サードウェイブとは?

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2013 [2013年11月19日 01時00分]
コーヒー界で語られる「サードウェイブ」とは、いったい何であろうか? ‘波’の本質は何か? 例えば、『サードウェーブ・コーヒー読本』(茶太郎豆央:著/枻〈えい〉出版社:刊)は、庸俗の日本人にとって読み解くだけでも極めて難しい。とても日本語で書かれたとは思えない。
 サードウェイブとは? (1)
 
 《サードウェーブ・コーヒーカルチャーは、その店を訪れれば、より快適でよりハ
  イクオリティなライフスタイルの提案型ビジネスだ、いうことがすぐに分かりま
  す。そして結果セカンドウェーブのビジネススタイルよりも、コーヒーギークの
  取り込みだけでなく、フーディーやライフスタイル・コンシャスな人々にカフェカ
  ルチャーの門戸を開くことができました。》(p.131)
 
 【日本語訳】第三波の珈琲文化は、その店を訪れれば、より快適でより高品位
  な暮らし方の提案型商売だ、いうことがすぐに分かります。そして結果、第二
  波の事業のやり方よりも、珈琲に熱狂する者の取り込みだけでなく、食に関
  心の強い人たちや生活の様式を意識する人々に珈琲屋における文化の門
  戸を開くことができました。
 
このように、日本語に訳しても文脈は意味不明で、その文意を汲み取るには容易でない、恐るべし『サードウェーブ・コーヒー読本』。しかも茶太郎豆央氏は、この潮流をアメリカ西海岸あたりの話に限定しないで執拗に日本との絡みを強調するので、余計にややこしい。
 
 《日本も含めた世界中で、スターバックスが街角にあふれ、良質で安価なコー
  ヒーが身近に楽しめるようになりました。》(p.10)
 《例えばブルーボトルを創業したジェームス・フリーマンは、日本の喫茶店での
  コーヒーを著書やスピーチで必ず紹介するほど。「Kissaten」が英語として
  流通する日も来るのではないか、と期待するほどです。また他の人たちも、
  日本の道具を使いながら、日本でのコーヒー体験をインスパイアの源泉とし
  て高い評価をしています。サードウェーブは日本の喫茶店カルチャーに、熱
  い視線を注いでいるのです。》(pp.49-50)
 《それぞれの大会において、日本人の民族性に刻み込まれる「おもてなし」「手
  仕事」「味覚の繊細さ、確かさ」「勤勉さ」が、コーヒーの世界で花開いたので
  はないでしょうか。》(p.160)
 
まず、日本において《スターバックスが街角にあふれ》ているのは一部の都市に限られる。国全体でもアメリカ合衆国に比べれば、人口あたりの店舗数は5分の1以下である。さらに、現在のスターバックスは《良質で安価なコーヒー》を供してない。認識の誤り、ややこしい。また、羽當だのランブルだの大坊だのを日本の「Kissaten」の象徴かのように言うジェームス・フリーマン氏の視線など、取るに足りない。これらの店は、崇敬すべきでも僅数異端の存在であって、まるで東照宮と金閣寺だけを見て日本の社寺文化を語るようなものだ。そもそも、『サードウェーブ・コーヒー読本』における茶太郎豆央氏の日本人観が、《「おもてなし」「手仕事」「味覚の繊細さ、確かさ」「勤勉さ」》という、幕末期から明治期に居留した外国人の感想のようである。この旧態で陳腐な視線で物語るは認識の誤り、ややこしい。
 
 サードウェイブとは? (2)
 《生まれ育った場所を離れて、何の事前情報もないままに初めて訪れた土地で、
  偶然素晴らしい純喫茶に出会う。そんなことが何度もありました。予期せぬ喜
  びほど、胸を強く打つものはありません。こうした経験を重ねるたびに、ある
  想いが自分の中にふつふつと湧き上がって来ました。「素晴らしい純喫茶が
  あるのは、東京や大阪だけじゃないんだ」》
  (『47都道府県の純喫茶 愛すべき110軒の記録と記憶』p.2)
 
日本の喫茶店文化を絡ませて語るのであれば、例えば、「純喫茶保存協会」会長にして訪店累計が4000軒超といわれる山之内遼氏の著作『47都道府県の純喫茶 愛すべき110軒の記録と記憶』(実業之日本社:刊)あたりを参考に踏査すべき。少なくともスターバックスよりまだしも《街角にあふれ》ている日本の純喫茶に、「ムーブメント」だの「リスペクト」だの「ポアオーバー」だのというカタカナは何の関係も無い。必要なカタカナは、「シャンデリア」と「ホットサンド」と「ミーコー」と「レーコー」なのである。認識の誤り、ややこしい。
 
もっとも、『サードウェーブ・コーヒー読本』(茶太郎豆央:著/枻〈えい〉出版社:刊)の腰巻にある惹句「世界を席巻する新しいコーヒーカルチャーのルーツはここニッポンにあった」を全て否定はできない。「サードウェイブ」が日本にその源流を求めること、民謡にもある。
 
