信楽散観

ジャンル:学問・文化・芸術 / テーマ:art・芸術・美術 / カテゴリ:観の記:美面 [2013年03月22日 23時30分]
2013年3月20日、滋賀県甲賀市信楽町で催されている展覧会をハシゴして観て楽しむ。
 
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『フランス印象派の陶磁器1866-1886 ジャポニスムの成熟』
(滋賀県立陶芸の森・陶芸館:特別展)
 信楽散観 (2)
アメリカのニューヨークで陶器貿易商を営んでいたアビランド一家がフランスのリモージュへと移り住んだのは、後に印象派画家となるルノワール(Pierre-Auguste Renoir)がリモージュで誕生した翌年(1842年)である。アビランドがリモージュで陶磁器工場を建てて事業を伸長し始めた頃、ルノワールはパリで磁器の絵付け見習いとなっていたが、働いていた工場が潰れて失職し、画家を目指す。1874年の第1回印象派展にルノワールらと共に参加し出品した銅版画家フェリックス・ブラックモンは、その2年前よりアビランド(Haviland)社がパリに開設したオートゥイユ工房の美術監督として迎えられて、日本美術をパクったモチーフで食器の装飾を担当した。日本では小笠原でコーヒーの栽培を試みたといわれる1878年、同年のパリ万国博覧会で、イギリスのT&Cクラーク社製コーヒーミルが銀賞を受け、フランスを沸かせていたジャポニスムを生かしたアビランド社の陶磁器は金賞を授けられた。1881年、ブラックモンは経営者シャルル・アビランドの傲慢な態度に立腹、雇用契約の期限を待たず職を辞す。陶磁器に関して貪欲な商人であり蒐集家でもあったシャルル・アビランドは、1884年に息子ポールの肖像画をルノワールに描かせている。印象派画家2人の人生を弄びながらフランス有数の陶磁器メーカーとなったアビランド……軌跡をそう捉えながら、印象派の陶磁器を観る。
 信楽散観 (3)
今般の特別展『フランス印象派の陶磁器1866-1886』では‘ジャポニスムの成熟’の謳いに重心があったが、(それならば2008年東博のオルセー美術館コレクション特別展「フランスが夢見た日本-陶器に写した北斎、広重」と着想は変わらないという意味でも)日本美術とのパクリ関係よりも、当時の印象派絵画との比較や連関、或いは陶磁器業界でのアビランド社のポジション、などを丁寧独自に解説して欲しかった。2000年7月に開催された主要国首脳会議(沖縄サミット)の晩餐会(料理監修:辻芳樹/コーヒー提供:カフェ・バッハ)でテーブル装飾企画制作を担当した木村ふみ氏による、印象派陶磁器を含めたテーブルセッティングを本展で観られたのは幸い。かつて、ルノワールやブラックモンらも、アビランド社のカップでコーヒーを喫したのであろうか?それは香り高かったのか味苦かったのか?観廻りながら想った。
 
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滋賀県立陶芸の森・陶芸館を訪ねたのは2010年の『ハンス・コパー展 20世紀陶芸の革新』以来だが、アノ時と同様にその後は「夢創庵」へ、今回は太打ちの「おろしそば」大盛を食す。蕎麦のハッキリ味がシッカリ歯応えに調和して前回よりさらに旨い、蕎麦湯を飲んで、さぁ次。
 
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『古代ガラス -色彩の饗宴-』
(MIHO MUSEUM:春季特別展)
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今般の特別展『古代ガラス -色彩の饗宴-』の会場であるMIHO MUSEUMは、世界救世教の分派教団=神慈秀明会が‘美による感化’を掲げ設けた美術館、世界救世教のMOA美術館と同様に、カネにモノを言わせた施設は豪奢。レセプション棟と美術館棟とを結ぶ道とトンネルの仕立て、意外と好い気配で気に入った。もっとも、神慈秀明会の信者は世界救世教に関するモノに接触を禁じられてMOA美術館を観ることができない、いかなる神仏も信じず恃(たの)まない私が宗教系美術館を訪ねて‘美による感化’(?)を気まま勝手に楽しむ、痛快。
 信楽散観 (9) 信楽散観 (8)
‘匠の美しき芸術に囲まれて横たわり ついには星の輝く空の下で眠る’…ルーヴル美術館の「大ルーヴル」増改修は、エントランスやモールのピラミッド、リシュリュー翼の屋根などが示す通りPeter Rice(ピーター・ライス)とIeoh Ming Pei(イオ・ミン・ペイ)が使った「ガラス」自体が肯綮。そのI.M.ペイが建築設計を担ったMIHO MUSEUM(ミホミュージアム)で「ガラス」展、但し目玉はルーヴル美術館の所蔵品ではなくて「大英博物館の名宝・特別出展」だが…(笑)。現代の技法で復元した経過(動画)と結果(模造品)を示し、本物と並べて比較展示など面白い趣向を楽しむ。だが、紀元前2~3世紀のゴールドアカンサス文碗やスパイラルレースガラス碗の本物、美しさは異常の域…やはりガラス工芸は陶磁器や絵画と異なり、時代が下るにつれて技法と完成度が進歩どころか後退した、古くても美しいのではなくて古いから美しい…。
 
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今般訪ねた2施設の敷地、時季遅れて訪ねれば桜が咲いて美しいハズ、同じ信楽町内には‘深堂の郷 都しだれ’の「畑(はた)のしだれ桜」もある。アビランドのカップ持参で花見再訪? 帰途に寄った養老SAで滝亭の「にしんそば」を食べながら、信楽での花の散観日を想った。
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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