検定本の検定

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2013 [2013年04月20日 06時00分]
『コーヒー学検定《上級》 金沢大学編』(圓尾修三・広瀬幸雄・後藤裕:著/旭屋出版)検定
  検定本の検定
 
問01⇒ 『コーヒー学検定《上級》 金沢大学編』は、何らかの‘検定’本ですか?
解答⇒ 違います。この本自体が実在する何らかの「検定」試験に対応した
    教本や問題集ではありません。「検定」試験が実在しない以上、この本
    を読んでも何らかの「資格」が取得できるわけではありません。この点
    において、例えば、全日本コーヒー商工組合連合会が認定する「コー
    ヒーインストラクター」資格の取得に対応した全日本コーヒー検定委員
    会(J.C.Q.A.)監修『コーヒー検定教本』の類と、似て非なる存在です。
    決して間違えて捉えないでください。書名で何らかの威を張りたかった
    にしても、本来であれば「検定」の語は用いず、「教本」とか「教科書」と
    かにとどめるべきだったのかもしれません。但し、この本が2013年4
    月2日に発行されたのとほぼ同時に、同じ出版社より『カフェ開業の教
    科書』(田口護:著/旭屋出版:刊/2013年3月27日発行)が刊行さ
    れましたから、「教本」や「教科書」の書名をカブらせないという出版社
    の配慮も考えられるでしょう。
 
問02⇒ 『コーヒー学検定《上級》 金沢大学編』は、金沢大学が‘編纂’したのですか?
解答⇒ 違います。この本はあくまでも圓尾修三・広瀬幸雄・後藤裕の3人に
    よる著作です。「金沢大学編」の「編」とは、編纂(compilation)の
    主体を指すものではなくて、本の部分け(volume)を示すもの、と解
    釈しておく他にツジツマが合いません。以前に、同じ旭屋出版より「金
    沢大学 コーヒー学研究会」という実体不明の編者による『なるほどコー
    ヒー学 コーヒーを楽しむ最新知識のQ&A』(2005年発行)という本が
    ありました。この旧著をQ&A形式ということも含めて踏襲した改稿本
    『コーヒー学検定《上級》 金沢大学編』が、またも何となく「金沢大学」
    の威を臭わせたかった、ということでしょう。今回は書名に「金沢大学
    編」が入っているため、ますますややこしい感じになってしまいました。
    その証拠には「セブンネット」など、書名を『コーヒー学検定《上級》』で
    打ち切って、編者として「金沢大学/編」として販売しています(閲覧
    2013年4月20日時点)。
 
問03⇒ 『コーヒー学検定《上級》 金沢大学編』は、‘上級’なので難しいですか?
解答⇒ はい、かなり難しいと思います。例えば、「コーヒーとは豆の木です
    か?」(p.7)という簡単にしたつもりで実際には意味不明の設問から、
    「焙煎が進行して行く過程で、コーヒー豆にどの様な形而変化が起こ
    るのでしょうか?」(p.58)という形而上でも形而下でも解けない設問、
    「焙煎から発生する炭酸ガスの正体はなんでしょうか?」(p.59)とい
    う自問自答している設問、「次のエスプレッソの抽出法での質問で正
    しいと思う番号に〇を入れて下さい。」(p.84)という訊ねる前に出題
    してしまう設問まで、まるっきり抽象水準が合っていない問いかけが
    続きます。そのため、答えを考える前に不快な思いが募って読み進
    めにくい、ココが難しいところです。「何を知りたいのだろう?」という
    読者の目線ではなくて、「コレを知らせてやろう」という目線ばかりで
    下手くそな問いかけが設けられていますが、この下級・低級な設問に
    対して笑って済ませることができれば《上級》でしょう。
 
問04⇒ 『コーヒー学検定《上級》 金沢大学編』は、読むべきですか?
解答⇒ 答えにくい質問です。まず、本の内容を鵜呑みにするタイプの読者
    には不向きだといえます。明らかに間違っていることばかりではなくて
    も、表現の適切さで課題を残す記述が多々ありますから。例えば、巻
    末に付されている「コーヒー学検定《上級》練習問題」に関しても、気を
    抜けません。「パーチメントコーヒーはパルピング前のコーヒーのこと」
    (p.168)、「サイフォン式=真空押出式抽出」(p.200)、などは選択
    肢の中で「正しい記述」とされていますが、これを新たな知識として真
    に受けて良い、などとは到底考えられません。こうした間違いや不適
    切な内容をつぶさに発見したいタイプの読者には、暇つぶしにこの本
    を検定するのも一興かもしれません。但し、解答者(私)はこの本を読
    みながら「どうも引っ掛かる」ところに付箋を貼っていったところ、本の
    前半で100枚綴りの束を使い切ってしまいましたので、相当量の付
    箋を事前に用意されることをおすすめいたします。
 
コメント (12) /  トラックバック (0)

コメント

No title
ちんきー URL [2013年04月20日 22時09分]

珈琲に詳しくないですが
>焙煎から発生する炭酸ガスの正体はなんでしょうか?

