝らを赦す》(原作:野口訳版)と言ったが、私は映画『エンダーのゲーム』を決して赦さない。‘bitter-ender’(不屈の者)として映画を看取り、「死者の代弁者」として語る。
 死者の代弁者 (4)
映画館の「扉へ来るときのおまえたちの期待がどうあろうと、憶えておけ──評は下だ」
 
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コメント

No title
t.matsuura URL [2014年01月23日 23時14分]

絶版になる前に帰山人さんから
「エンダーのゲーム」を教えてもらえたので
僕も思い入れを持ちつつ映画を観れました。
本に思い入れてしまうと、たいてい
映画の分が悪いようなので評価は厳しくなりますが
原作を貶めない気遣いはあったかもしれません。
でも、そこは違うだろ!という感覚の落差は
ちょっと、どうにかならないものか...とも思いました。

to:t.matsuuraさん
帰山人 URL [2014年01月24日 01時30分]

SF小説の「世界観が映画化されていると期待する過ちは断じて犯さない」という自戒で、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』が『ブレードランナー』に、『追憶売ります』が『トータル・リコール』(旧作の方)に、『宇宙の戦士』が『スターシップ・トゥルーパーズ』になっても、映画は映画で拍手できたのだが…『エンダーのゲーム』は映画の製作自体にカードが関わった時点でどうにもならなかったんだろうナ、と。「浅はかな学芸会」を観させられた、って感じ。

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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