懲り懲り懲り2

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2013 [2013年05月02日 23時00分]
くっくっく。タレーランの名を掲げたコーヒーミステリー小説は、タレーランの絡んだ蘊蓄で躓いている「このミスがすごい!」話だったが、よく売れたようである。2013年4月25日、その続編『珈琲店タレーランの事件簿2 彼女はカフェオレの夢を見る』(岡崎琢磨:著/宝島社:刊)が発売されてみれば、腰巻の表面に‘80万部突破’、裏面に‘50万部突破’…《ど、どういうことですか》…前作の発行部数が50万部を突破して、この続編は初版で30万部を刷る、ということか?だが、発売日の新聞広告に‘60万読者待望の第2弾!’とある…《え、う、嘘でしょう》…前作は10万人以上に立ち読みか回し読みされた、ということか?…《驚きよりは呆れが先に立ち、僕は思わず肩をすくめた》…んぐぁんぐぁんぐぁ。
 懲り懲り懲り2 (1)
 
はっはっは。前作の青野大和(あおのやまと)は、珈琲店「タレーラン」の自称バリスタである切間美星(きりまみほし)から《いつかまたお会いできたなら、そのときは、あなたの淹れた珈琲を、きっと私にも飲ませてくださいね。》(前作p.345)とまで言われるほどに、コーヒーを極めて独立しカフェを開業しようと意気込む他店のバリスタであった。今作のアオヤマは、カフェ開業の志はどこへやら、切間美星に恋慕しながら「タレーラン」に通う単なる常連客である。とても同一人物とは思えない堕した扱い…《全然違うと思います》。そのためか、コーヒーに関する蘊蓄では、前作のように蒙昧な「このミスがすごい!」致命傷は見られない。《本当にこんな作品を書くほどコーヒーに詳しかったのかな》(p.193)…そう言いたくなるほど、牛乳で割ったようなコーヒーミステリー小説…んぐぁんぐぁんぐぁ。
 懲り懲り懲り2 (2)
 
わぁーはっはっは。(切間美星を激怒させているとはいえ)悪意を示す割れたハートのラテアートを作ったり、(作中作「珈琲探偵レイラの事件簿」の話とはいえ)コーヒー豆の樽に死体を隠したり、今作『珈琲店タレーランの事件簿2 彼女はカフェオレの夢を見る』には、恐ろしくもぞんざいにコーヒーを扱う描写が多い。コーヒーから心を離してまで、物語の軸をヒロイン(?)の魅惑に移した著者の露悪が感じられる。その最たるところは、書名にもなっている「彼女はカフェオレの夢を見る」…《カフェオレのような色をした波の合間に吸い込まれていった》(p.331)、《台風で増水した川の濁流に揉まれ、ゆらゆら揺れている夢です。その水の色や味を見て、これはカフェオレかなって思うんですよ》(p.362)…前作で「また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を」と認めた切間美星、今作に「彼女はカフェオレの夢を見る」と表したカフェオレは何と‘川の濁流’である…んぐぁんぐぁんぐぁ。
 懲り懲り懲り2 (3)
 
力量を超えたシリーズ化の要請に苦しんだであろう著者に対して、《ミステリーとしての完成度そのものに批判を加えている》(p.194)…ほどの興味は無い。その自己撞着も激しくコーヒーから離心したコーヒーミステリー小説は、濁流に揉まれてどこへ行くのだろうか?今般もまた、切間美星が手動のコーヒーミルで豆を挽く音は、「懲り懲り懲り」と聞こえる。
 
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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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