イタミを知れ

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2013年03月24日 23時00分]
映画Webサイトのイントロダクションに、《もはや国民的ドラマ》とか《唯一無二のモンスターコンテンツ》とか《真骨頂》とか《…だけが実現しうる最強のエンターテインメント作品》とか、畏れや慎みを知らない押し強い辞が並ぶ…「相棒シリーズ X DAY」は、《何が起こるのか? 今度は何に挑むのか? 今、「相棒」から目が離せない!》…そろそろイタミを知るべきか?
 イタミを知れ (1)
 
『相棒シリーズ X DAY』 観賞後記
 
 イタミを知れ (2)
TVドラマ「相棒」Season9第8話「ボーダーライン」(橋本一:監督/2010年12月放映)の水谷豊(俳優)と櫻井武晴(脚本)とが、「貧困ジャーナリズム大賞2011」(反貧困ネットワーク)を受賞して以降、櫻井ホンの「相棒」はやたらと‘社会派’が臭う偏重続き。…で、今般の『相棒シリーズ X DAY』では、《いわゆるただのスピンオフを作ろうという企画ではなかったんです。…一度、『相棒』の作品世界をつかって、『大統領の陰謀』(76年)や『ペリカン文書』(93年)のようなピリっとした社会派サスペンスを作ってみたかった。》(松本基弘ゼネラルプロデューサーが語る“社会派サスペンス”としての『相棒』/映画Webサイト)らしい。しかし、話が大風呂敷に過ぎて、‘X DAY’の謎解き役は何と休暇中で独りロンドンにいる杉下右京(水谷豊:演)で、主役の伊丹憲一(川原和久:演)は最後まで‘X DAY’の実体を知らずに終わる…。
 イタミを知れ (3)
《…テレビの時よりはちょっと抑えめのお芝居にして欲しいなあ、と…監督が言うまでもなく、川原さんはちゃんとそういう考えでお芝居にしてきてましたから。…ただ川原さん自身の思いとしては、これまで積み上げてきた伊丹というキャラクターをそのままやるだけで、あえて映画だからといって変に変えることはしませんでしたよ、という話でしたけどね。》(松本基弘プロデューサー談/『テレビドガッチ』つくるひとNo.157/2013年3月13日)…というよりも…「相棒」スピンオフ映画の前作「鑑識・米沢守の事件簿」で初主演の米沢守役六角精児を守り立てた、今度の「X DAY」では伊丹憲一役川原和久を守り立て…るハズが主役そっちのけで角田六郎(山西淳)や内村完爾(片桐竜次)など脇役がブッ飛んだキャラクター変調。友達の“ずっこけ劇”晴れ舞台に興奮し過ぎた脇役たちが踊り狂うハチャメチャ学芸会、という感。
 イタミを知れ (4)
インテリ臭に惹かれるトロいオバハン&オヤジ層を主にした「相棒」ファンへのサービス作品、と『相棒シリーズ X DAY』を割り切っても、「劇場版」のⅠ・IIや「鑑識・米沢守の事件簿」と比べて調和や整合を欠いて全てが半端であることは否めない。そもそも、‘X DAY’の《ピリっとした社会派サスペンスを作ってみたかった》のであれば、主役は杉下右京で劇場版ⅢかTVドラマスペシャルに、それとも、主役が伊丹憲一で《いわゆるただのスピンオフを作ろうという企画》であれば、もっと喜劇味のあるバディムービー(例えば‘相棒’はマーロウ矢木とか)に、“社会派サスペンス”と“ずっこけバディムービー”との、二兎を追わずに作るべきであろうに。伊丹が単にガイド役でしかなかった本作の味わい、「相棒展 Premium2 杉下右京を捜せ!相棒展の一番長い昼」が最も近い…百貨店催事レベル、映画では無い…そのイタミを知れ!
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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