オイ!きたろう

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2013 [2013年10月14日 01時00分]
好きな茶碗風呂を時にコーヒー風呂にして「極楽極楽」の目玉おやじ…だが、このコーヒー本を知ったならば…「人間て奴はな、一つの欲を満たすと次の欲が出てきて、永遠に満たされることを知らぬ生き物なんじゃ」と嘆いて叱咤するのではないか?…「オイ!きたろう」
 オイ!きたろう
 
『がんになりたくなければ、ボケたくなければ、毎日コーヒーを飲みなさい。』
(岡希太郎:著/集英社:刊)
 
 《1万年も前の縄文人に比べると、現代人はずっと病気にかかりやすくなってい
  る。このままだと社会は病人だらけになってしまいそうだ。(略)それでも現代
  人は、縄文人に比べれば長生きだ。病気にかかると薬や治療で回復し、なか
  には百歳を過ぎても元気な人もいる。ぎりぎりまで元気で過ごし、ある日突然
  あの世へ旅立つ、そんなPPK(ピンピンコロリ)の人生でありたいと願っている
  人は少なくないだろう。》 (「はじめに」)
 
…だから「毎日コーヒーを飲みなさい」と、岡希太郎氏は言いたいらしい。しかし、縄文人が現代人よりも病気に罹り難い、などとは存知していないし信憑に足りる話とも思えない。確かに《病気にかかると薬や治療で回復し、なかには百歳を過ぎても元気な人もいる》し、パイプを喫し続けながら古びたコーヒーを焼き淹れて百歳に達しそうな現役のコーヒー屋もいる。けれども「毎日コーヒーを飲みなさい」と著者が掲げる理由には、違和を感じる。
 
 《人生をどう生きるにせよ、ただ漫然と生きるのではなく、まずは「健康であれば
  何でもできる」と覚悟を決めて、どう生きるかはそれからじっくり考えることにし
  てはどうだろう。たった一度しかない人生、生きている間は元気でいようでは
  ないか。》 (第3章まとめ・PPKの約束事)
 
…だから「毎日コーヒーを飲みなさい」と、岡希太郎氏は言いたいらしい。しかし、2人に1人が「がん」になる(生涯リスク)とされ、認知症の患者数は460万人超とも、糖尿病では1000万から2000万人超とも推計される現代の日本、《社会は病人だらけ》である。「健康であれば何でもできる」…多数の不健康な現代人には峻険で峭刻たる言い草だ。
 
 《筆者は既に古希を過ぎましたが、自分の健康についてはそれなりに経験して
  きました。そして今は毎日2杯か3杯のコーヒーを飲んで、1日30品をめやす
  に栄養をかたよらずにとって、ほぼ健康に過ごしています。》 (「おわりに」)
 
…だから『がんになりたくなければ、ボケたくなければ、毎日コーヒーを飲みなさい。』と、岡希太郎氏は言いたいらしい。だが、私が訊きたいことは、「がんになったら、ボケたら、“毎日コーヒーを飲みなさい”と言いますか? それとも、もう時すでに遅いと言いますか? そもそも健康に過ごせなくなった人は、コーヒーを愛好する必要もなければ、生きている必要もないのですか?」…肉体が健康でも思考が健全でない者に回答できるか否か?
 
コーヒーと健康との関連をどう捉えるにせよ、ただ漫然と煽るのではなく、まずは「不健康であれば何と思うだろう」と思い及んで、どういう題名で趣旨を煽るのかはそれからじっくり考えることにしてはどうだろう。たった一度しかない人生、コーヒーなんて、生きている間は飲みたいだけ飲めば好いのではないか、「オイ!きたろう」…扉の向こうで何かが起こる。
 
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コメント

No title
ナカガワ URL [2013年10月16日 20時00分]

ホントどんな本でもきちっと読まれるのですね。毎回感心していたのですが、とうとうそれを乗り越えて感涙もの。こんなにきちっと読んでくれる読者に敬意を表して、コーヒー関連本の作者たちはきちっと献本するべきでしょう。こんなにもきちっと読んでくれる読者(小さなパトロンですよ)貴重だと思います。今回の本にこれほどまで、詩的でユーモアのある評が必要かどうか悩みますが、本屋で見つけたら、手に取ってしまうでしょうねえ。最早、無視されなければ3つ星と思う人が現れそう。

No title
シマナカロウ URL [2013年10月17日 10時39分]

ボクは日に3~4杯のコーヒーを飲む。他に緑茶も紅茶も中国茶もココアもハーブティも飲む。お腹がゴボゴボになっても飲む。コーヒーを飲むと大腸ガンにならないと聞いている。ホントかどうか知らないが、ガンは大腸ガンだけではないので、あんまりありがたみはない。なぜコーヒーを飲むのかというと、コーヒーはうまいからだ。特に自分で焙煎したコーヒーはうまい。帰山人の焙いた「芳醇灰汁口ブレンド」もうまかったが、それに準ずるくらいうまい。酒と同じで、うまいものには目がないので、たとえガンになる、痴呆になると脅されても飲み続けるだろう。これはもう〝業〟という外ない。生きてる間は、飲みたいだけ飲むことにします。

to:ナカガワさん
帰山人 URL [2013年10月17日 17時29分]

例えば「妊婦のコーヒー摂取量の限界」を語る時に、その内容の説き明かしは旦部さん石脇さんアタリにお任せするとして、私は「不妊で悩む人がその解き明かしをどう感受するか。感受しながら憩う時のコーヒーはどうあるのか」を考えてしまうのですよ…だから、健全な読者といえるかどうか、かなり怪しい(笑)

to:シマナカロウさん
帰山人 URL [2013年10月17日 17時36分]

ロウ師、その通りであります。「病気にならないために」コーヒーを飲む、これほど不健康にして不健全な飲用理由はありませんナ。でも「むやみに死なないために」忘憂のモノは死なない程度に控え目にネ。

No title
緑区民 URL [2013年10月17日 22時39分]

昨日のUst、楽しく拝見しました。ありがとうございました。
ひとつだけ。ランブルの関口さんは、今年、すでに100歳になられたはずです。
新聞かネットで、100歳を祝う会の記事を読みました。

to:緑区民さん
帰山人 URL [2013年10月18日 00時03分]

週刊フレーバー対談、お楽しみいただけたようで幸いです。
関口さんの今年のお祝いは(数えで)百寿でしてね。1914年5月26日生まれなので、満年齢では来年100歳です。

No title
緑区民 URL [2013年10月18日 01時09分]

なるほど。
出しゃばって、たいへん失礼しました。
確かに、祖父・祖母の世代は、数えですね。子供の頃に、親と祖父から言われる自分の年齢が違うので、混乱した覚えがあります。
またの週刊フレイバーへのご出演を、心待ちにしております。

to2:緑区民さん
帰山人 URL [2013年10月18日 19時25分]

いやいや。私、相手がどなたでも年齢を覚えるのが苦手な(というか覚えようとしない)タチでしてね。覚えてるのは、御三家くらいですよ^^;;

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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