>相当量の付箋を事前に用意されることをおすすめいたします
には爆笑してしまいました。

No title
ナカガワ URL [2013年04月20日 23時31分]

「金沢大学」が「公式」に「検定」事業を行っていて、すでに「初級」「中級」が行われていると解読できますね。コーヒーファンが、金沢大学に問合せする可能性もある表紙に見えますね。誤解を招く可能性が心配です。

to:ちんきーさん
帰山人 URL [2013年04月21日 17時53分]

爆笑、おありがとうございます。まぁね、この記事自体では笑っていただければソレで好しなんですが、こういう本の存在自体は笑ってる場合じゃない問題を孕んでいるですよ^^;;

to:ナカガワさん
帰山人 URL [2013年04月21日 18時05分]

その誤解を狙っているにしても、狙わずウッカリでも、罪深いところです。私ゃ正直「旭屋さん、ちょっと自由過ぎやしませんか?」と言いたい。全協にもSCAJにもJCSにも気持ちの置き所が無い共著のご老体面面を憐れに思って、「ほらほら、自慢話はこんなタイトルで我慢すべきですよ」と諭すキレイな編集コーディネーターでも付けてやればイイのに…などと、ネ。

遅すぎます
ミズノ URL [2013年04月22日 08時25分]

コーヒー初心者の私は、もう購入してしまったではありませんか。学のない者にとっては、「金沢大学編」という言葉に弱いのです。確かに、《上級》のみで、《初級》・《中級》は見当たりませんでした。新手の”振り込め詐欺”か!?

to:ミズノさん
帰山人 URL [2013年04月22日 12時41分]

お気の毒ですので、よいモノをご紹介します。ビタルベルトを巻き、ビタルスパで入浴し、ビタルマットに寝てください。ちなみにビタルコーヒーはビタルマスクを外して飲んでください。尚、代金の振り込み先は金沢大学ではありませんので、お間違え無きよう願います。

No title
ミズノ URL [2013年04月23日 09時43分]

たいへん良いモノをご紹介いただきありがとうございました。全て「オープン価格」というのと、ビタルコーヒーは健康に良いのではというのが、最近のCM「発見!コーヒークロロゲン酸が脂肪燃焼」とやらを連想させ、興味深々です。

to2:ミズノさん
帰山人 URL [2013年04月23日 11時53分]

いえいえ、どういたしまして。ビタルコーヒーが‘健康コーヒー’なのか私にはわかりませんが、万が一調子が良くなくても、抽出したコーヒーの残滓はERSディーパーで、摂取したコーヒーの残滓はスチームドライトイレ“さわやか”が用意されているので、ご安心ください。…え?だんだん高額なモノを紹介しているって?そりゃ○○商法ってヤツですよ。

〇〇商法!?
ミズノ URL [2013年04月23日 22時03分]

なるほど、なるほど。最終的にはビタル企画の代理店になれば良いってことが判りましたよ。やっぱり、買う側より売る側に廻るのが、高い書籍を買った元を取る一番の方法ですね。

to3:ミズノさん
帰山人 URL [2013年04月24日 17時46分]

まぁ(私の方からネタ振りしといてなんですが)そこまで刺すとチョット著者にも気の毒なので、後は各自の自己判断ということで…^^;;(笑)

新たな検定?
珈琲国王(GreenP's) URL [2013年04月26日 23時21分] [編集]

こんばんわ!
最近Twitterでもお世話になっております。
某愛知県のコーヒー屋さんで焙煎機を作って頂いた福島県民です。
広瀬幸雄さんのコーヒーのコーヒー学・・でしたっけ?みたいな本は持っていますが、焙煎機の開発やらなんやら研究者っぽい内容だな〜と思いながらたまに読んでます。
遠赤外線焙煎機はちょっと気にはなりますが・・あの1kg焙煎機も高価なんでしょうね〜。

検定本(上級ではなかったかもしれませんが)も、本屋さんでちょこっと立ち読みしましたが、とりとめのないような内容で、なんで金沢大学が検定?と不思議に思っていました。
金沢大学は、コーヒーの一権威としての地位をしっかりと確立させたい意向なんですかね〜。

to:珈琲国王(GreenP's) さん
帰山人 URL [2013年04月27日 13時47分]

ようこそ、いらっしゃいました。『もっと知りたいコーヒー学』に登場する‘遠赤外線焙煎機’ことですかね?私ゃ、その1つ前が‘マイナスイオン焙煎機’っていう時点で“アウト”です。「研究者っぽい」ねぇ…少なくとも科学者っぽかあないと思うけど…真っ当な科学者は「遠赤外線で焼く場合は、内側からも焼き上がり」なんて言いませんよ(笑)。‘コーヒー愛好家’として(限定してみた場合)の広瀬氏に恨みはありませんがね。
で、権威云々については「金沢大学」の意向ではないでしょう、あくまで広瀬氏の意向であろう、かと。

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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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