 ♪ ハァー サードウェイブ (ハ アリャサ)
   サードへと草木もなびくよ (ハ アリャアリャアリャサ)
   サードは居よいか 住みよいか (ハ アリャサ サッサ) ♪ 
   (民謡「サードおけさ」より)
 
コーヒー界で語られる「サードウェイブ」とは、いったい何であろうか?庸俗の人類にとって輪郭さえ茫とした風潮を読み解くだけでも極めて難しい。‘波’に本質は無い、空疎である。
 
コメント (4) /  トラックバック (0)

コメント

No title
じょにぃ URL [2013年11月19日 12時19分] [編集]

帰山人さん。

まるで東照宮と金閣寺だけを見て日本の社寺文化を語るようなものだ。

全くその通りだと思います。
珈琲に限らずちょっと調べただけで『これがすべてだ!!』
ってのが多すぎるように感じます。
でも素人が見て『これがすべてだ!!』って言われちゃえば
”へ~”と鵜呑みにしちゃいますよね。
そこが良くも悪くも日本人の困ったところだと思います。

47都道府県の純喫茶 愛すべき110軒の記録と記憶

昨日見つけて買いました。
買った理由は
ジャズスポットロンドが載っていたから。
というたった2Pのために買いました(笑)

でもここはお酒も出してるし厳密には純喫茶とは言えないような。
ここ、ビス・エバンス来たことありますし
前行った時、渡辺貞夫いました。

お店に入ると映画関係の写真の中に
天本英世さんの真顔の写真があって
平成教育委員会のイメージしかなかったんで
迫力に驚いたことを思い出します。

普段はお客さんは全くいませんが
休み前・月一の生演奏の時は満席になります。

奥さんとも仲が良くてちゃん付けが微笑ましいです。
薄暗い店内とJAZZ。世界観がうらやましいです。
前行った時は転んで松葉づえ付いてたりと
年齢を感じさせます。
那珂さんは
普段はカウンターの隅で飲んだくれても
腰の低い的確な接客をします。
そこは驕らない見習いたいところです。
でもこの人結構すごい人なんだと後で知りました。
”能ある鷹は爪を隠す。”
将来こんな人になりたいじょにぃであります。

ふと思ったのが
カラーと白黒の違い。
本って前半がカラーなのはなんとなくわかるのですが
所々カラーなんですよね。
作者の評価が高い所がカラーなのか
ちょっと多めに貰ってるのか??
そんな裏の思惑を考えてしまいます。

長文失礼いたしました。

to:じょにぃさん
帰山人 URL [2013年11月20日 00時40分]

あ~、他にも通途の‘純喫茶’とはいえない店も載っているけど、イイの、そこらへんは…‘ある意味’で正しい全国‘珈琲屋’選集と言っても好いんだから。
那珂静男氏がスゴイのは、ビル・エヴァンスが来店したことよりも、エヴァンスの演奏を隠し撮りにモントルージャズフェスへ行って、あるコトで那珂さんの‘音’がライブ音源に刻まれたことです(笑)
私にとっては‘死神博士’と‘月見の銀二’である天本英世氏、彼もコーヒーを喫し続けた好い男でありました。

No title
じょにぃ URL [2013年11月20日 10時19分] [編集]

帰山人さん。
コメントを書きながら考えてたんです。
ロンドに行くと奥さんには顔を覚えていてもらっていて
久しぶりに行っても『あら、どうも』と
一応言ってもらえるエセ常連のじょにぃが
勢いに任せてロンドや那珂・天本さんの事を書いてしまいましたが
多分じょにぃの知ってる浅はかな知識なんか
帰山人さんは既にご存じなんだろうなぁと。(笑)
コメントの返事を読んで恥ずかしくもなり痛感いたしました。
帰山人さんの博学多識には到底かないません。
とは言うものの知らないのは
じょにぃ含め若い?(笑)世代だけで
その頃をご存じの方々にとっては
当たり前の事ってありますね。
フォークシンガーに意外と秋田出身が多いとか。
YOUTUBEに那珂さんの映画 隙間がUPされていましたので
見てみたいと思います。
那珂さんの”音”の事しらべてわかりました(笑)
ある意味伝説ですね。
実は秋田にもすごい人はいっぱいいるんだなと
最近感じるようになりました。
CDにも入ってるんですよね?
確かCD持ってるので今度探してみます。

to2:じょにぃさん
帰山人 URL [2013年11月20日 22時41分]

じょにぃさん、何処の店だろうが誰の店だろうが、今日明日と通っていただけるお客が全てであって、昔がどうだとか何を知ってるとか、そんなことはどうでもよい、そう思います。どうか好い店と長いお付き合いを…

この記事にコメントする

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://kisanjin.blog73.fc2.com/tb.php/630-ea9c950f
編集

kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

06 ≪│2017/07│≫ 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
Powered by / © Copyright 帰山人の珈琲漫考 all rights reserved. / Template by IkemenHaizin